
会社売却を検討する際にまず気になるのが、売却費用や自社の資産価値でしょう。「高く売るには?」「安く買い取るには?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
この記事では、会社売却をお考えの方へ向けて、会社売却時の相場や計算方法、高く売る方法などについて解説します。
\成約例や支援の特徴・流れを紹介/
この記事でわかること
・ 会社売却の相場と価格を決める代表的な計算方法
・ 売却価格に影響を与える自社の評価ポイント
・ 会社を相場よりも高く売るために準備すべきこと
・ 事業売却との税金や売却対象における違い

会社売却は、企業が持つ資産のすべてをほかの企業に売ることです。会社売却に含まれる資産には、以下のものが含まれます。
特に、中小企業の場合だと会社売却の方法として「株式譲渡」をおこなうケースが多いでしょう。株式譲渡は、会社の保有する株式を買収会社に売ることです。株式の50%程度を売却して経営権を譲る方法もありますが、すべての株式を売却してしまうのが一般的です。
また、売却によって発生した対価は株主へと渡ります。そのため、株式の多くを経営者がもともと保有していた場合は、経営者本人に売却額が引き渡されるのです。
会社売却を検討する際に、「事業売却(事業譲渡)」についても知っておきましょう。事業売却は、会社売却のようにすべての資産を売るのではなく、事業だけ(もしくは一部の事業のみ)を別の企業や個人へ移転することをいいます。
対象となる事業には、以下のものが考えられるでしょう。
事業売却と事業譲渡は同義と捉えて問題ありません。また、売却によって発生した対価は売り手企業が受け取り、利益として計上します。
M&Aによる売却価格の決め方については「M&Aにおける売却価格の決め方」で詳しく紹介しています。
会社売却と事業売却には、大きくわけて3つの違いがあります。
会社売却では事業や資産・負債などその会社が持つすべての資産が取引対象となります。一方で、事業売却は事業のみや個別の事業や資産のみを対象として、買い手に譲渡するものです。
また、会社売却では株式を売却するのが一般的ですが、事業売却では株式を売りません。代わりに「事業譲渡契約書」と呼ばれる書類に記載し、金銭を支払うことで成立させます。
どちらも買い手に資産を売却することで、利益が発生します。しかし、会社売却の場合は株式を取引するため、売却後の対価は「株主」に還元されるのです。
株主が自分の保有する株を、別の企業へ売却するイメージを持つとわかりやすいでしょう。そのため、対価は売り手企業ではなく、オーナーや経営者なども含む個人株主へ渡されます。
反対に、事業売却では法人同士の取引となるため、利益は売り手企業のものとなるのです。
売却する相手が異なると、支払う税金の種類も変わってきます。
会社売却の場合:所得税15%、住民税5%、復興特別所得税(0.315%、令和19年まで)
事業売却の場合:法人税40%、消費税10%(課税対象の資産だった場合)
会社売却であれば「株式譲渡」となるため非課税です。その代わりに、株主個人が支払う所得税や住民税などが発生すると覚えておきましょう。
一方、事業売却では売却する資産が課税対象になっている場合、売却時にも消費税がかかり、法人間取引であるがゆえに法人税もかかります。
比率だけを見ると会社売却のほうが税金が少ないように思えますが、取引額によっては会社売却のほうが大幅に上回ることもあるのです。
会社売却10億円の場合の手残り・税金については「会社売却10億円の手残り・税金」で詳しく紹介しています。
会社売却と廃業は、どちらも経営者が事業から退く際の選択肢ですが、その内容は大きく異なります。
廃業を選択した場合、会社自体が消滅し、従業員は解雇され、取引先や顧客との関係もすべて終わってしまいます。
また、会社を清算して残った資産から借入金などを返済するため、経営者の手元に残る資金は少なくなるか、最悪の場合はゼロになることもあります。
一方、会社売却の場合は、会社や事業がそのまま存続します。
従業員の雇用も原則として引き継がれ、取引先との関係や長年培ってきた技術・ノウハウも失われません。
さらに、経営者は会社の価値に応じた売却益を得ることができるため、経済的なメリットも大きくなります。
ステークホルダーへの影響を最小限に抑えつつ、まとまった資金を獲得できるのが会社売却の強みです。
会社売却のメリット・デメリットについては「会社売却のメリット・デメリット」で詳しく紹介しています。

会社売却の相場は、残念ながら明確に金額表示できるものではありません。
売却価格は、社会情勢や成長規模、需要があるかなど、さまざまな要素をもとに算出されるものだからです。
今が高くても、1年後には需要がなくなり大幅に価格が下落するケースもあります。そのため、会社売却は「◯◯万円」とかんたんには示せないのです。
会社売却と事業売却では会社売却のほうが売却価格は高めです。会社売却はその企業が持つすべての資産が取引されるため、同規模の事業売却と比べると、相場は高くなります。
それなら、「会社売却のほうが高く売れてよいのでは?」と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、事業売却にもメリットはあります。たとえば、今後も法人を残したい場合には継続できますし、不動産も残せます。
どちらがよいかは今後の経営プランや計画によって異なるため、両方のポイントをよく見極めて選ぶことが大切です。
M&Aの価格相場については「M&Aの価格相場と高く売るコツ」で詳しく紹介しています。
中小企業のM&Aにおいて、売却金額の目安を知るためによく用いられるのが「時価純資産 + 営業利益の2〜5年分」という計算式です。
これは会社の現在の資産価値に、将来生み出すと見込まれる収益性(のれん代)を上乗せするという考え方に基づいています。
土地や不動産の時価評価額などの資産から負債を引いた純資産に対し、売上ではなく利益の何倍かを加算して算出します。
のれん代として営業利益にかける年数は、事業の安定性や業界の将来性によって2年から5年の間で変動します。
この計算式を利用することで、自社の財務諸表から簡単に売却価格の目安を把握することが可能です。
事前に金額の目安を理解しておくことで、買い手企業との交渉を有利に進めやすい状態を作ることができます。
M&Aの営業利益からの計算方法については「M&Aは営業利益の何倍が相場?計算方法から高く売るコツまで解説」で詳しく紹介しています。

会社売却の相場は一概には示せないとお伝えしました。では、どんなものが価格の決め手となるのでしょうか?ここでは、売却価格を決める代表的な要素を5つお伝えします。
売り手企業が持つ市場シェアや売上高は、客観的に会社の評価をつける要素として有効です。仮に買い手企業が別の業界に参入しようと思った場合、その業界の市場規模などを把握してすぐに結果を出すのは難しいでしょう。
しかし、売り手企業が十分な市場シェアを保有し売上高も高かった場合には、買収することで売り手企業の強みを活かせます。
会社売却では、人材も売却資産に含まれています。どんなに条件が整った会社でも、働く人のスキルが低ければ成功は難しいかもしれません。そのため、売り手企業が持つ人材も重要な要素なのです。
たとえば、専門的なスキルや難しい国家資格を持った人材が多いと企業価値は高まります。なぜなら、専門性がある人を新規に探して採用するには、追加費用も時間もかかり大変だからです。
また、長年その会社に勤めている人は経験値も高く、育成能力があることも見込まれます。人材をゼロから育てるより、スキルを持った既存の従業員にノウハウなどを指導してもらったほうが、事業をスムーズに拡大していける可能性も高まるでしょう。
企業が独自に開発研究して作り上げたオリジナルのノウハウや技術があるかどうかも、売却価格に大きな影響を与えます。特に、その企業にしか作れない技術があったり、売上をたてるには何年もかかるようなノウハウを持っていたりすると、企業価値は高まるでしょう。
業界の異なる企業から見ても希少性が高く将来性が見込まれるノウハウであれば、事業拡大に役立つことが見えているため、相場価格も格段に引き上がるのです。
買収後の利益を継続できるかは、取引先や顧客の多さによっても左右されるでしょう。
江戸時代でも、商人は火事の際は顧客名簿だけは必ず持って逃げたといいます。そのくらい企業が持つ既存の顧客は大事なものとして現代でも認識されているのです。実際に、売り手企業が取引額の多い取引先や大手企業、大口注文がある顧客を持っていたなら、売却後も十分な利益が見込めるかもしれません。
一方で、取引先も少なく、取引高も低かった場合には企業価値も下がります。ゆえに、買い手企業から見て、売り手の顧客リストや取引先一覧が会社によい影響を与えると判断されると、売却価格はぐっと上がっていくでしょう。
企業風土も売却価格に影響を及ぼします。風通しの悪い社風であったり、共感性の低い理念があったりすると、どんなに優れた人材がいても売却時にほかの企業へ移ってしまうかもしれないからです。売り手企業での働き方と買い手企業での働き方の不一致は、その後の経営に大きく響きます。
会社が持つ価値観については、ほかの要素と比べると重要視しない企業もなかにはあるかもしれません。
しかし、売却後の経営を考えると切っても切り離せない重要な要素なため、売却価格にも影響を与えると知っておきましょう。
\成約例や支援の特徴・流れを紹介/

会社売却における、売却価格の計算方法を見てみましょう。ここでは、代表的な3種類を紹介します。
時価純資産法は、もっともわかりやすく算出できる方法のため、比較的規模の小さい中小企業の売却で使用されています。計算方法は以下です。
時価純資産+のれん代(営業権)=売却評価額
時価純資産は、会社の資産と負債を時価評価し、資産から負債を差し引いたものです。
のれん代(営業権)は、営業利益の平均値に持続が見込まれる年数を掛けて計算し、基本的には黒字経営の企業に限定されます。また、持続が見込まれる年数は、3〜5年程度で算出されることが多いでしょう。
例を見てみます。
のれん代部分は営業利益で算出するものの、目には見えない将来性を評価するのは難しく、数値では算出できない会社の評価を反映させにくいのがマイナスな部分です。
ただし、簡易的で客観的に評価しやすい点から、中小企業の売却では広く使われている方法です。
類似会社比較法は、売り手企業と事業や規模が似ている上場企業の株価を比較して算出する方法です。
比較するときに使われる株価と、経営指標となる倍率をかけることで、売却価格を出します。経営指標となる倍率は「EBITDA倍率」「PBR」「営業利益倍率」などが挙げられ、特にEBITDAが多く利用されています。EBITDAは、税引前の利益に、減価償却費と支払利息を足して計算されるものです。
具体例をひとつ見てみましょう。
上場企業と比べてどのくらいの会社規模になるのかが把握できます。
ただし、比較できる企業が少ない場合にはこの方法は利用できません。反対に似ている企業が多い場合には、わかりやすく算出できるのが特徴です。
DCF法は、大企業を中心によく活用されている方法です。企業が今後生み出すであろうキャッシュフロー(お金の流れ)を現在の価値に置き換えて割り引きながら算出します。
これから得られる予測収益から、未来がどうなるかわからないリスクの分を減らして今の価値を出すと考えればイメージしやすいかもしれません。DCF法は、将来のキャッシュフローを現在価値に換算することで、事業や企業の価値を評価する方法の一つであり、複雑な処理が必要となります。
例として5年分の事業計画をもとに、割引率10%で毎年100万円のフリーキャッシュフローを生み出すと仮定して、現在の事業価値を求めてみます。
1年目の事業価値 = 100万円 ÷ (1 + 10%) = 91万円
2年目の事業価値 = 100万円 ÷ (1 + 10%)の2乗 = 83万円
3年目の事業価値 = 100万円 ÷ (1 + 10%)の3乗 = 75万円
4年目の事業価値 = 100万円 ÷ (1 + 10%)の4乗 = 68万円
5年目の事業価値 = 100万円 ÷ (1 + 10%)の5乗 = 62万円
上記の将来キャッシュフローの現在価値の合計は、91+83+75+68+62=379万円となります。
DCF法では、予測期間以降の価値としてターミナルバリュー(永続価値)も考慮する必要があります。例えば、5年目以降も永続的に毎年100万円のキャッシュフローが継続すると仮定した場合、ターミナルバリューの現在価値は以下のように計算されます(ここでは簡略化された計算例です)。
永続価値(ターミナルバリュー)=62万円 ÷ 10% = 620万円
現在の事業価値 = 379万円 + 620万円 = 999万円
この場合、約1,000万円が売却価格と算定できます。ただし、あくまでも現在の価値にもとづいて将来の収益性を予測するものです。そのため、事業計画が正確に作成されていない場合は、現実とのギャップが大きくなってしまう可能性もあるので注意しましょう。
企業買収における価格策定方法については「企業買収における価格策定方法」で詳しく紹介しています。

売り手側企業が採用する計算方法と、買い手側企業が採用する計算方法が異なると当然のことながら評価額も変わってきます。
たとえば、売り手側が純資産法で5億と算定し、買い手側企業では類似会社比較法を利用して10億円と計算した場合には5億円もの差額が発生するのです。これでは、買い手企業が見込んだ価格よりも安い価格設定が売り手企業でされている状態となり、売り手企業の視点では大幅に損するかもしれません。
どの計算方法で売却価格を算出するかは、とても重要です。
会社の売上規模や利益、そして将来性によって売却相場はどのように変化するのでしょうか。
ここでは、具体的なケースを用いた売却相場のシミュレーションを解説します。
地域に根差した安定経営を行っている中小企業を想定したシミュレーションです。
たとえば、保有する不動産などの時価を反映した時価純資産が3,000万円で、毎年の営業利益が1,000万円だとします。
安定した収益基盤はあるものの、短期間での急成長は見込みにくいと判断された場合、のれん代の倍率は3年分程度に設定されるのが一般的です。
この条件で簡易計算式に当てはめると、「時価純資産3,000万円 +(営業利益1,000万円 × 3年分)」となります。
結果として、この会社の売却相場の目安はおよそ6,000万円と算出されます。
このように、手堅いビジネスモデルを持つ企業は純資産に数年分の利益が手堅く上乗せされます。
SaaS事業などを展開し、急速に成長を続けているIT企業を想定したシミュレーションです。
IT系企業は有形資産を持たないことが多く、時価純資産が2,000万円程度と少ないケースも珍しくありません。
しかし、営業利益が3,000万円あり、今後の市場拡大とストック型の安定収益が期待できるため、のれん代の倍率は高く評価され5年分に設定される傾向があります。
これを計算式に当てはめると、「時価純資産2,000万円 +(営業利益3,000万円 × 5年分)」となります。
結果として、純資産が少なくても1億7,000万円といった高い価値がつきます。
将来性と収益性の高さがあれば、2億円近い売却価格がつくことも十分に考えられます。
IT業界のM&A動向や売却相場については「IT業界のM&A動向・事例・売却相場」で詳しく紹介しています。
革新的な技術開発を行っており、先行投資のために現在は赤字となっているスタートアップ企業などのケースです。
このような企業は、時価純資産がマイナス(債務超過)で、営業利益も赤字であることが多いため、簡易的な計算式では価値を算出できません。
しかし、独自の特許技術や他社には真似できないノウハウ、将来大きなシェアを獲得できる市場性などを持っていれば話は別です。
買い手企業がその技術を自社に取り込むことで大きなシナジー効果が生まれると判断した場合、DCF法などの将来収益を見越した計算が用いられます。
その結果、現在の帳簿上は赤字であっても、3億円や5億円といった高い評価額で買収されるケースが実際に存在します。

会社売却でかかる費用には、M&A会社の仲介手数料や登記費用、監査費用、売却によって発生する税金が含まれます。
M&A仲介手数料は、どの会社に依頼するかによって大きく異なるため明確な金額は提示できません。一般的には売却額に対して1〜5%程度の金額を取るところが多いでしょう。事業規模によっては痛い損失となり得るものの、専門家のアドバイスに従って複雑な手続きを円滑に進められるため、M&A成功のためには必要な出費です。
また、登記費用や監査費用は全体の中では低い割合を占める費用のため、そこまで心配する必要はないでしょう。
一方で、大きなウェイトを占めるのが税金です。そして、会社売却か事業売却かで払うべき税金が異なります。会社の株式を売却する会社売却では、所得税・住民税・復興特別所得税(令和19年まで)の支払いが求められ、事業売却では法人税が発生するのです。各割合をチェックしておきます。
会社売却の場合:所得税(15%)+住民税(5%)+復興特別所得税(0.315%)=約20%
事業売却の場合:法人税(30%)+消費税(10%、課税対象の売却資産があった場合のみ)=40%
比率では会社売却のほうが少ないものの、会社売却のほうが相場が大きくなるため、どちらが高いかは売却価格次第です。ゆえに費用や税金の支払いも含めて、会社売却は慎重に検討する必要があります。
M&A仲介会社の手数料相場については「M&A仲介会社の手数料相場」で詳しく紹介しています。

では、会社売却にはどんなメリットやデメリットがあるでしょうか。それぞれの項目にわけて、売り手視点でのポイントを見てみましょう。
会社売却のメリットとして、まず挙げられるのが倒産や廃業のリスクをなくせることです。株式を譲渡する会社売却の場合、負債も買い手企業に譲渡されます。赤字企業であっても買い手がつけば、倒産せずに事業を別の企業へ継承できるのです。
また、売却することで利益を増やせます。将来性が評価されて、現在の資産よりも大幅に高い売却価格が設定されれば、大きな利益となりますし、違うビジネスが始められるかもしれません。
後継者がおらず今後の経営について悩んでいる状態であれば、会社売却によって継ぎ手が見つかり、事業をたたまずに済みます。大切な従業員やノウハウもそのまま譲渡されるため、会社を守ることにもつながるでしょう。
そして、会社売却の成立により、経営者の個人保証が解除されるのもメリットのひとつです。
一方、デメリットとして、会社を失うことによる喪失感が生じる可能性があります。売り手企業の経営者は、ビジネスの第一線で経営者として尽力されてきた方が多いです。しかし、会社売却によって事業から身を引くと、それまでのやりがいや意欲を失ってしまう可能性も考えられます。
また、競業避止義務により、一定期間、同業他社への転職や同業界でのビジネスが制限されることも、喪失感を深める要因となるかもしれません。事業譲渡の場合、譲渡会社は原則として20年間(特約があれば最長30年間)、同一の事業を行うことが会社法で制限されています。売却益を活用して同じ業界でのビジネス展開を検討している場合は、計画の見直しが必要になる可能性があります。
さらに、売却時の契約によっては、会社の事業引き継ぎのために数年間とどまるケースもあります。そのため、引退を予定していた場合でも、引き続き企業に在籍する可能性があることを認識しておく必要があります。

ここからは、会社を売却する際の手順を見ていきましょう。売却までのプロセスは、複数のステップで進められます。
会社売却を検討し始めたら、まずはM&A仲介会社などの専門家に相談することが一般的です。専門家への相談は、売却プロセスの初期段階で行われます。その後のステップで、企業価値評価(バリュエーション)の実施と、決算資料を含む各種資料の準備を進めることになります。
仲介会社に依頼している場合は、そのまま相手企業を探してもらいましょう。自力で探す場合は、金融機関や支援センター、オンラインのサービスを利用して募集をかけます。
候補が見つかった後は、接触を試みる前に秘密保持契約(NDA)を結ぶのが原則です。契約を結ばずに交渉フェーズに入ると、相手から自社の情報を漏らされたときに対処が難しくなるため、互いのリスク回避のためにも締結しておきます。
ここから交渉作業に入ります。
交渉の第一ステップとしては、企業概要書の提示が必要です。企業概要書は、マッチングの段階では得られなかった財務状況や沿革などの詳細な情報が記載されたものをいいます。この書面をもとに、売却時の条件や価格を決めていくのです。
企業概要書を確認して、交渉する気持ちが変わらなければ、経営者同士の面談に入ります。対面での交渉ですので、疑問点や聞いておきたいことの解消、価値観の共有などはこのタイミングでしっかりとおこなうのが望ましいでしょう。
社風や経営方針などをこまかく確認しあって、このまま売却に向けて進めてよいかを話し合います。
トップ面談の結果、このまま交渉を続けてもよいと感じたら基本合意書を締結します。基本合意書は、面談で合意した条件などを書面に起こしてあるものです。
ただし、法的な拘束力はないため、記載された条件や売却価格はそのまま実現するわけではありません。一部項目には、法的な拘束がついている場合もあります。
基本合意が終わったら、買収監査がおこなわれます。これは、財務や法務、税務、人事など各視点から、提示情報の正確性やリスクの有無を監査法人がチェックするものです。買い手企業が売り手企業の会計、法務、税務情報が正しいかを確認するために実施します。
買収監査で問題が見つかった場合には、売却価格の引き下げや条件の変更などを実施するケースが多いでしょう。なかには、これまでの交渉がすべて白紙になってしまった事例もありますので、今後を左右する重要なステップだと認識しておきましょう。
買収監査の後は、最終取引交渉と本契約の締結です。
買収価格希望や条件に対して、詳細な話し合いをおこないながら決定します。双方が最終決定にも合意したら、法的な拘束力を持つ契約を結んで会社売却を実行する段階へと進むのです。
そして、契約内容の作業を実行して終了です。売り手企業が持つ資産は、取引条件をもとに買い手企業に譲渡され、売り手企業には売却対価が渡されます。
ちなみに、決済することはクロージングと呼ばれ、契約の締結後1、2カ月以内に決済期限や一定の条件完遂日を設定するのが一般的です。
\成約例や支援の特徴・流れを紹介/

売却するにあたって、強みとなるポイントをきちんと把握しておくことは重要です。
社内では「どこの企業でもやっている基本的なもの」であっても、他社から見たら魅力的な要素かもしれません。自社の「当たりまえ」を強みと捉えず、アピールせずにいるのはもったいないことです。そのため、社内の人間だけでなく、取引先や顧客、経営者仲間などにも強みを聞いておくのがおすすめです。
反対に、弱みについてもきちんと把握しておきましょう。売却価格が下げられるリスクから、自社の弱みをあいまいにしておくと、買収監査の際に指摘されて交渉が破談するケースもあります。買収先から信頼してもらうためにも、弱みもしっかりと分析して強みに変える構想を練っておきましょう。強みや弱みの把握には、SWOT分析などのフレームワークを使って分析するのも有効です。
買収によって複数の効果が見込めるとわかれば、売り手企業の魅力は増します。相乗効果はシナジー効果ともいわれ、新たな領域や事業にも積極的に参入できるかもしれません。
買い手企業の力だけでは実現できなかったことが買収することで可能となるでしょう。さらに、期待以上の効果を発揮してくれるとわかったら、売却価格はその分上乗せされる可能性もあります。
同業者にとって、ライバルである売り手企業が魅力的であった場合、その技術やノウハウ、人材、ブランド力を取り入れたいと思うかもしれません。
同業者を買収すると事業拡大もスムーズですし、優秀な人材もそのまま譲渡される可能性もあります。ゆえに、事業内容に知識があることを評価して売却価格が上がることもあるでしょう。
同じ業界の企業が買収を検討している際には、アピールしてみるのもひとつの手です。
特定の市場で十分なシェアを持っているなら、それも強みになるでしょう。
市場シェアが大きいときに、売却を検討するのは早いと感じる人もいるかもしれません。しかし、市場シェアが小さくなってきたときには、買い手企業も買収に対してうしろ向きになるかもしれません。そのため、大きなシェアを持っていて、波に乗っているタイミングで売却するのも価格を上げるためには大切な考え方です。
売却価格が上がれば、その後のビジネスや引退後の生活も大きく変わるかもしれません。
会社の売却価格は、純資産や営業利益などの財務指標をベースに計算されます。
そのため、M&Aに向けて財務状況を買い手にとって魅力的な状態に磨き上げておくことが、高値売却の基本となります。
具体的には、無駄な経費を見直して利益率を高めたり、事業に直接貢献しない不良在庫や遊休資産を売却・整理したりすることが有効です。
また、高金利の借入金を借り換えて負債を減らすことで、純資産を増やす効果も期待できます。
事前にマイナス要因を排除しておくことで、買収監査での減額リスクを防ぎ、強気な価格交渉が可能になります。
M&Aを成功させるためには、売却を実行するタイミングの見極めが非常に重要です。
自社の業績が右肩上がりで成長しており、利益がピークに向かっているタイミングで売却に踏み切るのが理想的です。
このような時期であれば、買い手企業からも将来性を高く評価され、相場以上のプレミアム価格がつきやすくなります。
逆に、業績が悪化し始めてから慌てて買い手を探そうとすると、買い手から足元を見られやすくなります。
市場全体が成長トレンドにあるときや、自社の事業が最も輝いているときに売却を検討することが、企業価値を最大化する秘訣です。
自社の持つブランド力やノウハウといった無形資産に対する評価は、買い手企業の事業戦略によって大きく異なります。
ある企業にとっては価値が低くても、別の企業にとっては喉から手が出るほど欲しい経営資源であるケースも少なくありません。
そのため、最初から1社に絞るのではなく、複数の買い手候補と同時に交渉を進めることが大切です。
複数の企業を比較検討することで、自社の強みを最も高く評価してくれる相手を見つけることができます。
さらに、買い手候補の間で競争原理が働くため、より有利な条件や高い評価額を引き出しやすくなります。
M&Aには法務や税務、財務に関する高度な専門知識が求められるため、経営者単独で最適な交渉を行うのは非常に困難です。
企業価値を適正に評価し、自社の魅力を最大限に引き出すためには、M&A仲介会社などの専門家から支援を受けることが重要になります。
専門家が介入することで、客観的かつ論理的な根拠に基づいた企業評価額を算出でき、買い手側も納得しやすくなります。
また、仲介会社が持つ独自のネットワークを活用することで、自社だけでは出会えないような優良な買い手企業を見つけることができます。
結果として、相場よりも高い価格での売却が実現しやすくなるのです。

ここからは、会社売却の成功事例を5例紹介します。
2021年3月に、ロート製薬がオリンパスの子会社「オリンパスRMS」を買収しています。再生医療技術開発をおこなうオリンパスRMSを買収したことで、ロート製薬は同事業の発展を可能としました。
ロート製薬の細胞製造技術と合わさり、コスト削減や新たなパイプラインの創出といったシナジー効果が見込まれています。
2017〜2018年には、味の素がトルコの大手食品会社2つを完全子会社化し、イスタンブール味の素食品販売社と合わせて3社を統合しました。買収した2社は、トルコで調味料やピクルスの製造販売をおこなう「キュクレ食品」と粉末調味料やデザートなどの製造販売を手掛ける「オルゲン食品社」です。
トルコ企業の持つ販路や技術、商品に味の素が保有するブランド力が加わったことで、トルコから中東・アジア圏にも販路を拡大することがかないました。
2021年12月には、マイナビが、インドネシアでクラウドソーシングサイトを運営する「Sribu(スリブ)」を買収しました。インドネシアは、アジア圏でも高い水準の経済発展が見込まれる人口の多い市場です。そのため、マイナビの持つ求人採用・就業ノウハウを、インドネシアのクラウドソーシングシステムを活用して拡大することが期待されています。
ソフトバンクグループは、国内でも数多くの大型M&Aを実施している企業として知られています。中でも、2006年にイギリスのボーダフォン日本法人を買収したことは広く知られています。ボーダフォン買収は携帯電話の普及拡大を加速させ、その後ソフトバンクの携帯電話の累計契約数は2009年1月に2,000万件を突破しました。
2020年12月に、子ども服販売事業で知られるナルミヤ・インターナショナルが、子ども向け写真事業をおこなう「LOVST(ラブスト)」を買収しました。LOVSTは子ども写真スタジオを展開している企業です。買収により、ナルミヤ・インターナショナルは既存の最新キッズファッション事業と写真スタジオ事業をかけ合わせたシナジー効果を得られています。

ここからは、会社売却に関するよくある質問を紹介します。
赤字経営の会社でも売却は可能です。ただし、買い手企業から見て魅力的な資産を持っていたり、市場拡大が見込める業界や事業内容であったりした場合など、利益を生み出せると判断された場合のみです。負債が多く経営不振であっても、それをこえる強みがあれば売却は十分に可能でしょう。
また、強みをしっかりとアピールすることで、売却価格を想定上に引き上げられるかもしれません。
企業の規模や交渉の進捗によって大きく異なるため、売却にかかる期間をはっきりとは提示できません。しかし、6カ月〜1年半程度が一般的といわれています。
経営者は、本人の意向により引退か在籍のどちらかを選べるケースが多いでしょう。ただし、引き継ぎなどを求められた場合は数年程度在籍する必要があるかもしれません。
従業員は、基本的に買収先企業で雇用継続となるでしょう。しかし、労働環境の変化によって転職や辞職する従業員が出てくることも想定しておきます。また、経営方針や業務内容も変わるため、従業員への処遇や働き方にも大きく影響が出るといえるでしょう。
いずれの場合も事前に買収先企業としっかりと話し合って、トラブルが起きないようにすり合わせておくことが重要です。

会社売却を検討中であれば、まずはM&A会社への相談が必須です。
ウィルゲートM&Aでは、17,400社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。
一般的にM&Aの成約までは6ヶ月〜1年ほどの期間を要しますが、ウィルゲートでは平均で4ヶ月、最短1.5ヶ月での成約実績、40億円以上での成約実績もあります。完全成功報酬型で着手金無料なので、お気軽にご相談ください。
無料相談・お問い合わせはこちらから ※ご相談・着手金無料
ウィルゲートM&Aは、ベンチャー・IT領域に強い完全成功報酬型のM&A仲介サービスです。
約20年にわたるWebマーケティング支援で培った17,400社以上のネットワークを活かし、買い手企業の経営者と直接交渉が可能です。
直交渉可能な企業は5,600社に上り、売り手様からは月間約90件のご相談をいただいております。
ウィルゲートM&Aのサービス詳細は「ウィルゲートM&Aについて」で詳しく紹介しています。
ウィルゲートM&Aでは、サービス開始から6年で83組の成約実績を誇ります。
その中でも、スピーディーな調整によって短期間で事業譲渡や株式譲渡を実現した代表的な事例を2つご紹介します。
株式会社エスタイル様は、2018年に立ち上げたマッチングアプリメディア「LiFe(ライフ)」を運営し、大きな成長を遂げてきました。
しかし、今後のさらなる事業展開を見据え、事業の譲渡を決意されました。
ウィルゲートM&Aを通じてご紹介したのが、ネットメディアやサービス事業を広く展開する株式会社エヌリンクス様です。
双方の強みやニーズが合致し、経営者同士の面談からわずか約1ヶ月半という極めて短期間で成約に至りました。
ウィルゲートのメディア運営ノウハウとネットワークが活きた事例です。
ビジネスチャット「InCircle」の開発・運営を手がけてきた株式会社AI CROSS様は、社内の「選択と集中」の方針により、事業譲渡を決断されました。
同社は上場企業であり、スピーディーかつ的確なマッチングが求められていました。
当社からご紹介したナレッジスイート株式会社様とは、SaaS事業の強化という観点で非常に親和性が高く、希望されるM&Aの条件調整がスムーズに進行しました。
詳細なスケジュール管理と迅速なコミュニケーションの結果、面談からわずか2ヶ月で成約を実現しています。
ウィルゲートM&Aの成約事例は「ウィルゲートM&Aの成功事例」で詳しく紹介しています。
数あるM&A仲介会社のなかで、ウィルゲートM&Aが多くのお客様から支持され、選ばれ続けているのには明確な理由があります。
ここでは、当社ならではの3つの強みをご紹介します。
当社の成約案件は、SaaSやシステム開発、デジタルマーケティング支援など「IT・デジマ領域」が全体の8割を占めています。
また、事業承継型ではなく、さらなる事業拡大を目指す「成長志向型M&A」が9割となっているのも特徴です。
約20年にわたるWeb事業の実績があるため、専門的な技術やメディアの価値といった目に見えない資産の解像度が非常に高く、事業価値を適正に評価できます。
特に売却額1億円〜10億円規模の案件を得意としており、若手起業家のEXIT支援において圧倒的なノウハウを持っています。
M&A仲介において、着手金や中間手数料が発生する会社も多い中、当社は初期費用が一切かからない「完全成功報酬制」を導入しています。
成約まで費用が発生しないため、リスクなく売却活動を進めることが可能です。
さらに、報酬の計算には「株価レーマン方式」を採用しており、他社が採用しがちな総資産レーマン方式に比べて手数料が抑えられやすい構造です。
他社の最低手数料が一律2,000万円などと設定されているのに対し、ウィルゲートM&Aは1,000万円(譲渡額2,000万円の場合)と低水準なため、小規模なレンジの案件にも柔軟に対応できます。
当社の役員は、18,000人超の名刺交換実績や、X(旧Twitter)での71,000人超のフォロワーなど、経営者層との強固な独自ネットワークを築いています。この繋がりを活かし、買い手企業の決裁者へ直接メッセージを送り、素早い意思確認を行うことができます。
当社では、M&Aにおける買い手探しや成約までの期間について、お客様の状況に応じたサポートを提供しております。M&Aに要する期間は、案件の内容や関係者の状況によって大きく異なる場合があります。

会社売却の相場や手順、売却のメリット・デメリットなどを詳しく解説しました。会社売却には、売り手側にも買い手側にも注意すべきポイントが多くあります。そのため、失敗を招かないよう入念な準備やリサーチが不可欠です。
ウィルゲートが目指すのは、売り手様、買い手様、双方に納得感のあるM&Aです。M&Aがお客様の目的やご希望に合致しない場合、無理にM&Aをすすめることは絶対にありません。
M&Aで思わぬ失敗をしないためにも、まずは一度、ウィルゲートM&Aにご相談いただければ幸いです。
M&Aが解決策として見込める場合、17,400社以上の経営者とのネットワークから、最適なマッチングを迅速にご提示させていただきます。
成約実績は2年で50件以上、完全成功報酬型で着手金無料ですので、まずはお気軽にご相談ください!
ご相談・着手金は無料です。
売却(譲渡)をお考えの際はお気軽にご相談ください