
株式譲渡によって利益が生じた場合、その利益に対して税金が課されます。株式譲渡の税金計算は複雑に思えるかもしれませんが、基本的な仕組みを理解することが重要です。
この記事では、株式譲渡にかかる税金の種類や税率、具体的な計算方法について解説します。また、確定申告が必要になるケースや、税負担を軽減するための節税対策についても網羅的に説明するため、ぜひ参考にしてください。
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株式譲渡によって得た利益には、所得税、住民税、そして復興特別所得税の3種類の税金が課税されます。これらの税金は、利益に対してそれぞれ個別の税率でかかるのではなく、合計した税率が適用される仕組みです。次の項目で、具体的な税金の内訳と合計税率について詳しく見ていきましょう。
「株式譲渡」に関しては以下の記事でも詳しく解説しています。
■株式譲渡とは?メリットデメリットやM&Aでの手続きの流れ、税金について解説
https://www.willgate.co.jp/ma-column/knowledge/1484/
株式を売却して得た利益である譲渡益は、税法上「譲渡所得」に分類されます。この譲渡所得は、給与所得や事業所得など他の所得とは合算せず、単独で税額を計算する「申告分離課税」の対象です。
具体的には、譲渡所得に対して所得税と住民税が課されます。
さらに、2037年までは所得税額に対して2.1%の復興特別所得税も合わせて納付する義務があります。
この3つの税金を総称して、一般的に譲渡所得税と呼ばれることもあります。
個人が株式の譲渡によって利益を得た場合、その利益に対して合計で20.315%の税率が適用されます。
この税率の内訳は、所得税が15%、住民税(地方税)が5%、そして所得税額の2.1%分である復興特別所得税が0.315%(15%×2.1%)です。
この税率は、上場株式でも非上場株式でも原則として変わりません。例えば、株式譲渡で100万円の利益が出た場合、納税額は20万3,150円となります。

株式譲渡の税額を正確に把握するためには、まず課税対象となる譲渡所得を計算する必要があります。
譲渡所得は、株式の売却によって得た金額そのものではなく、そこから株式の購入費用や手数料を差し引いた利益部分を指します。この譲渡損益の計算が、税金計算の第一歩です。
ここでは、具体的な計算式とシミュレーションを通じて、ご自身のケースに合わせた税額の算出方法を解説します。
株式譲渡における課税対象の利益(譲渡所得)は、シンプルな計算式で算出できます。
基本式は「譲渡価額-(取得費+委託手数料など)」です。
ここで言う「譲渡価額」とは、株式の売却によって買い手から得た対価、つまり売却金額のことです。
「取得費」は、その株式を購入したときの代金を指し、「委託手数料など」は、売却時に証券会社へ支払った手数料などが含まれます。この計算式により、売却で得た金額から必要経費を差し引いた、純粋な利益部分を正確に求められます。
取得費とは、株式を取得するために直接要した金額を指し、単に株式の購入代金だけではありません。
具体的には、株式を購入した際の委託手数料や、購入資金を借り入れた場合の借入金利子(取得の日までにかかる部分)なども取得費に含めることが可能です。
また、相続や贈与によって株式を取得した場合は、被相続人や贈与者が支払った購入代金と手数料が取得費となります。これらの費用を正確に把握し計上することで、課税対象となる譲渡所得を適切に圧縮できます。
先祖代々受け継いだ株式や、購入時期が古く資料が残っていない場合など、正確な取得費が不明なケースがあります。取得費が0円や1円でも、税法上は取得費が不明な場合として扱われます。このような場合、売却代金の5%相当額を「みなし取得費」として計上することが認められています。
例えば、売却代金が1,000万円で取得費が不明であれば、その5%である50万円を取得費として譲渡所得を計算できます。実際の取得費が売却代金の5%を下回る場合にも、このみなし取得費の規定を選択することが可能です。
具体的な数値を用いて、譲渡所得と納税額を計算してみましょう。
株式の取得費:200万円(購入手数料込み)
株式の譲渡価額(売却価格):300万円
売却時の委託手数料:5万円
譲渡所得の計算
譲渡所得=300万円-(200万円+5万円)=95万円
納税額の計算
納税額=譲渡所得95万円×税率20.315%=192,992.5円
税額の端数は切り捨てるため、この場合の最終的な納税額は192,992円となります。
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株式譲渡で利益が生じた場合、原則として確定申告が必要です。しかし、利用している証券口座の種類によっては、確定申告が不要になるケースもあります。自身の取引状況を正しく理解し、申告が必要かどうかを判断することが重要です。
ここでは、どのような場合に確定申告が必要で、どのような場合に不要となるのかを具体的に解説します。
「源泉徴収ありの特定口座」を利用して株式取引を行っている場合、原則として確定申告は不要です。
この口座では、株式を売却して利益が出るたびに、証券会社が自動的に税金を計算し、利益から税金分を差し引いて、本人に代わって国に納税してくれます。
年間を通じての損益計算も証券会社が行うため、投資家自身で複雑な計算や申告手続きを行う手間が省けます。ただし、後述する損益通算や繰越控除を利用したい場合は、この口座であっても確定申告が必要です。
株式譲渡において、確定申告が必須となるのは、主に3つのケースが挙げられます。
1つ目は、自分で損益計算を行う必要がある口座で取引した場合です。
2つ目は、証券会社を介さない非上場株式を譲渡した場合。
そして3つ目は、会社員など給与所得者で、株式の利益が一定額を超えた場合です。
これらのケースに該当する場合、税金の計算と納税手続きを自分自身で行う必要があるため、確定申告を忘れないよう注意しなければなりません。
「一般口座」や「源泉徴収なしの特定口座」で株式取引を行い、利益が出た場合は確定申告が必須です。これらの口座では、源泉徴収の仕組みがないため、証券会社が税金を自動で納付してくれません。
そのため、投資家自身が1月1日から12月31日までの1年間の全取引を計算し、譲渡損益を算出して確定申告書を作成し、納税する必要があります。特に一般口座では、取得費の管理も自分で行う必要があるため、取引記録を正確に保管しておくことが重要です。
M&Aや事業承継の一環として、会社のオーナーが保有する非上場株式を買い手企業などに譲渡した場合も、確定申告が必要です。
非上場株式の取引は、証券取引所を介さず、当事者間の合意に基づいて行われる相対取引が一般的です。そのため、源泉徴収の対象とはならず、株式を譲渡したオーナー自身が譲渡所得を計算し、申告・納税する義務を負います。
これは、中小企業の株式譲渡によるM&Aや、親族内承継で同族会社の株式を売買する際などによく見られるケースです。
「中小企業のM&A」に関しては以下の記事でも解説しています。
■中小企業のM&Aの注意点は?買い手・売り手が気を付けることや成功事例も解説
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給与所得があり、年末調整で納税が完了している会社員の方でも、株式譲渡による利益を含む給与以外の所得が年間で合計20万円を超えた場合は、確定申告が必須となります。
例えば、年間の譲渡益が10万円であれば申告は不要ですが、30万円の利益が出た場合は確定申告をしなければなりません。この20万円ルールは、「源泉徴収なしの特定口座」や「一般口座」で取引した場合に適用される点に注意が必要です。
確定申告は、株式を譲渡した取引が発生した年の翌年に行います。申告期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。この期間内に、必要な書類を揃えて税務署に確定申告書を提出する必要があります。
また、算出された税金の納付期限も、申告期限と同じ3月15日です。申告や納税が遅れると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があるため、期限は必ず守るようにしましょう。
なお、税制は時の状況に応じて改正されることがあります。

株式譲渡にかかる税金は、いくつかの制度を正しく利用することで、その負担を合法的に軽減することが可能です。
特に、損失が出た場合に活用できる「損益通算」や「繰越控除」は、知っているかどうかで手元に残る金額が大きく変わる可能性があります。
ここでは、株式投資を行う上で知っておきたい代表的な4つの節税対策について、その仕組みと活用方法を解説します。
■関連記事:M&Aの税金と節税方法を徹底解説【売り手・買い手別】
損益通算とは、同一年内に複数の証券口座で取引を行い、利益が出た口座と損失が出た口座がある場合に、それらの利益と損失を合算できる制度です。例えば、A口座で50万円の利益、B口座で30万円の損失が出たとします。この場合、確定申告で損益通算を行うと、課税対象となる利益を20万円に圧縮できます。
源泉徴収ありの特定口座で利益が出て税金が引かれていても、損益通算をすれば払い過ぎた税金が還付されます。
この制度を利用するためには、確定申告が必須です。
繰越控除は、年間の取引を合計した結果、損失が発生した場合に、その損失を翌年以降最大3年間にわたって繰り越し、将来の利益と相殺できる制度です。
例えば、今年50万円の損失が出た場合、確定申告をしておくことで、来年以降に発生した利益から50万円を控除できます。
これにより、将来の税負担を軽減することが可能です。
この繰越控除の適用を受けるためには、損失が発生した年だけでなく、その後取引がない年も含めて毎年連続で確定申告を行う必要があります。
相続によって取得した株式を、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却した場合、「取得費加算の特例」という制度を利用できます。
これは、その株式を取得するために支払った相続税の一部を、株式の取得費に加算できるというものです。取得費が増えることで、課税対象となる譲渡所得が減少し、結果的に所得税・住民税の負担を軽減できます。
この特例の適用を受けるためには、相続税を納めていること、そして確定申告を行うことが条件となります。
NISA(少額投資非課税制度)は、個人の資産形成を支援するための税制優遇制度です。
NISA口座内で株式や投資信託を購入し、それらを売却して利益(譲渡益)が出た場合、年間で定められた非課税保有限度額の範囲内であれば、その利益には一切税金がかかりません。
本来であれば20.315%課税されるところが非課税となるため、非常に効果の高い節税対策といえます。
計画的にNISA口座を活用することで、税負担を気にすることなく効率的な資産運用を目指せます。

株式譲渡の税金には、基本的なルール以外にも注意すべき点がいくつか存在します。
例えば、上場株式と非上場株式では税務上の扱いが異なる部分があったり、株主が個人か法人かによって適用される税金そのものが変わったりします。
また、親族間での取引には思わぬ税金が発生するリスクもあります。
ここでは、そうした特定のケースにおける税務上の注意点を解説し、資産管理会社設立などの資本政策にも触れます。
株式譲渡における損益通算には重要なルールがあります。
それは、証券取引所に上場している「上場株式」と、それ以外の「非上場株式」の間では、利益と損失を相殺する損益通算ができないという点です。
例えば、上場株式の取引で100万円の利益が出て、一方で非上場株式の取引で80万円の損失が出たとしても、両者を合算することはできません。
この場合、100万円の利益に対してそのまま課税されます。
それぞれの株式区分の中でしか損益通算は認められていないため、注意が必要です。
これまで解説してきた税金は、個人が株主である場合のものです。
株式を保有しているのが個人ではなく法人の場合、その株式を売却して得た利益(売却益)は、個人の所得税ではなく法人税の課税対象となります。
個人の場合は分離課税として一律20.315%の税率ですが、法人の場合は他の事業収益などと合算された上で、法人税率(実効税率で約29%~34%程度)が適用されます。
このように、株主が個人から法人に変わるだけで、適用される税金の種類や税率が全く異なることを理解しておく必要があります。
親子や夫婦など、家族・親族間で株式を譲渡する際には、その売買価格に注意が必要です。
親族間で時価より著しく低い価額で株式を譲渡した場合には、差額部分が贈与とみなされ、買主側に贈与税が課される可能性があります。なお、「著しく低い価額」に当たるかどうかは個別具体的に判断されます。これを「みなし贈与」と呼び、買主側には贈与税が課される可能性があります。
これは無償で株式を譲渡した場合も同様です。
意図せず高額な税金が発生することを避けるためにも、親族間での株式譲渡は専門家へ相談することが推奨されます。
ここでは、株式譲渡の税金に関して多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式で解説します。
年間の譲渡損益がマイナス、つまり損失が出ただけであれば、確定申告を行う義務はありません。
しかし、「損益通算」や「繰越控除」といった特例制度を利用して税負担を軽減したい場合には、確定申告が必要です。
これらの制度を活用するために、あえて申告することをおすすめします。
日本の居住者が海外の株式(外国株)を売却して利益を得た場合、その利益は国内株式と同様に日本の税法に基づき、申告分離課税の対象となります。税率も原則20.315%で同じです。
ただし、外国で所得税に相当する税が実際に課されている場合には、二重課税を避けるため、確定申告で外国税額控除を検討できます。
上場株式の配当金は、受け取る際に20.315%の税率で源泉徴収されており、そのままで課税関係を終了させることができます。ただし、大口株主等は取扱いが異なる場合があります。
また、確定申告を行う場合は申告分離課税または総合課税を選択できますが、配当控除が使えるのは原則として国内法人からの配当を総合課税で申告した場合です。申告分離課税を選択した上場株式の配当所得には、配当控除は適用されません。
総合課税を選ぶと、配当控除が適用され税負担が軽減される場合があります。
株式譲渡によって生じた利益には、所得税、住民税、復興特別所得税を合わせて20.315%の税金が課されます。
税額の計算は、「譲渡価額-(取得費+委託手数料など)」で算出された譲渡所得に税率を乗じて行います。
「源泉徴収ありの特定口座」では原則確定申告が不要ですが、一般口座での取引や非上場株式の譲渡では申告が必須です。
損失が出た場合には、損益通算や繰越控除といった制度を活用することで税負担を軽減できます。
自身の状況に合わせて、適切な申告と納税を行うことが重要です。
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