合弁会社は、海外事業や新事業を展開する際に活用されています。日本の会社法にはない形態のため、他の形態と混同して理解しがちです。
この記事では、合併会社の意味と他の法人形態との違い、設立のメリット・デメリット、設立方法や成功事例を紹介します。
\成約例や支援の特徴・流れを紹介/
合併会社は、ジョイント・ベンチャー(JV)とも呼ばれ、M&Aを実施する際に1つの選択肢として用いられる手法です。合弁会社の意味と株式の出資比率、他の法人形態との違いを紹介します。
合弁会社とは、複数の企業が共同で事業を行う目的で、共同出資により新たに設立、または既存企業を買収して共同経営する会社のことを指します。ジョイント・ベンチャーや共同出資会社などとも呼ばれます。
合弁会社は株式会社でなければいけないことはなく、事業規模や新会社への貢献度、自動車や不動産といった現物出資などを踏まえて、法人に形態を決定し、合理的な出資比率(持分比率)を検討します。
合弁会社における出資比率は、新会社立ち上げ時に、2社間であれば50%ずつの均等な比率とすることが多いようです。ただ出資比率が均等だと、パートナー企業間で対立が生じた際に意思決定がしにくくなる問題点もあることから、出資比率を51:49のようにメイン企業が多く出資する例もあります。
会社法では「株式会社」と持分会社である「合名会社」「合資会社」「合同会社」の4つの法人形態から新会社を設立しますが、合弁会社は会社法に基づく形態ではなく、共同出資により設立された会社のことを合弁会社と呼んでいるに過ぎません。
合弁会社は会社法における4つの法人形態からなりますが、実務上、有限責任を負う者だけから構成される「株式会社」または「合同会社」で設立されるケースがほとんどです。
合弁会社設立のメリットを確認しておきましょう。
合弁会社は単独で出資するのではなく、共同出資で設立されることから、新規事業に関するさまざまなリスクを軽減、分散できるメリットがあります。事業がうまくいかず、経営し続けることが難しくなっても、企業の損失を出資金のみに限定できるので、新規事業に挑戦するハードルが下がります。
また複数の企業により出資しているため、低コストで新会社が設立できます。
海外に事業を展開する場合、国の法規制によっては外資企業による会社設立に制限がかかることがあります。現地の法律やビジネスマナー、ノウハウ、文化などを一から学び、人脈づくりや販売ルートの確保を進めるには、時間も費用も膨大にかかります。
その点、既にネットワークが構築されている現地企業と共同して合弁会社が設立できれば、海外進出が容易になります。合弁会社にすることで外資規制の対象にならずに新会社を設立できるメリットがあります。
合弁会社には、相手企業の持つ強みが活用できるといったメリットもあります。企業が新規事業を立ち上げるのに必要な資金や人材、資源、技術、ノウハウといったリソースを1社でゼロから揃えるとなると、多大なコストと時間を要します。
新会社を複数企業で合弁会社として設立することになれば、自社で不足している経営資源を短期間で補い合えるため、事業をスムーズに展開することが可能になります。
合弁会社設立で生じるデメリットを紹介します。
複数企業の共同出資で合弁会社を設立する場合、相手企業の意向や方針を汲みながら経営を行う必要があります。経営方針がそれぞれ異なれば、下手すると対立してしまうこともあり、話し合いがいつまでも平行線をたどり、意思決定のスピードが遅くなるおそれがあります。
複数企業で事業を運営していくということは、たとえ出資比率に差をつけて設定していたとしても、利害関係が複雑化することを意味します。合弁会社は企業間でさまざまな調整やコミュニケーションを経る必要があるので、意思決定には手間や時間がかかることがデメリットといえるでしょう。
合弁会社を設立することで、相手企業の強みや技術が共有できる一方で、自社が持つ技術やノウハウ、知識といった知的財産の流出・盗用のおそれが考えられます。
機密情報漏洩のリスクを防ぐためには、秘密保持契約などの法的なリスクマネジメントをはじめ、知的財産権を守る管理体制の整備が必要不可欠です。また、こういったリスクを回避するには、相手企業を念入りに調査し、適切なパートナーを選定する必要があります。
自社で長年培ってきた技術やノウハウが流出してしまうリスクをはらむこともあり、安易に相手先を選ぶことは避け、しっかり事態調査を行ったうえで信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。万が一、相手企業が社会的信用を失ってしまうと、自社にも何かしら悪影響が及ぶ可能性も否めません。
特に発展途上国への海外進出では、信用のおける現地法人を見つけることが困難な場合があります。相手先の行動いかんによって、ネガティブな影響を受けるリスクがあることを念頭に置いておかなければなりません。
合弁会社は一般的な会社設立時と同様の方法が採られますが、実務的な手続き以外にも、パートナー選びがとても重要になってきます。合弁会社を設立するために、どのような方法があり、手順が必要なのでしょうか。
パートナー企業から生じる可能性のあるリスクを回避するために、事前に相手企業の情報を徹底的にリサーチ・分析し、最適なパートナーを選定していきます。合弁会社設立による失敗例の多くは、パートナーとなる企業に関するリサーチ不足が原因として挙げられています。
合弁会社が成功するかどうかは、どの企業と組んで事業を行うかにかかっているため、既に取引関係のある企業なのであれば、現場の声や社風、決済状況、会社四季報、ホームページ記載のIR情報、企業情報誌などから調べることも可能です。
合弁会社を設立するには、基本契約書の締結を行います。基本契約書とは、合弁会社の設立・運営に関する基本方針を定める契約書で、戦略やビジョンの現実性、想定されうるリスク、トラブル時の対処法といった共通のルールや基本事項などをしっかり互いに確認して合意を交わします。
知的財産や企業戦略、特許、ノウハウ、技術など重要情報の共有が発生するのであれば、機密保持条項やライセンス条項などを契約条項に盛り込む必要があります。
基本合意の締結後には、どのくらい出資するか、合弁会社を設立する際の法人形態、利益の配分方法、取締役の選定、株式の譲渡制限、不採算事業の撤退条件といった権限や利益に関する締結条件を交渉して、合意を行います。
出資比率は50:50がベストとは限らず、どの企業が執行責任を持つか事業計画に基づいて判断し、フェアな比率に設定することが望ましいでしょう。
相手企業間との主要条件に合意が得られた後は、いよいよ合弁記者設立契約書(ジョイントベンチャー設立契約)の締結です。締結条件に関する話し合いの内容が合弁契約に反映され、契約書の締結をもって法的な拘束力を持つようになります。
合弁契約書には、会社設立の目的や株式の保有比率、取締役会の役員、重要事項、経費負担額、余剰金の配当などに関する権利や役割が定められています。
相手企業間で定めた条件の通りに、新会社を設立・運営していきます。新会社が設立できたら、経営状況などを確認しながら、追加出資するのか、経営戦略を見直すのかを見極め、都度経営判断を行っていく必要があります。
その際には新たに会社を設立する形態だけではなく、既存会社の一部株式を譲渡することで共同経営していく方法もあるので、互いに納得のいく形でふさわしい形態を検討します。
合弁会社を設立する方法と手順でも述べたように、「出資比率」と「撤退条件」の2つが重要なポイントになります。まずは合弁会社は株式会社とは限らないため、相手企業と話し合って決めていきます。
出資比率に関しては、50:50のような均等な比率で設定されることが多いですが、意思決定が難しくなることもあり、出資比率を51:49のようにどちらかリードする企業が多く負担するケースもあります。
合弁会社を設立した後に、不採算事業が発生したり、相手企業とのトラブルが解決せず、対立状態に陥ってしまったりした際に、合弁会社を解散して、関係を解消できる撤退条件を合弁契約にしっかり盛り込んでおくことも大切です。
合併会社の成功事例をいくつか紹介します。
ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社は、共同出資による合弁会社「MONET Technologies」を2018年10月に設立し、年内に共同事業「MONETプラットフォーム」をスタートさせました。
MONETプラットフォームは、データ基盤やAPIなどを提供する企業、自治体向けのサービスです。トヨタ構築のコネクティッドカーの情報基盤「モビリティサービスプラットフォーム」と、IT機器からデータを収集・分析して、新しい価値を生み出すソフトバンクの「IoTプラットフォーム」を連携しています。
日本が抱える人口減少による問題解決と新たなビジネス化を目指し、車のIoT化を進めています。
富士通株式会社とLenovo Group Limited、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)らが、2017年11月に富士通のPC事業会社であった「富士通クライアントコンピューティング株式会社」を合弁会社とすることを発表しました。
出資比率ではレノボが51%、富士通が44%、DBJが5%を保持するため、出資比率ベースではレノボの傘下に入ります。レノボが持つグローバルベースでの調達力やスケールメリットを活用することで、より挑戦的なPC開発が可能となりました。
2018年12月に株式会社東急レクリエーションと株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント、東京急行電鉄株式会社らによる共同出資の合弁会社「株式会社TSTエンタテインメント」を設立しました。
TSTエンタテインメントは、エンターテイメント施設の企画・運営を行う会社です。それぞれの企業が持つノウハウや強みを融合させて、歌舞伎町発のさまざまな大衆娯楽文化の創出を目指しています。
2023年春には、東京・新宿のTOKYU MILANO跡地を中心とした敷地に、複合エンターテイメント施設「東急歌舞伎町タワー」が新設される予定です。
リスクを分散しながら、新規ビジネスや海外事業を展開しやすい利点のある合弁会社ですが、設立に向けて相手方との交渉や調査を円滑に、有利に進めるためには、M&Aアドバイザーや弁護士、公認会計士といった専門家の助言を活用するのが得策です。
ウィルゲートM&Aでは、15,100社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。
一般的にM&Aの成約までは6ヶ月〜1年ほどの期間を要しますが、ウィルゲートでは平均で4ヶ月、最短1.5ヶ月での成約実績、40億円以上での成約実績もあります。完全成功報酬型で着手金無料なので、お気軽にご相談ください。
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合弁会社の設立はメリットだけではなく、デメリットも存在するため、設立時に注意すべきポイントをしっかり理解して準備していくことが大切です。適切なパートナー選びやその後の手続きをスムーズに進めていくためにも、M&Aに詳しい専門アドバイザーのいる仲介会社に力を借りるのも一つの方法です。
ウィルゲートが目指すのは、売り手様、買い手様、双方に納得感のあるM&Aです。M&Aがお客様の目的やご希望に合致しない場合、無理にM&Aをすすめることは絶対にありません。
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