支援事例
新しく立ち上げたマーケティング部門が、全体の1/3のSQL(見込客)を創出するまでに成長!「ワークデザイン」を手がける企業がSEOコンサルティングの導入により、セールス&マーケティング体制を整えた事例
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2020年以降、新型コロナウィルス感染症の拡大によって半ば強制的に広がったテレワークと、それに伴う働き方の変化により、オフィスに求められることも大きく変化した昨今。時代や企業それぞれのニーズに適したワークデザインを提供している企業があります。それが「株式会社ヴィス」です。

同社はウィルゲート社のSEOコンサルティングを導入後、営業部門の再編やマーケティングチームの立ち上げを行い、オウンドメディア「WORK DESIGN JOURNAL」をスタートさせました。プロジェクト実績を掲載したサイト「PROJECTS」やホワイトペーパーの活用、自社でのセミナー運営など、さまざまなリード獲得の手段を軌道に乗せています。

2022年には大幅なリブランディングも実施し、会社全体としても飛躍の転機を迎えている同社に、コンサルティング導入の背景や施策内容について、マーケティングチームの市橋氏にお聞きしました。

株式会社ヴィス 市橋 建氏(以下、市橋)
株式会社ウィルゲート 藤原 賢太(以下、藤原)、伊藤 航太郎(以下、伊藤) 
聞き手:ライター 外山ゆひら

会社の成長に伴い、属人的な営業体制が限界に。組織改革が急務だった

──まずは2020年2月にウィルゲートの支援を導入いただく以前、貴社にはどのような課題があったのか教えてください。

 市橋:最大の課題としてあったのは、セールス体制の再構築です。弊社は2020年3月に東証マザーズに上場しましたが、その頃まではオフィス移転のプロジェクトマネージャー(PM)が、1つの案件の1から10までを担っている状況でした。ひとりのPMが新規営業の活動からプロジェクト進行、オフィスの総合プロデュース、さらにアフターフォローまですべて担当していたのです。

その一貫体制がお客様にも評価いただける強みになっていたと思いますが、社員数が200名を超えて各プロジェクトの規模も大きくなるに従い、さらに会社として成長するためには、業務の切り分けや仕組み化を含め、組織体制の改革が必要になってきていました。私は当時入社3年目のPMで、まだ自分のお客様がそれほど多くなかったので、先輩の案件のフォローとして入ることが多かったのですが、その立場の私から見ても「現行のやり方では限界が来ているな」という実感がありましたね。属人的な体制を脱却するため、かねてよりマーケティング部署を設立しようという話があり、その部分をお願いできる会社を探していて、ウィルゲート社との関係がスタートした形です。

──ウィルゲート社のコンサルティング支援を選んでくださった理由をお伺いしても良いでしょうか?

市橋:当時はまだ私が担当ではなかったのですが、3社ほど比較検討したと聞いています。

藤原:弊社がちょうど、ご依頼の少し前にマーケティング部門を立ち上げ、それが成功した実績があったので、その部分で大いに共感をいただけたのかなと思います。

──どのような施策から取り組まれたのでしょうか。

藤原:まずは営業部門のアカウントセールスとインサイドセールスを明確に切り分け、インサイドセールス部門を正式に立ち上げました。

市橋:アカウントセールス部門は、不動産仲介会社やベンダーさんと密にやりとりをしながら、お客様の紹介や新規開拓も含めたさまざまな形で顧客を獲得しているアライアンス部門です。多くのお客様を持っている中堅以上の社員たちが中心で、つながり重視の営業活動を行っています。しかし新人や若手層は経験もつながりも少ないため、この手法は取れません。そこでまずはテレマーケティング部門として、問い合わせからリードを育てていくインサイドセールス中心の営業活動を行う、という2者の切り分けを行いました。

藤原:電話やメール等でお客様と関わること自体が育成の一環にもなるので、インサイドセールスは「新入社員の教育機関」という機能も兼ねていました。マーケティングで獲得したリードをナーチャリングする組織としても、切り分けは必須だったかと思います。結果的に、1年目は組織の基盤を再構築し、新しい体制に慣れるための助走期間になりましたよね。

市橋:コンサルティングをお願いした直後に新型コロナウィルスの感染が拡大し、少し特殊な状況ではあったかと思います。この状況が数年後に終わるのか、そもそも収束するのかも見えないような時期で、社内でも多くのプロジェクトがペンディングになりました。あの状況では、どのクライアントも「オフィスを移転しよう」という決断はできなかっただろうと思います。会社も一時的に売上を落としましたが、多くの企業と同様、弊社も「今のうちに社内体制を整えよう」という方向に注力することになりました。

──マーケティングについては、どのような課題があり、どのような施策からスタートされたのでしょうか。

市橋:以前はリソースの許す限りで、リスティング広告とSEO対策のみに対応している状況でした。しかしこれだと得られる効果に限界があり、最適な対応や施策が打てているかわからないことが課題となっていました。

藤原:まずは「SFA(営業支援システム)」「Tableau(タブロー)」というデータ分析・視覚化のツールを導入して構築することで、マーケティングのオートメーション化を行いました。一気に体制を整えられたのは、当時の取締役だった金谷智浩氏(現:代表取締役社長)が強く課題意識を持っていてくださり、マーケティングに予算をしっかり付けていただけたことも大きかったです。

オンラインセミナー、ホワイトペーパーなど「ストック型コンテンツ」を複合的に強化

──2年目から3年目にかけては、どのような支援を行ったのでしょうか。

藤原:仕組み化に注力したのが1年目だとすれば、2年目はそれを活用し、最適化していくフェーズでした。マーケティング経由のリードも、目に見えて売上にもつながってきた時期です。常にその時々の注力コンテンツをすり合わせしながら進めてきましたが、オンラインセミナー、ホワイトペーパー、オウンドメディアなどのストック型コンテンツに対して、さまざまな支援を総合的に行ってきた形です。

──オンラインセミナーについて詳しく教えてください。

市橋:オンラインセミナーは新型コロナウィルスの感染が拡大して以降、力を入れ始めた施策の1つです。「新しいオフィスのあり方」について悩まれている企業様が多かった時期だったので、そのあたりのテーマを集中的に取り上げていました。

藤原:2022年には、4ヶ月限定でセミナー支援にも入らせていただいています。オンラインセミナーのノウハウが一部のメンバーのみに属人化している状況があったので、誰でも担当できるよう型化するお手伝いをし、成果物を含めて支援をさせていただきました。

市橋:ある程度のフォーマットやテンプレを作っていただいたので、最近はかなりスムーズに回せるようになってきました。オンラインセミナーは私がディレクションを担っており、月2〜3回の頻度で開催しています。効果的なタイトル付けもできるようになり、以前より集客も伸ばせてきました。オフィスツアーなども毎月開催しており、シリーズコンテンツも生まれています。

最近はPMからも企画を募っており、「あれもやりたい、これもやりたい」でアイデア過多になっていますが(笑)、お客様のニーズを探りつつ、トライアンドエラーを続けている状況です。

──ホワイトペーパーについてはいかがでしょうか。

市橋:ダウンロード資料(ホワイトペーパー)の制作も、弊社として重視している施策の一つです。毎月のように追加や修正を入れており、作成の工数はそれなりにかかっていますが、構成からデザインまで社内で内製化できる体制も整えていますし、外注コストをかけずに成果を出せる貴重なコンテンツと位置付けています。

弊社のメインの商材はオフィスデザインなので、ヴィジュアルで訴える視覚的なコンテンツはやはり引きが強い実感はありますね。商談時の営業ツールとしても活用していますし、リスティング広告などと違って資産性が高いことにも価値を見出しています。掛け捨ての広告だけでなく、ホワイトペーパーやセミナーなどの「ストック型コンテンツ」を重んじるコンテンツマーケティングの考え方は、ウィルゲート社ならではのアドバンテージだと感じています。

──ありがとうございます。

市橋:オンラインセミナーもホワイトペーパーもメルマガ経由での流入が多いので、メルマガの母数を増やせていることも、成果につながっている要因だと理解しています。メルマガの書き方や送るタイミング、効果的なタイトルのA/Bテストなどもサポートいただき、現在は内製化しています。

──オウンドメディアについては、どのような支援となったのでしょうか。

 市橋:マーケティング施策の成果が定常的に現れるようになった頃、「さらに集客につながる新たなチャネルを作っていきたい」とウィルゲート社に相談し、提案いただいたのがオウンドメディアです。2022年前半に「WORK DESIGN JOURNAL」を立ち上げました。

藤原:当時すでにサービスサイト内に「COLUMN」があったので、どう棲み分けをするか、新しいメディアにどのような役割や目的を持たせるか、という点には当時かなり悩みましたね。「COLUMN」は営業目線でリードを得ていくサイトだとすれば、「WORK DESIGN JOURNAL」は情報発信をしてヴィス様のファンづくりに役立てていく、ファンマーケティング施策の一環として取り組む形をご提案しました。

市橋: 昨年リブランディングプロジェクトが始動してからは、メディア制作のチームと我々マーケティングチームとの連携も増えています。

社会状況の変化を受け、事業ドメインを大幅にリブランディング

──リブランディングプロジェクトが始まった背景は。

市橋:2021年から2022年にかけては多くの企業にテレワークの概念が根付き、オフィスに関する新しいニーズがどんどん生まれてきた時期です。たとえば以前は、成長している会社は「オフィス移転=オフィス拡大」というのが当たり前でしたが、必ずしもそうではなくなり、ダウンサイジング(縮小移転)を希望するケースも出てきました。

弊社に対するご相談も、コロナ禍前は「オフィスのサイズ変更や、スタイリッシュなオフィスにしたい」といったニーズがメインでしたが、そこに留まらず、会議室の防音化、ITインフラの強化、サテライトオフィスの設置、固定席からフリーアドレスオフィスへの移行方法、さらには教育制度や福利厚生制度に関わるものまで、さまざまなご相談をいただくように。

そうしたニーズの変化を受けて、オフィスのデザイン会社ではなく、オフィスづくりから働き方まで「はたらく」に関することを相談できる、ワークデザインを提案していく会社として、事業ドメイン自体を変更しよう、という方向性が決まりました。

──リブランディングにより、どのような変化が生まれたのでしょうか。

市橋:お客様とのタッチポイントが広がり、今まで関わりきれなかったお客様にも、興味を持っていただけるようになった実感があります。「はたらく」に関する課題と弊社のサービスを紐づけてくださる方が増え、今までになかったリードを獲得できています。弊社からも「オフィス移転前後で、従業員の働きやすさにどのような変化が生じたか」を数値化するサービスなどをローンチしています。

また、リブランディングによりコンテンツの打ち出し方も変わってきたので、「外部との接点になるすべての製作物やコンテンツを一元で管理したい」という意向が強くなり、別会社さんに委託していたオウンドメディアの運営も、ウィルゲート社にお願いすることにしました。

──具体的な支援内容と成果について教えてください。

市橋:窓口が一元化したことで、新規記事の作成や既存記事のリライトなどにもバランス良く注力できるようになった実感があります。2023年7月からは「EditorU(エディトル)」も導入し、以前からサイト上にあった記事と現行サイトの記事間で重複や不足が発生している部分の整理やトピッククラスターの形成など、複雑化している状態の改善を図っていただいています。他社事例を取り上げるインタビュー記事の掲載も始まり、よりいろいろな人にとっての有益なサイトを目指している状況です。

マーケティング施策経由の案件獲得が全体の約1/3を占めるようになり、社内の気運も高まった

──改めて、総合的な施策に対する定量的な成果について教えてください。

市橋:弊社ではマーケティングの効果測定は、主にSQL(Sales Qualified Lead/セールス・クオリファイド・リード)を使っています。2021年度ではマーケ経由のSQLが全体SQLの24%でした。2022年度では32%、2023年度では8月時点で33.6%と、年々マーケ経由比率の占める割合が大きくなってきています。

成果の要因としては、ストック型のコンテンツマーケティングを導入したことで、各年度の施策が資産として社内にストックされ、過去の成果物もバリバリ現役で働いてくれる状況を作れていることが大きい気がします。

──定性的な成果はいかがでしょうか。

市橋:数字としてしっかり成果が出ていることで、「今までのやり方を変えていこう」という社内の気運の高まりにもつながっている手応えがあります。

インサイドセールス部門がしっかり機能するようになったこと、組織内でPDCAが回せるようになったことも定性的な成果と言えるかと思います。以前はインバウンドは「問い合わせ」一択だったのですが、ホワイトペーパーやセミナーを拡充し、それをナーチャリングする体制ができたおかげで、潜在リードとのタッチポイントが劇的に増加しており、インバウンドの概念が広がりました。

──大きな体制変化を主導されるなかで、苦労した点はありましたか?

市橋:社内のマインドを変え、新しい提案を浸透させていく部分が一番大変でしたが、苦労した分、インサイドセールス部門は特に大きく成長している実感があります。一歩踏み込んだヒアリングができるようになっていますし、リブランディングをしたことで、今までは接点を持てなかったお客様とのつながりを作れるようになりました。

今までは「オフィス移転するか・しないか」の二択で、「しない」というお客さまに対して関わりきれない部分があったのですが、「働き方に関するこういったサービスもある」と言えるようになり、そこからセミナーやホワイトペーパーをフックにしてご契約につながるお客様も増えてきています。

──弊社の担当者・藤原は、どのように貢献できているでしょうか。

市橋:インサイドセールス部門の立ち上げや組織ビルディングなど、Web以外のことも全体的に支援いただけたことが本当にありがたかったです。マーケティングに関しても初心者だったので、あらゆることを相談させていただき、一つひとつ課題解決ができました。コロナ禍以降は年2回、東京・名古屋・大阪の展示会にも参加するようになったのですが、展示会の打ち出し方などについても相談させてもらっています。

藤原:この3年半、幅広いコンサルティングをさせていただきましたが、パートナーとして親身に寄り添えたことが、何より評価いただけている部分かと自負しています。時に常駐し、時にオンラインツールを活用しながら頻繁に接点を持たせていただきました。

市橋:SEOに関しては、現在に至るまで毎月定例ミーティングをお願いしています。GA4(Google4アナリティクス)に変わったときの勉強会なども開催いただきました。競合の動向やトレンド、ホットワードなど幅広い情報をいただきつつ、「ヴィスではどういう施策をすればいいのか」について具体的に指南いただいています。

藤原:方法論も重要ではありますが、成果を出すためには「メンバーの方々がどれだけ汗をかいて、手を動かしてくださるか」が一番重要です。市橋様やマーケティングチームマネージャーの平部様が愚直に施策に取り組んでくださったこと、さらに他部門の皆さんが協力的に動いてくださったことが、大きな力になったと感じています。

「はたらく」に悩んでいる企業や担当者に、ヒントを届けていきたい

 

──直近では、どのような支援をさせていただいているのでしょうか。

市橋:サイトのリニューアルに関するコンサルティングをお願いしています。2023年4月にまずTOPページから第2階層までをリニューアルしたのですが、ドメイン変更に伴い、切り替えによるセッション数の減少が危惧される状況がありました。藤原さんにリスクを明確化していただいたことで、関係者全員が同じ温度感で事前対策や準備を行うことができました。

Webデザイン会社との打合せにも同席いただき、SEO観点から都度アドバイスをいただいたことで、デザインとSEOのバランスを取りながら制作を進行できたのもありがたかったです。10月にはさらに深い階層のリニューアルとCRO(コンバージョン率最適化)を予定しています。

──これからの目標を教えてください。

 市橋:SEM(検索エンジンマーケティング)の観点で、強力なパワーをもつサイトに育てていきたいです。多くの人の人生に関わる「はたらく」を事業にしている会社なので、はたらくに関して悩んでいる方がふと調べたときに、その身に寄り添ってヒントを出せるようなサイトに成長させていくことが目標です。

マーケティング部門としては、単純なサイト改善やオンラインセミナー運営などに終始することなく、「社内のハブになろう」という方向性を共有しています。現行3名体制ですが、やりたいことがたくさんあるので、メンバーも増やしていきたいですね。

──ウィルゲート社に期待することを教えてください。

市橋:今はSEMとリスティング広告に関するご相談をさせてもらっていますが、ゆくゆくは、より多角的なマーケティングチームにできたらという思いがあります。10月のサイトリニューアルに向けて、ウィルゲート社と制作会社と3社で定例ミーティングをしているのですが、同じように各施策でプロフェッショナルの会社さんを交えて、ウィルゲート社がハブになって、ディレクションしてもらうような体制を取れたら、なんてことも密かに期待しています。

──最後に、ウィルゲート社のコンサルティング支援を推薦するとしたら、どのような企業や担当者様にご紹介いただけますか?

市橋:「マーケティング」という言葉の定義はとても広いので、マーケティングチームの立ち上げ時期は「何に取り組めばいいか」や施策ごとのバランスの最適解がわからなくなってしまっている担当者の方は少なくないのではないでしょうか。そうした方に、特に推薦したいです。

マーケティングはすべての施策を定量分析できるのが最大のメリットですが、数字を眺めているだけでは何も変化していかないので、ウィルゲート社のようなその道のプロフェッショナルとのコミュニケーションを通して、マーケットの情勢も考慮しながらPDCAを回していくことが結果を出すための近道だと思います。

──ありがとうございます。今後も精一杯、支援させていただきます。引き続き、よろしくお願いいたします!

 

 

 

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プロモニスタ編集者
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