Webサイトの運営をする上で、「アクセス数の多いページは増えてきたけれどなかなかコンバージョンに繋がらない、、、」そんなお悩みはありませんか？訪問してくれたユーザーを目的のページに誘導し、コンバージョンを生んでもらう上で鍵になるのが導線設計です。

せっかくユーザーを集客できているのに、サイトから離脱してしまっては成果に繋がりません。

今回は、混同しやすい用語である「導線」と「動線」の違いや、具体的な導線設計のポイントなどを解説します。ポイントを押さえて、サイトのコンバージョンアップを目指していきましょう！

「導線」と「動線」の違い

よく使われる2つの単語、「導線」と「動線」。いずれも読み方は「どうせん」ですが、意味は大きく異なります。まずは「導線」と「動線」の定義を明確化して、両者の違いについて理解しましょう。

導線とは　

導線とは、Webサイトや店舗、建築物などにおいて「ユーザーや人をどのように目的地まで誘導するか」を考えて設計した道筋やルートのことです。

実際には業界や文脈によってその意味が異なり、Webサイトやマーケティングの領域において導線は「道筋」として使用されるケースが多いです。Webサイトに訪問したユーザーが商品購入や資料請求、問い合わせなどの特定の目的（コンバージョン）を達成できるようサイト運営者が意図して設計します。

動線とは

動線とは、ユーザー側が実際にサイト上で辿った経路のことを指します。つまり、ユーザーがサイト上でどのように動いたのかを把握できる過去のデータです。

一方、導線はサイト運営者が事前にプランニングした道筋であるため、両者は別物になります。しかし、導線と動線は密接な関係があり互いに影響を与え合う存在です。

例えば、過去の動線を分析して設計した道筋の通りにユーザーが行動していない場合、導線設計の改善が必要だと判断できます。つまり、Webサイトの最適化においては導線と動線の両方を意識しなければなりません。

なぜ導線設計と動線分析が重要なのか？

導線設計と動線分析が重要な理由は、Webサイトのコンバージョン率やユーザー満足度に与える影響が大きいためです。ここでは、導線設計と動線分析の重要性について詳しく解説します。

コンバージョン率に与える影響

Webサイトのコンバージョン率（CVR）を高めるためには、適切な導線設計を行なう必要があります。ユーザーが目的地まで辿り着くまでの道筋が明確で整っているほど高いコンバージョン率が期待できます。反対に導線設計が適切でないと、ユーザーは知りたい情報を探しづらくなってしまい、目的を達成する前に離脱してしまう可能性が高まるでしょう。

このように導線設計によってコンバージョン率が大きく左右されるため、動線を常に分析して課題を抽出し、改善を繰り返すことが重要になります。

ユーザー体験と設計意図

導線設計・動線分析は、Webサイトにおけるユーザー体験の向上にも繋がる重要な取り組みです。ユーザーにとってわかりやすく、必要な情報にスムーズに辿り着けるよう施されたサイトなら質の高い体験を提供することができます。

例えば、医療脱毛のサービスサイトを例に挙げると、「医療脱毛を契約したい」と考えているユーザーの不安や疑問を解消するようなFAQページを用意し、探しやすいよう意図して導線設計を行なうことでユーザーの満足度を高められるでしょう。ユーザーの満足度が高まることで、コンバージョンといった具体的な成果にも繋がりやすくなります。

導線設計のポイントと実践方法

導線設計のポイント	詳細
ユーザー目線でサイト回遊を設計	コアターゲットを設定した上でユーザーの行動や心理状態を想定しながらサイト回遊を設計する
LPとCTAの最適化	ユーザーが求めるデザイン・情報量・配置を意識して離脱防止やコンバージョン率向上を図る
ナビゲーションとUI設計	ユーザーの利便性を高めるためにナビゲーションと適切なUI設計を行なう
トップページ構成と情報設計	ユーザーがサイトの全体像を把握できるようトップページの情報の整理と導線設計を行なう

ユーザー目線でサイト回遊を設計

サイトの導線設計をする上では、ユーザーの視点に立って、「いつ」「どこで」「なぜ（どのような心理状態）」「どの経路で」サイトに訪問し、どのページを経由してどのようなアクションを起こすかを想定することが重要です。ただし、もちろん全てのユーザーが同じ意図を持って同じ行動を取るとは限りません。ユーザーの立場や商品・サービスに対する検討度の違いによってタッチポイントやサイト内の行動は異なるはずです。

これら全てのユーザーのパターンを網羅するのは現実的ではないため、まずはサイトのコアターゲットを設定しましょう。

 

ターゲット設定ができたら、サイトに訪問してから購入に至るまでのユーザーフローを設計します。その際、下記のポイントに留意しましょう。
・ユーザーのフェーズごとに、どんなページを見てもらうべきか
・ユーザーが購入を決意する上でほしい情報は何か、それに該当するコンテンツがサイト内にあるか
・どのページからどのページに遷移してもらいたいか

このように、設定したユーザーの目線で導線を考えることが効率的に成果を上げるための導線設計に繋がります。
参考記事：カスタマージャーニーマップを使ってサービス改善する方法

LPとCTAの最適化（ボタン配置・色など）

ユーザーは、初めに見たページのファーストビュー（最初に画面に表示された情報）から得られる情報を「3秒程度」で把握し、そのサイトが有益かどうか判断すると言われています。したがって、ランディングページ（LP）におけるファーストビューには、ユーザーが求めている情報のキーワードが含まれ、見やすい配置・デザイン・情報量になっていなければなりません。

また、1ページで商品購入や問い合わせなどの特定のアクションに誘導するよう設計されることも多く、その場合はユーザーの行動を促すためにCTAのボタン配置や配色、サイズも意識しなければなりません。

例えば、ブランドカラーと一貫性のある色を採用し、ファーストビューに配置するなどユーザーの視点に立って最適化を行ないます。なお、CTAはコンバージョン率に大きく影響する要素であるため、ユーザーの反応を見ながら定期的な改善が必要になります。

広義のランディングページとは？

「広義のランディングページ」とは、自然検索や広告を経由して訪問者が最初にアクセスするページのことをいいます。ユーザーがトップページに最初にアクセスした場合はトップページがランディングページになり、サービス詳細ページに最初にアクセスした場合はサービス詳細ページがランディングページになります。

狭義のランディングページとは？

一方、「狭義のランディングページ」とは、訪問者のアクション（商品購入や問い合わせ）を誘導することに特化したページのことを指します。狭義のランディングページは、基本的に縦長のレイアウトで他ページへのリンクが少ない1枚のWebページになっています。

ナビゲーションとUI設計

サイト内のどこに何が書いてあるかの道標である「ナビゲーション」も重要です。ナビゲーションには、「グローバルナビ」、「サイドメニュー」「フッターメニュー」、「パンくずリスト」などさまざまな種類があります。

 

それぞれの役割を明確にして、ユーザーを導くためにどのようにナビゲーションを設置するか検討することが重要です。

また、導線設計においてはUIの要素も不可欠です。例えば、シンプルなメニュー構成やボタン配置、見やすいフォント・レイアウトなどを採用すれば、ユーザーはストレスなく直感的にサイトを操作できるでしょう。

トップページ構成と情報設計

ユーザーの行動や検索キーワードによってはサイト内の特定のページではなく、トップページに着地することも考えられます。また、迷子になったユーザーがトップページに戻ってくるケースもあるでしょう。そのため、導線設計においては、トップページの構成や情報設計も意識して最適化を図らなければなりません。

トップページは「Webサイトの顔」であり、ユーザーが全体像を一目で把握できるよう情報を整理して視認性を高めておくことが大切です。また、トップページに目的に応じたリンクを適宜設置しておくことでユーザーはほしい情報に辿り着きやすくなるでしょう。

動線分析の重要性と見るべき指標

導線設計の改善には動線分析が必須になります。ここでは、動線分析で見るべき指標とそれぞれのポイントについて解説していきます。

ユーザー流入パターン

まずユーザーの流入パターンを確認します。具体的にどのページからサイトに入ってきているのか、つまりランディングページの分析になります。

流入数が多いページを特定し、そのページの導線設計を優先的に見直すことで効率的にコンバージョン率の改善を図れるでしょう。ランディングページの分析により、現状の導線設計の良しあしを把握することができます。

直帰率・離脱率・セッション数

動線分析においては、直帰率・離脱率・セッション数もチェックしておくことが大切です。アクセス数が多くても直帰率が高いページがある場合、次の行動に繋がる導線は明確か、ユーザーが求める情報を提供できているかなどをチェックしましょう。

資料請求や商品購入ページなどコンバージョンに直結するような重要度の高いページでの離脱率が高い場合は、成果に大きく影響するため重点的に改善策を検討する必要があります。

また、意図していないページへのセッション数が多い場合は、プランニングした導線がうまく機能していない状態であるため、改善が必要だと判断できます。

ヒートマップ・行動データの活用

ヒートマップとは、サイト内におけるユーザーの行動データを色で可視化する手段を指します。ヒートマップを活用すればよりユーザーの行動を詳細に把握できます。具体的には、ヒートマップを通してページのどの部分がよく見られているのか、どの位置で離脱しているのかなどを分析できます。

例えば、目的のページに問題なくユーザーを誘導できているのにもかかわらずコンバージョン率が低い場合、ヒートマップ分析で明らかになった行動データを活用すれば、ページ内で改善が必要な箇所やコンテンツを洗い出すことが可能です。

導線・動線改善の施策と検証

コンバージョン率の向上を図るために、導線は常に改善を行なう必要があります。ここでは、具体的な改善施策やPDCAの回し方、活用すべきツールを紹介します。

A/Bテストの実践

A/Bテストとは、複数のパターンを比較してどのパターンがよい成果を出せるのかを検証する手法で、Webサイトや広告、メルマガなどの改善に使われます。導線設計の改善にも活用でき、例えばCTAやナビゲーション、コンテンツの配置などを変更した複数のパターンを用意して、成果を出せる導線を検証します。

実際の行動データに基づいて検証できるため、A/Bテストを実践すれば最適な導線を採用することが可能です。

PDCAの回し方

PDCAにおいては、まずは改善の成果を正確にチェックするためのKPI（重要業績評価指標）を設定しましょう。次に導線設計を行ない、計画通りにコンテンツやリンク、デザイン、ボタンの配置変更などを実行してユーザーを目的地に誘導します。

その後は実際にユーザーがどのように行動したのかをアクセス解析などのツールで分析します。そして分析結果から改善点を見つけ出して導線を再度修正し、次の「Plan」に繋げます。このサイクルを繰り返し回すことで、成果が出る導線へと進化させられるでしょう。

活用すべきツール紹介

導線の改善を効率よく実施するためにも、以下のようなツールを積極的に活用しましょう。

活用すべきツール	特徴
TACT SEO	・SEO対策に必要な分析調査を自動化できるツール ・SEO課題の抽出や記事作成の効率化により、サイト改善に注力できる
Googleアナリティクス	・Googleが提供する無料のアクセス解析ツール ・直帰率やランディングページ、コンバージョン率などの具体的な数値を把握できる
User Insight	・生成AIでコンテンツ制作や分析ができるマーケティングツール ・ヒートマップ機能でユーザー行動を効率的に分析できる

導線に関するよくある質問

最後に導線に関するよくある質問と回答を紹介します。

PDCAを回すにあたってKPIをどのように設定すればよいでしょうか？

PDCAを回す際のKPIは、まずはプランニングした導線が最初のページからきちんと機能しているか確認するために直帰率や離脱率、ページ遷移率、セッション数を設定するとよいでしょう。

最終的な成果を把握するためにも、CTAのクリック率（CTR）やコンバージョン率（CVR）を設定することも大切です。

施策を行なった前後同じ期間のデータを検証し、遷移率やセッション数が増えたのか、CV率が向上したのかなどを割り出します。

ボタンの配置や配色を変更しても結果が大きく変わらない場合は？

CTAのボタンの配置や配色を変更してもコンバージョン率が改善しない場合は、ユーザーの行動を促せていないことや、信頼性が欠けていることが要因として考えられます。例えば、ユーザーが行動することで得られる具体的な価値やメリットが伝わっていないとボタン要素をいくら変更しても結果は大きく変わらないでしょう。

また、ユーザーは具体的な一歩を踏み出す前に何らかの不安を抱えている可能性も高く、その心理状態はコンバージョン率にも影響するため、それらを払拭するようなFAQコンテンツへの導線を設計するのも対策のひとつです。

まとめ　

ここまで導線と動線の違いや導線設計のポイントについて解説してきました。サイト運営において何よりも大切なのは「ユーザーの目線に立って考える」ということです。導線設計を行なう上で迷いが生じた時には、サイトを訪問してくれた人の気持ちに立ち返って考えてみてください。そうすれば自ずと理想的な導線が描けてくるはずです。そして、効果検証・改善を繰り返し、成果が出るサイト構造を目指していきましょう。

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