第三者割当増資のメリットとデメリットとは?手続き方法も解説

第三者割当増資のメリットとデメリットとは?手続き方法も解説
この記事の監修:M&A専門家
四辻 弘樹
S M B C日興証券・みずほ証券の投資銀行部においてM&A、ファイナンス、I P O等に携わる。その後は上場企業のテモナにおいてCSOとして事業戦略、M&A、新規事業開発に従事。現在はM&Aアドバイザリーの他、資金調達支援、IPO支援に加えCFOとしての活動。

会社を経営する上で、資金調達をする場面は何度もあります。創業時だけでなく、新たな会社を設立したり負債を返済したりするときの資金調達の方法の一つに第三者割当増資があります。

この記事では、第三者割当増資のメリットやデメリットについて詳しく解説します。

第三者割当増資とは

会社が資金調達する場合、金融機関からの借り入れ、または第三者割当増資を検討することが一般的です。

第三者割当増資とは、すでに株主になっている人に対して新株を割り当てるのではなく、特定の第三者に自社の新株を割り当て、発行することをいいます。第三者割当増資を行うことで、上場会社だけでなく未上場の企業や株式を公開していない企業でも資金調達が可能になります。

第三者割当増資の条件

第三者割当増資が行える条件としては、発行する会社とは友好的な取引であること、第三者割当増資でも発行会社の100%の議決権は取得できない、発行会社が現金を直接調達できる、などがあります。

M&Aの手法としても

第三者割当増資は、資金調達の方法として用いられるだけでなく、M&Aの手法としても採用されるケースがあります。

資金調達の場合は、株式を発行したときに資金が直接払い込まれますが、M&Aの場合は議決権の過半数、もしくは3分の2以上を取得するために行います。議決権の過半数を取得すると役員の選任や解任などが可能になります。また、3分の2以上を取得すれば、定款の変更などを行えるようになります。

M&Aにおける第三者割当増資と株式譲渡の違いは、第三者割当増資は既存株主はそのままで新株が発行されるので既存株主が残った状態の構成ですが、株式譲渡では現株主から株式を譲渡してもらうので株主構成で現株主がすべてまたは一部抜けた構成となります。

また、株式譲渡は株主間で行われる取引のため、発行会社に影響はありません。しかし第三者割当増資は新株を発行することで発行会社に資金が入るようになります。

第三者割当増資のメリット

第三者割当増資のメリット

第三者割当増資には、資金調達としての方法として利用されるいろいろなメリットあります。詳しく説明します。

スピーディーに資金調達ができる

多くの第三者割当増資の場合、出資者が決まっているため手続きがかんたんです。公開会社なら取締役会決議で第三者割当の株式を発行できます。

株主総会の特別決議が必要ないので、最短で1日あれば募集株式の申し込み、株式発行などが行えます。ほかの増資方法の場合は、少なくとも2週間ほど時間がかかってしまいます。

第三者割当増資では会社に直接資金を投入できるので、短期間で資金調達が可能です。

事業拡大・信用度の強化

第三者割当増資で資金を調達すれば、純資産が増えます。それに伴い会社の事業拡大が可能になり、信用度も強化できます。また、第三者割当増資の引受先との関係も強められます。自社の株式を保有してもらえば、お互いの関係性が明確になる上、相互にメリットがもたらされるよう積極的に取引も行われるようになります。

出資者を指定できる

第三者割当増資を行う場合、出資者を指定できます。公募増資の場合は、その性質上発行会社が引受先を選定できません。そのため、経営に積極的に介入してくる株主や身元がよくわからない株主などが応募する可能性もあります。

しかし、第三者割当増資は発行会社が出資者を指定できるため、安心して手続きを進められます。

返済が必要ない

第三者割当増資で資金調達したお金は、返済の義務がありません。新株を引き受けた株主への配当などでは必要ですが、返済のスケジュールなどはないので、社債や借入金などよりも、柔軟に資金を調達し利用できます。

また会社から新株を発行した際の資金は、発行会社へ直接払い込まれるため、株式譲渡とは違い税金が発生することもありません。

第三者割当増資のデメリット

第三者割当増資のデメリット

第三者割当増資にはもちろんデメリットもあります。資金調達に第三者割当増資を採用する場合は、メリットだけでなく問題点も理解しておく必要があります。

株式の希薄化

新規株式を発行すると発行済の株式数が増加するため、1株あたりの価値が相対的に下がります。これを株式の希薄化といいます。株価が下がれば、既存の株主にも影響が出ます。既存の株主から反発が起きたり、損失を防ごうと株式を手放そうとしたりする可能性もあります。

また、株式を発行する価額が発行法人の株式よりも低い場合も、既存株主は損をすることになります。このような事態になった場合、既存株主を保護する必要があります。

1株あたりの株価は、株価を発行株式数で割れば算出できます。また、発行価額が高い場合は、既存株主の株価より高い金額が振り込まれるので問題はありません。

100%の議決権はない

第三者割当増資をしても既存株主の株式が残っているので、100%の議決権を取得することはできません。100%の株式を取得したい場合は、ほかの手法を使ったり第三者割当増資と別の手法を組み合わせたりする必要があります。

増税になる場合がある

第三者割当増資を行って資金調達した場合、資本金が増えて増税になる可能性があります。資本金は1,000万円または1億円を超えると増税になります。

資本金が1,000万円を超えると、消費税が課税されることになり納税の義務が発生します。1,000万円以下の場合は、消費税は免税になります。また、1億円以上になった場合は、法人税の軽減税率の適用がなくなります。さらに、中小法人に優遇される税制も適用されなくなるため、増税になります。

第三者割当増資を実施する前に、増資後資本金がいくらになるかを計算して資金調達をする必要があります。

第三者割当増資の手続きの流れ

第三者割当増資の手続きの流れ

第三者割当増資を行うときの手続きの流れを詳しく見ていきましょう。

まず、第三者割当増資の募集事項を決定します。公開会社であれば取締役会で決定できます。募集事項は募集株式の種類や数、募集株式の払込金額と算定方法、募集株式と引換える金銭の払込みの期日や期間、出資目的が金銭以外の財産の場合はその旨と当該する財産の内容と価額、金銭以外の財産の給付期日または期間、増加する資本金及び資本準備金に関する事項などがあります。

募集事項が決まったら払込期日もしくは払込期間の初日の2週間前までに、株主に対して通知か公告をしなければいけません。

募集株式の引受けを申込みしたい者に対しては、株式会社の称号、募集事項、払込みの取扱いの場所、その他法務省令で定める事項を通知する必要があります。また募集株式の引受けを申込みたい者から発行会社に対しては、申込みをする者の氏名または名称と住所、引き受けようとする募集株式の数を書面で交付します。

その後、申込者の中から割当てを受ける者と募集株式の数を取締役会決議によって決めます。選ばれた引受人は、払込日または期間内に、それぞれの募集株式の払込金全額を払い込みます。出資金の払い込みが済んだら株式の発行登記変更を行います。

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第三者割当増資のメリット・デメリット まとめ

第三者割当増資のメリット・デメリット まとめ

第三者割当増資は、メリットもデメリットもあります。M&Aの手法としても用いられることがありますが、どのような手法がもっとも適しているかは、案件によって違います。

ウィルゲートM&Aは、事業売却の仲介実績が豊富で、9,100社以上の会社と独自のネットワークを形成しているM&A仲介会社です。完全成功報酬型で相談料や着手金も無料なので、これから第三者割当増資やM&Aを検討している方は、ぜひウィルゲートM&Aにお問い合わせください。

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