会社買収の流れと注意点・リスクについてわかりやすく解説

会社買収の流れと注意点・リスクについてわかりやすく解説

経営戦略として効率的な方法である会社買収。しかし、要所でのポイントを押さえていないと、多大な損失を被り失敗しかねない複雑な方法でもあります。

今回は、会社買収における注意点やリスクについて解説していきます。

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会社買収とは

会社買収とは

「会社買収」とは、企業が他社を支配する目的で発行済みの株式を過半数以上買い取ることです。子会社化ともいう「会社買収」は、発行済み株式の取得が半分以下だとしても、一定要件に当てはまれば買収成立となる場合もあります。

一般的な決定事項は、株式において過半数の議決権を持つ株主が、株式会社の普通決議で自由に決定できます。そのため、M&A買収では通常、過半数以上の獲得を目指しています。対して、企業が他社の議決権を有する3分の2以上の株式を獲得した場合は、特別決議による経営権の支配が可能です。

さらに、新規事業への進出や既存事業の拡大の実現を目指す会社買収の成功には、デューデリジェンスやPMIの徹底が必要です。買収が合併やM&Aとどのように違うのか知っておくとスムーズなので、ぜひ参考にしてみてください。

会社買収と会社合併の違い

買収と合併の最大の違いは、消滅する会社の有無です。買収の場合は、会社の経営権ごと・事業のみどちらの買収でも、買収された側の法人格が存続するため消滅する会社はありません。一方で合併の場合は、吸収される会社の法人格は完全に消滅し、権利義務を吸収する側に承継します。

会社買収:自社以外の他企業を買収すること

買収された側の会社は買収側の傘下に入るため、子会社やグループ会社として存続し、消滅することがありません。

会社合併:2つ以上の会社が統合すること

売却側の会社は消滅しますが、権利・資産・負債などすべてを承継します。

さらに、会社合併は2つに分類されます。

  • 新設合併:消滅する会社の権利義務を、新しく設立する企業が承継する方法
  • 吸収合併:消滅する会社の権利義務を、存続する方の企業が承継する方法

会社買収とM&Aの違い

買収とM&Aの最大の違いは、対象としている取り引きの範囲です。M&A(Mergers&Acquisitions)は直訳すると「合併と買収」です。会社買収とM&Aは、広義の意味では同じ意味合いになりますが、狭義の意味ではM&Aは合併も含めるため同じ意味合いにはなりません。M&Aは「業務提携や資本提携も含む買収や合併」という概念なのです。

会社や事業を買うことを「買収」、他社の吸収や業務提携などを含める取り引きのことを「M&A」というように使い分けるとわかりやすいでしょう。

会社買収・M&Aの最新動向

会社買収・M&Aの最新動向

次に、会社買収・M&Aの最新動向について確認していきましょう。

以前は、親族に相続・贈与などして株式を譲渡する親族内承継が主流でしたが、近年は少子高齢化によって親族への譲渡が難しいケースが増えています。

中小企業庁の公開している「中小M&Aガイドライン」によると、国内全体でおよそ245万人いる中小企業・小規模事業の経営者が平均引退年齢(70歳)を迎えるのは2025年までと記しており、頭打ち状態であることを意味しています。そのうち約半数である127万人の経営者は、後継者未定の状況になることが見込まれている現状です。

後継者が不在では会社を廃業せざるをえません。廃業を免れるために後継者不在に陥っている中小企業が行っているのが、M&Aによる第三者への事業承継です。

中小企業庁が公開している「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」では、2012年以降事業承継型M&Aが大幅な増加傾向にあることを記しています。中小企業の売却案件の増加に伴い、買収に対する姿勢が積極的な買い手も増加しています。事業承継を理由としたM&Aの活発化は今後もより一層続いていくでしょう。

さらに、企業の存続・発展を目的として、国内需要だけでなくグローバル化を行うなど企業側も日々対応を変化させています。会社買収で統合することにより、会社規模の拡大やグローバル展開など会社としての成長が短期間で見込めます。

その一方で、買収防衛策などの対抗策を導入する企業も増えてきています。市場拡大・会社存続を目的とする会社のあり方が変わり始めているのも現状です。

会社買収の手法・スキーム

会社買収の手法・スキーム

スキームとは、会社買収・M&Aで使われる手法と、その手法を実行する一連の流れのことを指します。取得する対象・目的・対象会社との関係性・対価・税務などから、最も適した買収・M&Aの手法を選びます。

スキームの選定が不十分な検討だった場合は、必要のない資産や負債を引き継ぐことになったり、想定していたM&Aの利益を得られなかったりする可能性もあります。どのスキームを選択するかによって得られるメリットが変わるため、最適なスキームを熟慮し選択します。

また、会計・税務上のメリット・デメリットも把握しつつ事業の特性に合わせて手法を選ぶことで、失敗するリスクを軽減し、スムーズなM&Aが実施できるでしょう。

次に、会社買収の手法・スキームについて種類別に紹介します。

会社買収の手法・スキームの種類と概要

買収を行う際に用いられる手法・スキームは主に下記の5つです。手法ごとにメリットや適したM&Aの場面などが異なります。目的に応じた手法を選択し、買収を行えるよう、ぜひ参考にしてみてください。

1.株式譲渡

株式譲渡とは、買収対象となる企業の株主から株式を現金で買い取る形で経営権を取得する手法です。株主構成は変わりますが、外面的には変わりません。買収後も売り手企業の法人格が存続し、権利義務がそのまま引き継がれるため、子会社を切り離す場合に多く使われる手法です。

独立性を保ったまま運営できるメリットがある反面、買収した企業とのシナジー効果が得られにくいデメリットもあります。簿外債務や偶発債務など不必要な事業を引き継いでしまう可能性もあるので注意しましょう。

2.株式交換・株式移転

株式交換とは、一方の株式会社が発行している全株式を、もう片方の株式会社に取得させる手法です。完全な親会社と子会社の関係を作る場合にのみ実施されます。

基本的には株式が対価となるケースが多いため、双方企業の株式を交換する形となります。しかし現在では対価の柔軟化により、社債・金銭・新株予約権・新株予約権付社債なども利用できるケースも増えています。

株式移転とは、複数の株式会社が発行する全株式を、新設立する株式会社に取得させ子会社になる方法で買収する手法です。ホールディングス体制の構築をイメージするとわかりやすいでしょう。対価は株式交換とは違い、自社の株式・社債・新株予約権・新株予約券付社債のみと定めがあります。

どちらも持株会社への移行実施のために取る手段であり、買収資金が必要ないことがメリットです。買収後も別法人で存続し続けるので、事業運営が円滑に行えます。

3.第三者割当増資

第三者割当増資とは、特定の第三者に対して新たに発行する新株を引き受けてもらう手法です。新株の引き受けに応じてもらうことで、第三者との関係の強化・増資、資金調達などの業務上での提携・買収に対する防衛などを図ります。

買収対象が公開会社の場合、取締役会の決議によって第三者割当増資を実施できるため、回収先の株主から同意を得ずに買収の実施が可能です。

基本的にTOB規制の適用を受けない点と、資金を直接入れられる点がメリットです。反して、デメリットとしては経営権の完全な取得が困難な点や、同じ割合の株式取得の場合には株式譲渡に比べて必要な資金が多額となる点などが挙げられます。

4.事業譲渡

事業譲渡とは、買収対象となる事業の一部またはすべてを第三者に譲渡する方法で買収する手法です。一部の事業のみ買収や売却する際に多く活用されます。譲渡の対価は、資金(現金)です。

事業譲渡の場合は、買収する範囲を選択できるといったメリットがあります。不要な事業や簿外債務などのリスクを引き継がなくて済みます。取り引きによっては一部の事業を譲渡するので、買収金額を最低限に抑えることも可能です。

さらに、事業用資産や権利義務の売買だけではなく、無型資産(事業で用いるノウハウや)が付随しているため、スムーズな事業立て直しにつながるでしょう。

対するデメリットは、買収が成立するまでに膨大な労力や時間がかかることです。各種契約や資産は個別に移転手続きが必要です。さらに、従業員の引き継ぎに関しても個別の同意が必要であり、移籍を承諾されない場合には優秀な人材を引き継げない可能性もあります。

なお、事業譲渡は買い手と売り手どちらにも税金が課税されます。売り手会社には譲渡益に対しての法人税などが課税されるため、要注意です。

5.会社分割

会社分割とは、既存会社の有する権利義務の一部または全部を、承継会社または新設会社に買収する手法です。事業譲渡と同様で、一部の事業のみ取得することを目的に活用されることもありますが、基本的には組織再編に用いられます。

会社分割では、買収資金の準備が不要な点、税金負担が軽い点がメリットといえます。さらに、包括的に権利義務を承継できるため、優秀な人材の引き継ぎにも同意を得る必要がありません。

ただし、デメリットもいくつかあります。労働契約承継法に基づいた手続きが必要な点や、買収側の株主構成が変化する点などです。さらに買い手側は、会社分割によって資本金などの額が著しく増加する際、税金も増加する可能性があるため注意が必要です。

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会社買収の流れ

会社買収の流れ

会社買収の流れは項目ごとに理解することでわかりやすくなります。下記で、要点をまとめながら解説していきます。

1.買収の目的や戦略の明確化

会社買収を行う際の準備段階で、M&Aを行う目的や対象企業のイメージなどをしっかりと確認しましょう。また、関係者の調整・ニーズの整理・議決権の確保の確認なども必要です。特に議決権の保有確率は、運営に関わってくる重要なポイントです。忘れずに確認するようにしましょう。

行おうとしている買収に、最適な戦略を立てることも重要です。買収の目的・戦略の明確化と対象企業についてイメージなどを事前に確認することで、安心して始められるでしょう。

2.アドバイザーの選定や契約・プラットフォームへの登録

買収実行に取り組む事前準備ができたら、次はアドバイザーを選定して契約を結びましょう。買収を行う際には、法務・税務・会計など幅広い分野に関する専門知識が必要なため、買い手経営者とその従業員だけでの買収の実施は困難です。自社の条件に合致する買収先を探すことも、人脈がよほど広いわけではない限りかんたんではありません。

したがって、買収の専門家であるM&Aアドバイザーとの契約を結ぶか、売り手と買い手をマッチングするプラットフォームに登録し、買収相手の選定・契約の締結などを進めるのがおすすめです。

アドバイザー業務を行う会社には、M&Aの仲介会社やコンサルティング会社などがあります。会社ごとに得意な業種・案件の規模・専門領域が異なりますが、一つひとつが会社買収成功を左右する重要な要素となるため慎重に選定しなければいけません。

報酬体系なども都度の手付金や中間金がかかるケースと、案件が成功したときにのみ発生する完全成功報酬型のケースがあります。各社の無料相談などを活用して、最も適した依頼先を決めましょう。

3.買収相手選定

依頼した仲介会社のサポートのもと、買収候補へアプローチしましょう。希望条件に合う買収相手企業を絞っていきます。

その後、ノンネームシート(NN)という対象企業の業種・業績・事業規模・売却理由などが記載された企業概要を匿名で作成し、買収候補の企業に提示します。

ノンネームシートの内容に興味を持った場合には、開示内容を外部に漏洩しないという「秘密保持契約」を締結し、会社名・事業内容・財務情報などのより具体的な情報が記されたインフォメーションメモランダム(IM)の確認が可能になります。インフォメーションメモランダムの内容次第で、正式に買収交渉を進めるか決定していきます。

4.トップ面談・意思表明書提示

買収の候補企業が本格的に検討段階に入ると、次はトップ同士の面談が実施されます。面談では、買い手と売り手双方の紹介・会社買収までの経緯・事業内容や企業理念について共有します。

価格面での交渉・従業員の処遇・買収手法・今後のスケジュールまで合意を図りながら進めていきます。交渉の落とし所を双方ですり合わせていくことで信頼関係を結べれば、スムーズに交渉が進む可能性が高まります。

5.基本合意書締結

双方が諸条件に合意したら、基本合意書を作成し締結します。内容には、買収の基本的条件やスケジュールの概略・交渉義務・守秘義務・独占交渉権・法的拘束力などが記されています。基本合意書の締結は必須ではありませんが、作成することでよりスムーズに買収を進められます。

6.デューデリジェンスの実施

基本合意書の締結後には、デューデリジェンスを行います。デューデリジェンスとは、買収先にあるリスクの把握と対策立案・想定される相乗作用などを分析することです。法務・財務・ビジネス・IT・税務など多岐にわたって分析することで、買収成立後に簿外債務や偶発債務を被る可能性を回避できます。

企業価値に見合った金額での売却であるかどうかを見極めることもできるデューデリジェンスは、買収成功のプロセスにおいて極めて重要といえます。

7.条件の交渉・買収の最終契約

デューデリジェンスを行った結果、問題がなければ最終契約に向けて条件の交渉を行います。最終的な売却価格・経営者、従業員、役員の処遇・譲渡内容・守秘義務・遵守事項などの合意条件を互いで確認し合い、いよいよ最終契約書の締結です。

契約書を取り交わした段階で、M&A実行の義務をお互いに負うことになります。

8.クロージング・統合後のプラン実施

クロージングとは、契約内容にしたがって買い手側から代金や各種資産など譲渡内容の受け渡しを行うことです。

クロージングの完了後に、運営プランに必要な統合作業であるPMI(Post Merger Integration)を行います。代表同士・役員同士の信頼関係の構築や、経営方針の統合、買い手企業・売り手企業の従業員がノウハウの共有を図る必要があります。

以上で、正式に買収が成立し手続きも完了となります。株主名簿の書き換え・役員陶器の変更はクロージング後に行われます。

会社買収の注意点

会社買収の注意点

会社買収を行う際には、検討時に起こり得る問題の把握と、そういった事態を避けるために気を付けたい注意点がいくつかあります。統合後に発覚した問題に悩まされることがないよう、下記を参考に確認してみてください。

注意点1:簿外債務の有無の確認

会社買収の注意点の1つ目は、簿外債務がないか確認することです。

簿外債務とは、決算書や帳簿に記載されていない債務のことです。買収後に発覚した場合には、決算書に載っていなくても支払わなければなりません。会社の連帯保証金・未納の税金・金融業者以外の業者または個人からの借入金などが簿外債務に該当するケースがあるため、事前に確認しましょう。

注意点2:譲渡内容の確認

会社買収の注意点の2つ目は、譲渡内容を確認することです。

会社買収によって経営者が変わった後も、経営が円滑に進められる社内システムであるか確認が必要です。

譲渡内容には社員やノウハウ、取引先や顧客なども含まれます。有能な人材を継承することは可能なのか、また、人材を譲り受けた際の待遇についてもトラブルを避けるために注意を払いましょう。社員の継承をスムーズに行うためには、組織文化や価値観のすり合わせをし、理解を深めることが重要です。

さらに、買収した企業が赤字だった場合に繰越欠損金を使用して資金繰りをするケースもありますが、繰越欠損金は社員の20%以上が退職すると消滅してしまいます。社員の流出は、買収後の事業継続を大きく左右します。

注意点3:売却理由の精査・隠れリスクの洗い出し

会社買収の注意点3つ目は、売却理由の精査・隠れリスクの洗い出しです。

「買収監査」とも呼ばれるデューデリジェンスを行うことで、なぜ売却されているのか・引継ぎリスクはないかなどが確認できます。売り手企業の詳細情報を専門家が慎重に調査することで、嘘や間違いの記載の有無を見落としません。買収後に大きな問題が発覚し訴訟や経営失敗に陥る事態を回避するために、買収(M&A)経験が豊富な方でも専門家に依頼するのが確実でしょう。

買収の検討にM&A仲介会社を活用する際には、適正価格で売却されているかどうかの精査も重要です。仲介会社が複数の買い手候補に購入金額を競わせ、その購入金額が高くなり過ぎることから結果的に適正価格以上の金額で買収してしまう可能性も有り得ます。

事業内容が魅力的な会社であっても、売却価格は果たして適正なのか、きちんと確認して進めましょう。

会社買収のリスク

会社買収のリスク

会社買収を進める上で注意したいリスクは主に4つあります。「財務リスク」「法務リスク」「経営リスク」「人材リスク」、これら4つのリスクの特徴を押さえることで、損失やトラブルを回避できます。売り手企業と買い手企業それぞれの異なるリスクについて、解説していきます。

会社買収の4つのリスク

まずは会社買収に関する4つのリスクについて解説します。

財務リスク

財務面で発生する財務リスクには、簿外債務・偶発債務・資金繰りリスク・対象会社保有資産の減損・財務コベナンツ条項などの事項が含まれます。訴訟によって多額の損害賠償金を支払う可能性があるなどのケースが考えられます。

法務リスク

対象企業の法務全般に関する法務リスクには、取引先との契約間で不利な条項が発生していたり、経営に必要な許認可を得ていないまま運営していたりするケースが挙げられます。過去の組織再編の際に、行うべき法手続きを経ていない場合も対象となります。法務リスクが高いと買収事態が難しくなるケースもあるため、会社買収を検討する際には事前に法務リスクの調査を実施しましょう。

経営リスク

経営リスクとは、労働管理などを含む雇用関係・事業戦略における課題など経営全般に関するリスクのことです。従業員の未払い残業代が高い場合や、将来収益の悪化が問題視されるような競争優位性が低い場合にリスクが高まります。

人材リスク

役員・従業員に関する人材リスクは、経営方針や運営方法について方向性の違いを感じるなど、M&Aをきっかけに離職する人が多い場合にリスクが高いといえます。事業運営の上で人材は重要な資産であるため、買収後の業績悪化を避けるためにも人材リスクの低い会社を探す必要があります。

売り手企業の注意すべきリスク

会社買収の際に、売り手企業側の注意すべきリスクは5つあります。

情報漏洩

従業員または取引先に対しての情報漏洩が考えられます。従業員に買収の情報が漏洩してしまった場合、きちんとした説明がないままに不安を感じさせてしまうと、離職する従業員が出てくる可能性があります。買収前の離職者続出は企業価値を落としかねないので注意が必要です。

取引先や得意先など社外へ情報が漏れてしまった場合には、話が先行してしまい信頼関係に溝が生じたり、今までと同じ条件で取引が難しくなったりするケースもあります。

さらに売り手が上場企業であれば、会社関係者から買収についての情報を受領した者が、公表される前に特定有価証券などの売買を行う「インサイダー規制」にも注意が必要です。

相場より安価での買収

上場企業のM&Aの場合、株式市場の情報を見ることでPERやPBRなど一定相場の指標が確認できます。一方で、未上場企業の売却は、相場の確認が困難なケースもあります。相場よりも安価で買収されても泣き寝入りするしかないため、損をしてしまうリスクがあります。

買い手が見つからない事態

会社買収のM&Aは買い手があってこそ成約するものですが、期待どおりに相手が見つかるとは限らないのが現実です。売却のために資料を作るなど入念な準備をしていても、買い手が見つからなければすべて無駄になってしまうリスクもあります。

買い手企業に損害賠償金を支払う可能性がある

一般的に、売り手と買い手との間で締結する事業譲渡契約書や株式譲渡契約書の中で保証条項を定めます。買収が成約したクロージング後に売り手の義務違反や表明保証違反が発覚した場合、買い手に対し損害賠償金を支払わなければならない可能性があります。

敵対的買収

敵対的買収とは、自社の取締役会の同意を得ずに買収を仕掛けられることです。株式を公開していない未上場企業であれば取締役会や株主総会の承認が必要な敵対的買収は起こりませんが、上場企業は株式の自由売買が認められているため敵対的買収が起こり得ます。

自社の意向に沿わず敵対的買収が行われると、企業の経営者交代を余儀なくされたり、企業文化の変更などにより買収後の経営に大きな影響が出たりしかねません。上場企業は敵対的買収のリスクと常に隣り合わせであることを承知しておきましょう。

買い手企業の注意すべきリスク

会社買収の際に、買い手企業側の注意すべきリスクも、売り手企業と同様で5つあります。

不必要な債務の引き継ぎ

不必要な債務には、簿外債務や偶発債務などがあります。決算書や帳簿に記載されておらず見逃してしまうと、買い手が債務の弁済をする羽目になってしまいます。簿外債務や偶発債務は競合企業からの損害賠償金などにより多額になる可能性はもあり、投資回収に大きなリスクを及ぼすため要注意です。

のれんの過大評価

のれんとは、企業の買収・合併で発生する買収企業の時価評価順資産と実際の買収価額の差額のことです。のれんは売上シナジーの見積もりに現実性のない場合があるため、本当にその売上を実現できるかどうか慎重に見積もらなければなりません。

対象会社の財務状況・買い手企業とのシナジー効果・将来性などを総合的に熟考し、適切なのれん金額になるよう計画を進める必要があります。買収資金を回収できずM&A失敗の事態を防ぐためには、適正価額よりも割高な金額での買収は避けましょう。

資金調達

手元資金だけで買収が進められない場合は、資金調達交渉もM&A交渉と並行して行わなければなりません。M&Aの最終契約書において、買い手の資金調達が問題なく行われることを見越して契約を締結することがあります。

しかし、資金調達が達成されなかった場合には実行の前提条件を満たさないためクロージング効力を失います。資金庁鉄の方法としては、銀行借り入れや第三者割当増資などがあります。

人材の流出

買収後の事業を円滑に進めていくためには、対象会社の人材が残ってくれるかどうかが重要です。事業の中心的存在であるキーマンやその他の従業員が大量に離職してしまうと、新たに人材収集をしなくてはなりません。これまでと同様の収益を出すためのシナジー計画の実現には、大きな遠回りとなってしまうリスクが生じます。

経営統合の失敗

経営統合とは、買収(M&A)後の統合効果を最大限に発揮するための統合プロセスのことです。経営だけでなく、業務や事業に対する意識など統合に関わる全プロセスを指します。

具体例として、M&Aをきっかけに大手取引先や得意先が離れてしまったり、社名やブランド名の変更により売上が下がってしまったりなどが挙げられます。M&A自体は成功しても、経営統合で失敗してしまうと事業が破綻してしまうリスクを押さえておきましょう。

会社買収のメリット・デメリット

会社買収のメリット・デメリット

買収を成功させるためには、メリット・デメリットについて理解しておくことも重要です。細かく解説していきます。

メリット

会社買収のメリットは、8つあります。

会社買収により、相乗効果が期待できる

安定的な会社の成長を目指した企業買収では、シナジー効果が期待できます。シナジー効果には、事業規模が拡大したことによる時間・手間のコスト削減や、売上増加、競争力の獲得などさまざまな効果があります。

経営の健全化や経営状況の改善が期待できる

業績不振による赤字の会社が、あえて売却を持ちかけるケースもあります。赤字企業を買収することで、買収側の企業も黒字を抑えられて節税につながるのです。買収された側の企業は買収する側の傘下に入ることで、買収で得た資金を活用して事業資金を賄えるため、経営を健全化できる可能性が期待できます。

財務シナジーとして、資金調達のコスト削減や資金調達力の増強を目的とした買収も行われています。

経営目標の達成をスピーディーに行える

事業拡大や利益率向上、新規事業への参入などといった経営目標を達成するには多大な期間を要してしまいます。しかし、買収を実施すると買収と同時に経営目標の達成が可能なため、圧倒的なスピード感で実現できます。

新規事業への参入におけるリスクを軽減できる

新規事業への参入には、その準備としてコストと時間がかかります。そのうえ、まったく新しい事業分野である場合には、技術やノウハウなどを有していない状態でのスタートとなり成功する確証もありません。

一方、買収による新規事業の獲得では、事業がすでに運営されており一定の業績も上げている状態での取得のため、新規事業への参入におけるリスクを心配せずに済むでしょう。

買収資金の準備が不要

株式交換・株式交付・株式移転・会社分割の手法を用いる買収であれば、買収資金の準備が不要です。条件付きスキームでは買収対価として自社の株式が用いられるためです。多額の現金を必要としない買収では、資金準備のリスクが抑えられます。

少数意見の株主を排除できる

株式総会は資本多数決で行われるため、基本的に少数意見が反映されることはありません。しかし、大株主が不当の決議を申し立てた場合など一定条件を満たした際には、少数意見の株主からの決議の取り消し・無効の訴えが認められます。 少数意見株主を排除して訴えの申し立てを防ぐために、大株主であることを利用した株式合併などが可能となっています。

買収後も独立した経営が継続可能

買収は合併とは違い、消滅する会社はありません。そのため、買収の実施に影響を受けることなく、独立的立場としての経営続行が可能です。

さらに、同じ業種の事業を買収した場合には、人材やノウハウ、取引先などといった事業用資産が大いに役立つでしょう。規模の拡大だけでなく、生産性や収益性の強化もでき、既存事業のスケールアップも見込めます。

後継者問題が解決できる

後継者が見つからない場合は、現経営者が引退すると廃業せざるを得ません。これまで培ってきた事業運営におけるノウハウは、新たな経営者(第三者)への事業承継を行うことで消滅を防げます。さらに売却金は、経営者が老後の人生を過ごすための資金にあてることも可能です。

デメリット

会社買収のデメリットは、5つあります。

企業統合による摩擦やトラブル

買収によって労働環境や評価基準が変わることや、買収元の社員と関係がうまくいかないことが原因で、人材が流出してしまう可能性があります。そもそも買収による移籍を拒否するケースも有り得ます。

さらに、買収に対してネガティブなイメージを持っている人も多いため、取引先との関係にも影響が出る可能性があります。適切なタイミングで買収することを周知していくなど、フォローを徹底する必要があります。

複雑な手続きが必要

買収は成約するまでの過程で、複雑な手続きが必要です。自社のみで手続きを進めると、実施後のトラブルを招きかねません。M&A仲介会社や専門家のサポートには、手数料や報酬金などの費用がかかることを押さえておきましょう。

簿外債務や偶発債務を承継してしまうリスクがある

会社や事業そのものを承継する買収スキームでは、簿外債務や偶発債務などの経営リスクを引き継いでしまいます。賃借対照表に記載のない簿外債務は、具体例として払い賃金・債務保証・退職金などが挙げられます。

一方で、偶発債務は今後債務となる可能性のある要素のことで、訴訟により損害賠償を背負う恐れがあります。デューデリジェンスを徹底することと、経営リスクの少ないスキームを見極めることを心がけましょう。

PMI(経営統合)に負担がかかる

買収後の経営統合を慎重に行わないと、従業員の離職や業績向上がおぼつかなくなる事態を招いてしまいます。経理・財務の他にも、管理体制・労働条件・人事制度の設定など、経営統合に関わる部署や担当者に大きな負担がかかります。

のれんの減損リスクを負う

買収時に想定していた収益があげられない場合や、想定外の事象が生じた場合、のれんの資産価値が下がり減損処理をする必要があります。のれんの「減損損失」として計上するため、経営後に多額の損失となりダメージを与えてしまいます。適切ではない高値で買収してしまわないよう、慎重に検討しなくてはなりません。

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会社買収・M&Aの仲介会社を選ぶときのポイント

会社買収・M&Aの仲介会社を選ぶときのポイント

会社買収・M&Aの仲介会社を選ぶ時に注意したいポイントは、4つあります。下記をぜひ参考にしてみてください。

  • 自社と同規模・同業種の実績があるか確認
  • 業界特化型・非特化型のどちらかを選ぶ
  • 無理のある料金体系ではないか確認する
  • M&Aでの達成目的を明確化し、信頼できる仲介会社か見極める

特に、4つ目の信頼できる仲介会社かどうかを見極める方法については、守秘義務が守られていること・契約書の読み聞かせが行われること・相手先の問題点を隠蔽する可能性のないこと・双方代理を行っていないことの確認が重要です。

会社買収において仲介会社の存在や力量は成約を大きく左右するので、上記のポイントを押さえて慎重に選びましょう。

会社買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

会社買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

個人で会社買収を進めるとなるとどうしてもトラブルへのリスクや、複雑な手続きがついて回ってしまうM&A。リスクを回避する手段として最適とわかっていても、料金体系に手が伸ばしにくいとなかなか依頼を決断できません。

ウィルゲートM&Aでは、15,100社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。

一般的にM&Aの成約までは6ヶ月〜1年ほどの期間を要しますが、ウィルゲートでは平均で4ヶ月、最短1.5ヶ月での成約実績、40億円以上での成約実績もあります。完全成功報酬型で着手金無料なので、お気軽にご相談ください。

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会社買収の流れと注意点・リスクまとめ

会社買収の流れと注意点・リスクまとめ

会社買収は、注意点・リスク・デメリットなどのポイントさえ押さえていれば、非常に効率的な経営戦略方法です。反対に、それらの理解が甘いと失敗しかねないほど複雑な方法であるともいえます。

専門家に仲介依頼することでリスクを回避し、スムーズに安心してM&Aが行えるでしょう。無料相談が可能なウィルゲートM&Aをぜひ活用してみてください。

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ウィルゲートが目指すのは、売り手様、買い手様、双方に納得感のあるM&Aです。M&Aがお客様の目的やご希望に合致しない場合、無理にM&Aをすすめることは絶対にありません。

M&Aで思わぬ失敗をしないためにも、まずは一度、ウィルゲートM&Aにご相談いただければ幸いです。
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