「サイト内部を色々と改修したいし、この際リニューアルしよう。」
長年サイトを運営していると、このような場面に直面することもあると思います。
しかしサイトのリニューアルとなると、何度も経験する出来事ではないでしょう。
何から始めればいいのか、どんなことに気をつければいいのか、不安に感じるかもしれません。
そこで今回は、サイトをリニューアルする際にSEO観点で注意したい重要な項目をご紹介していきます。
リニューアル構想段階で気をつけるべきSEO項目
ここからは、実際にサイトリニューアルの構想を練っていくうえで気をつけるべきSEO項目についてご紹介していきます。
「ツリー型」のURL構造になっているか
SEOに適したURL構造とは、トップページから第一階層、第二階層と下位の階層に進むに連れて枝分かれした構造です。俗に「ツリー型」のサイト構造と呼ばれています。
この「ツリー型」の構造は、上位の階層になればなるほど、配下のページから内部リンクが集まりやすい構造となっており、必然的に検索エンジンのクローラーが回りやすいサイトになります。

1ページ1キーワードの配置になっているか
基本的にはそれぞれのページにおいて、1ページ1キーワードの流入の受け皿と考えて設計します。
予めどのページにどのようなキーワードでの検索流入を狙いたいかを想定しておくことで無駄なく集客できるようになります。
ただし、細かいキーワードそれぞれにページを作っていくと無駄にページ数が多くなってしまうこともあるので、キーワードの意味や検索意図が近いキーワードであればひとつのページに複数のキーワードを想定して作っても問題ありません。

ページの内容を検索エンジンが読み取りづらい仕様になっていないか
検索エンジンは、多くのプログラミング言語を理解できるように進化していますが、一部の言語や実装方法によっては読み取りが難しい場合があります。
例えば、JavaScriptです。JavaScriptは、Webサイトに動的な機能を追加するためのプログラミング言語です。
かつてはJavaScriptが検索エンジンにとって読み取りづらい言語とされていましたが、現在のGoogleのクローラー(Googlebot)は、最新のChromeと同等の能力でJavaScriptを処理できるようになっています。
ただし、JavaScriptの実装方法によっては、依然として検索エンジンが正確に内容を把握できない場合があります。よって、「レンダリング」を行う必要があるのです。レンダリングとは、検索エンジンがJavaScriptで生成されたコンテンツを適切に認識するプロセスのことを指しています。
このプロセスでは、JavaScriptを実行してHTMLを生成し、そのHTMLをインデックスに登録します。ただし、レンダリングには時間がかかる場合があり、すべてのJavaScriptコンテンツが即座にインデックスされるわけではありません。
したがって、重要なコンテンツやリンクは、JavaScriptに過度に依存せず、HTMLで直接提供することが推奨されます。また、サーバーサイドレンダリング(SSR)やダイナミックレンダリングなどの技術を使用することで、JavaScriptを使用しつつもSEOに配慮したWebサイトを構築することができます

内部リンクが網羅的に設置されているか
リニューアル後のサイト構造が「ツリー型」となっていれば、設置できる内部リンクの数にも幅が出てきます。
その中でも上位階層から下層ページへ遷移する「行き」のリンクだけでなく、下層ページから別の上位階層へいく「戻り」のリンクを用意しましょう。
「戻り」のリンクを用意することで、ユーザー、検索エンジンの双方に対して、回遊できるページ数を増やすことができます。

近しいテーマのコンテンツが同じ階層にまとまっているか
検索エンジンはサイト内の各階層ごとでも評価する傾向にあります。
その際に、似通ったテーマのコンテンツを同じ階層にまとめておくことで、そのテーマについての関連性を強めることに繋がるでしょう。

XMLサイトマップを設定しているか
XMLサイトマップとは、検索エンジンにサイト内のURLを伝え、クロールとインデックスを促進させる働きを持っています。
XMLサイトマップを設定しておくことで、サイトリニューアルによって新しいページ構造になった際にも検索エンジンに迅速に情報を伝えられたり、内部リンクの構造が変化したとしてもクロールの促進に作用します。
SEO対策では新規記事の更新、リライト、ページの更新など日々更新を行うことが基本です。しかしサイトの規模が大きくなればなるほど、サイトの更新情報が検索エンジンに伝わりにくくなってしまいます。
よって、XMLサイトマップを設定し、更新情報を検索エンジンへ伝えることが重要です。
さらにXMLサイトマップは下記の特性ももちあわせています。
- 内部リンクが少ないページのクロールの促進
- 大規模サイトのクロール優先順位の伝達
- 新規ページや更新ページの迅速なインデックス化
サイト制作段階で気をつけるべきSEO項目
次はサイト制作段階で気をつけるべきSEO項目です。
コンテンツを減らしすぎていないか
サイトリニューアルを行う多くの目的は、「UI・UXの向上」「デザイン性を高めて会社のリブランディング」になります。
その際に、もともとのコンテンツを減らしすぎてしまい、デザインはよくなったが検索上位化されなくなった、ということはよくあります。Googleは情報量が少ないページを低評価ページと判定するため、リニューアル前後で大きく検索順位が下がってしまうことがあります。
もし、デザインの都合でテキストを削減させたい場合はアコーディオンメニューを活用するなどして、コンテンツを削除せず、かつデザイン性も失わない工夫をしましょう。
robots.txtでクローラーを拒否していないか
サイトリニューアルの際、robots.txtによってクロールを拒否した状態で、テスト環境を使っている事があります。
そのままにしておくと、サイトがなかなかインデックスされないという事態にもつながります。
もし「リニューアルしたんだけど、なかなかサイトがインデックスされない」という場合は、noindexでクローラーを拒否している設定になっていないかを確認しましょう。
現在使用中のドメインを移管するか
サイトリニューアル時にドメインを移管するかは必ず確認しましょう。
使用中のドメインを継続して使用する場合はそこまで弊害は生じませんが、新しくドメインを取得した上で、ドメイン移管を行う場合は新旧の対応するページにおいて、適切に転送設定を行う必要があるでしょう。

各ページの主要なタグにキーワードが記述されているか
まずは各ページの主要なタグに、各ページ毎に集客していきたいキーワードを含めましょう。
ここで言う主要なタグとは、下記のタグを指しています。
- titleタグ
- meta-descriptionタグ
- meta-keywordsタグ
- h1タグ
SEO施策の定番中の定番となる部分ですが、サイトリニューアル時も必ず押さえておきましょう。
内部リンクを減らしすぎていないか
サイトリニューアルによって、以前存在していた内部リンクが削除されてしまったり、コンテンツが削除されることでそのページへの内部リンクも失われてしまう可能性があります。
サイトリニューアルで内部リンクを減らしすぎると、検索エンジンのクローラーがサイト内を効率的に巡回できなくなります。同時に、ユーザーもサイト内を回遊しにくくなり、ユーザビリティの低下にもつながります。
サイトのURLが正規化されているか
「URLのwwwあり/なし」や、「http/https」で同一のURLに転送されるかなど、URLが正規化されているかを確認しましょう。
特にリニューアルによってURLに変更が生じるサイトはもちろんのこと、今までは正規化されていたサイトだとしても、リニューアル後でも設定が変わってしまう可能性があるため、必ず確認することをおすすめします。
もしURLが正規化されていなかった場合は、そのままにしておくと重複ページとして検索エンジンに認識されてしまう可能性があるため、.htaccessファイルなどを利用し、サーバー側の設定を変更するようにしてください。

パンくずリストが適切に配置されているか
閲覧しているページがサイト内のどの場所に位置しているかを示すパンくずリストが設置されているかを確認しましょう。
特にパンくずリストは、サイト内におけるナビゲーションの役割と、内部リンクとしての役割の両役を担う重要な項目となります。

title、description、見出しが適切に設定されているか
リニューアルに伴い、titleやdescription、h1などの見出しが変更してしまうことがあります。
特に、titleや見出しは「ページの情報を検索エンジンに伝える役割」を担っているため、適切に設置されないことで起こるSEO上のデメリットは非常に大きくなってしまいます。
また、descriptionに関してはユーザーがクリックするか否かを決める非常に重要な要因になり、ページの情報をユーザーに伝える大切な機能を担っています。よってtitleやdescription、見出しの扱いには十分に気を付ける必要があります。
特に、テンプレートによっては「タイトルを変更すると、そのディレクトリ内すべてのタイトルが変更してしまう」「タイトルを個別に変更することができない」などのmeta要素がページごとに個別に設定できないケースがあります。
この場合は、ページごとに変更やテンプレートで一括変更がでいるタイプのどちらも可能な仕様にすることが大切です。
ユーザー向けのサイトマップが用意されているか
サイトマップが用意されているかも大事な指標の一つです。
サイトマップページはサイトを構成するページを地図のようにまとめたページとなり、パンくずリストとは別の意味合いで、ユーザーへのナビゲーションページとなります。

XMLサイトマップ(sitemap.xml)が用意されているか
上記のユーザー向けのサイトマップページの他に、XMLファイルで構成されたサイトマップが用意されているかも合わせてチェックしましょう。
XMLサイトマップはサイト内のページをクローラーに知らせる役割を担うファイルのため、リニューアル時は大幅にページが変更となるため、XMLサイトマップを新しく用意する、または、以前のXMLサイトマップを更新する必要があります。

サイトの仕様別に気をつけるべきSEO項目
ここでは全てのサイトに共通している項目ではないものの、SEO項目として重要なものをピックアップしています。
ページネーションタグが適切に設置されているか
ページ送り(ページネーション)が使用されているページに限り、ページネーションタグが設置されているかをチェックしましょう。
ページネーションタグは、検索エンジンに対してタグが設置されている範囲を一括りとして認識させることができるため、ページ送りによってコンテンツがバラバラに認識され、重複コンテンツとして扱われてしまうことを防ぐ効果があります。
また、検索キーワードに関連したページを上位表示させやすくなります。

モバイル向けサイトとの連動ができているか
同一サイト内にモバイル向けサイトが存在していて、かつ別URLで表示される場合は、モバイル向けサイトと適切に連動する必要があります。
canonical属性とalternate属性を利用して、各ページを検索エンジンに認識してもらいます。

ソーシャル対策がされているか
リニューアル後のサイトにおいて、コンテンツの拡散などにソーシャルメディアを利用したいと考えているならば、ソーシャル対策も必要となるでしょう。
初期段階で設定が可能なのは、OGPタグとソーシャルボタンの設置です。それぞれが適切に設置されていて、きちんと機能しているかを確認しましょう。


存在しないページ、削除したページは404を返しているか
サイトリニューアル時に、存在しないページや削除したページが適切に404エラーを返すように設定することは、SEOの観点から非常に重要です。
404エラーは、ページが見つからないことを検索エンジンとユーザーに明確に伝えます。これにより、検索エンジンは不要なページのインデックスを避け、クロールリソースを効率的に使用できます。適切な404エラー設定は、以下の利点があります。
- ユーザーエクスペリエンスの向上:訪問者に明確な情報を提供し、サイト内の他のページへの誘導が可能になります。
- クロールバジェットの最適化:検索エンジンのボットが不要なページを繰り返しクロールすることを防ぎます。
- サイトの信頼性維持:存在しないコンテンツへのアクセスを適切に処理することで、サイトの品質と信頼性を保ちます。
リニューアル時には、旧URLと新URLのマッピングを作成し、削除されたページを特定して404エラーを返すよう設定することが重要です。
また、カスタム404ページを作成し、ユーザーを有用なコンテンツへ誘導することも効果的です。
Google Search Consoleでドメイン変更を伝えているか
サイトリニューアルでドメインを変更した場合、Google Search Consoleを使用してGoogleにドメイン変更を通知することは極めて重要です。
この手順を適切に行うことで、新しいドメインへのスムーズな移行と、検索順位の維持に大きく貢献します。ドメイン変更の通知プロセスは以下の手順で行います
- 新しいドメインをSearch Consoleに追加し、所有権を確認します。
- 旧ドメインのSearch Consoleで「設定」→「アドレス変更」を選択します。
- 新しいドメインを選択し、検証を行います。
- Googleが変更を処理するまで待ちます(通常180日間表示されます)。
この通知により、Googleは旧ドメインから新ドメインへのリンクの移行を適切に処理し、検索結果を更新します。
サイト内にあるリンクのURLを新URLにしているか
また、301リダイレクトを併用することで、さらに効果的な移行が可能になります
サイトリニューアル時に、サイト内の全てのリンクを新しいURLに更新することは、SEOとユーザーエクスペリエンスの両面で非常に重要です。この作業を怠ると、内部リンク構造が崩れ、SEOパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
- クローラビリティの向上:検索エンジンのボットが新しいページ構造を正確に理解し、効率的にクロールできます。
- ユーザーエクスペリエンスの改善:訪問者がリンク切れに遭遇する頻度が減少し、スムーズなナビゲーションが可能になります。
- リンクジュースの適切な分配:内部リンクを通じたページ間の価値の受け渡しが正しく行われます。
リンク更新のプロセス
- サイト全体のリンク監査を行い、更新が必要なリンクを特定します。
- 新旧URLのマッピングを作成し、システマティックに更新を行います。
- 動的に生成されるリンクのソースコードも確認し、必要に応じて修正します。
- 更新後、リンクチェックツールを使用して、全てのリンクが正しく機能していることを確認します。
この作業は時間がかかりますが、サイトの健全性とSEOパフォーマンスを維持する上で不可欠です。
サイトリニューアルを外注する際に確認するべきこと
ここから、もしサイトリニューアルを外注するなら、どんなことにきをつけるべきなのか、確認事項をお話します。
SEO対策の知見は豊富か
サイトリニューアルを外注する際、SEO対策に関する豊富な知見を持つ業者を選ぶことが重要です。SEOは常に変化する分野であり、最新のアルゴリズム更新や業界のベストプラクティスに精通している業者を選ぶべきです。
SEOの基本原則であるオンページ最適化、技術的SEO、コンテンツ戦略などに関する深い理解は必須となります。また、検索エンジンのアルゴリズム変更への対応能力や、モバイルファーストインデックス、コアウェブバイタルなどの最新トレンドへの対応力も重要な評価ポイントとなります。
業者の知見を評価する際は、過去のプロジェクトでの成功事例やSEOに関する独自の見解を求めることが有効です。特に、業界動向の分析力や、クライアントのビジネスに合わせた戦略立案能力は、プロジェクトの成否を左右する重要な要素となります。
サイトリニューアルのSEO対策の実績は豊富か
サイトリニューアルにおけるSEO対策の実績は、業者選定の重要な基準となります。類似規模・業種のサイトリニューアル実績、リニューアル前後でのトラフィック変化のデータ、そして具体的なSEO戦略とその効果について、詳細な説明を求めることが重要です。
実績豊富な業者は、リニューアル時に起こりがちな問題、例えばリダイレクト設定ミスや重要ページの削除などを事前に回避する能力を持っています。また、クライアントの声や事例研究を通じて、業者の実力をより正確に評価することができます。特に、長期的な視点でのSEO戦略の立案と実行能力は、重要な評価ポイントとなります。
サイトリニューアルの際に知っておくべきこと
ここからは、サイトリニューアルの際に知っておくべきことをお話します。
必ず理解してサイトリニューアルに臨むようにしましょう。
サイトリニューアルによって検索順位が落ち込むケースがあること
サイトリニューアル後、一時的に検索順位が落ち込むことは珍しくありません。
これは「Google Dance」と呼ばれる現象の一部です。主な要因として、URLの変更によるリンク価値の一時的な損失、コンテンツの大幅な変更による再評価期間、そしてサイト構造の変更によるクロール効率の一時的な低下が挙げられます。
この落ち込みは通常一時的なものですが、適切な対策を講じることで影響を最小限に抑えることができます。
301リダイレクトの適切な設定、XMLサイトマップの更新、そして重要なコンテンツの維持などが、効果的な対策として挙げられます。先述のチェックリストを徹底できると理想です。
プロジェクトのマネジメントが非常に難しいこと
サイトリニューアルは複雑なプロジェクトであり、効果的なマネジメントが不可欠です。
明確なゴールとKPIの設定から始まり、詳細なプロジェクトタイムラインの作成、ステークホルダー間のコミュニケーション管理、そしてリスク管理と緊急時の対応計画まで、多岐にわたる要素を適切に管理する必要があります。
特に重要なのは、デザイン、開発、SEO、コンテンツなど、異なる専門分野のチーム間の連携です。プロジェクトマネージャーには、これらの要素を調整し、一貫性のあるビジョンを維持する能力が求められます。
また、サイトリニューアルが長期化してしまうことによってモチベーションがていかしてしまい、進捗に課題が出始めることも多々あります。明確な課題設定とスケジュール管理、そしてプロジェクト期間の適切な設定など、細かいマネジメント業務を徹底していきましょう。
サイトリニューアル後の効果検証が難しいということ
リニューアル後の効果検証は、複数の要因が絡み合うため、非常に複雑な作業となります。
複数の変更が同時に行われるため、個々の要素の影響を分離して計測することが非常に難しくなります。効果的な検証のためには、リニューアル前のベースラインデータの収集、明確なKPIの設定、そして継続的なモニタリングが重要です。
また、A/Bテストなどの手法を用いて段階的に変更を加えることで、より正確な効果測定が可能になります。短期的な変動と長期的なトレンドを適切に区別し、データに基づいた改善施策を実施することが、成功への鍵となります。
チェックリスト
上記の内容をまとめたチェックリストです。
サイトリニューアルの時はもちろん、サイト内部のチェックにも使えます。

まとめ:サイトのリニューアルの際には準備を入念に
サイトリニューアルのときには、同時に色々なことを考えなくてはなりません。
実施してから「ここも変えとけばよかった!」なんてことにならないよう、入念に準備しましょう。
SEO強化も同時に考えなければならないことのひとつです。
抜け漏れが無いように、チェックリストを活用していただければ幸いです。
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