
Googleの「AIO(AI Overviews)」は、ユーザーが検索するキーワードに対する適切な回答をAIが自動で生成し、検索結果の最上部に表示する機能です。ユーザーが求めるものに素早く回答する目的で提供されるようになりました。
ポイントはAIOが単なるGoogleの機能追加ではなく、ユーザーの検索体験を新しいものにしていること。SEOを軸としたコンテンツマーケティングのあり方が根底から覆る可能性を持っているのです。
従って、マーケターはAIOを正しく理解することが重要。そして、今から対策に乗り出すことで競合との優位性を獲得することができます。
※この記事では特別な言及がない限り、AIОは「AI Overviews」を指し、「AI Optimization(AI最適化)」ではないことに注意してください。
目次
AIOの概要とそれが及ぼす影響
Googleは日本時間の2024年5月15日午前2時、開発者会議「Google I/O 2024」にてAIOについて言及していました。アメリカでの一般公開を経て、日本でも試験的に提供を開始しました。
AIが概要を表示するクエリは増加しており、複雑な質問にも回答できるようになっています。迅速かつWebサイトへ訪問する必要がないため、タイムパフォーマンスに優れたサービスと言えるでしょう。情報元の表示も行っており、信頼性が高いのも特徴です。
ただし、その特性ゆえに各Webサイトの訪問数が低下する懸念があります。これがマーケターが危惧している「ゼロクリック検索」問題です。
Webマーケティングサービスを提供するオルグローは、2025年5月にAIOに関する利用実態調査を実施しています。それによると、AIによる要約を「表示されれば、ほぼいつも読む」は26.6%、「表示されれば、内容によって時々読む」は50.7%で、利用率はおよそ8割に及んでいます。
出典:PRTimes 『AI Overviewに関する利用実態調査を実施しました。(オルグロー株式会社)』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000101.000046391.html
ただし、信頼性については賛成派と反対派で拮抗しており、47.6%の人が「情報が本当に正確なのかどうか」と不安に感じていることがわかっています。
ユーザーは利便性を得ている一方で、AIОを信頼しきっているわけでもなく、迅速に得られた情報を起点として深く掘り下げている様子がわかります。即座に「ゼロクリック検索」が起こる懸念はないと言えるでしょう。ただし、AIОの精度の高まりと同時に、サイトへのクリック数が将来的に減少する可能性は十分にあります。
Google検索に実装された「AIによる概要」が目指すもの
そもそもGoogleは、Webサイトなどのコンテンツを排除するためにAIОを進化させているわけではありません。2024年8月16日に公開した記事「AI による概要 : ウェブにつながる新しい方法」には、以下のように書かれています。
”AI による概要を使うと、人々はより複雑な質問を聞き、より多様なWebサイトにアクセスしていることがわかっています。また、AI による概要が表示された検索結果ページからユーザーが訪問するサイトでは、より多くの時間を費やす可能性が高くなり、Webサイトにとってより質の高いものになります。”
つまり、Googleは検索におけるエコシステムともいうべき空間において、AIとWebサイト、動画、画像などのコンテンツを織り込み、ユーザーに最適な検索体験を提供しようとしているのです。
AIOの導入背景と目的
検索体験を発達させている背景には、ChatGPTなどの新たな検索ツールの進化と浸透があるでしょう。Googleのサービスを統括するAlphabetは、GoogleやYouTubeの広告が売上全体の7割以上を占めており、企業活動の屋台骨を形成しています。この収益基盤を失うことだけは避けなければなりません。
Googleはこれからも検索ツールの王者としての地位を死守しなければならず、そのためにはユーザーの検索体験を最高のものにしなければならないのです。
GoogleはAIОによる満足度を定期的に調査しており、18歳から24歳までの若い利用層は特にAIによる概要を検索に活用し、高いエンゲージメントを得ていることがわかりました。
AIОはアメリカで先行導入した後、日本やイギリス、インド、インドネシア、メキシコなどへと素早く拡大させました。Alphabetの成長を支える若年層が積極的に利用したという実績が大きかったのは間違いないでしょう。
SGEとの違いと変更点
AIОは、Googleが試験的に提供していたSGE(Search Generative Experience)の正式公開版のことです。SGEは2023年5月の「Google I/O 2023」でGoogleが発表した新しい検索機能。生成AIによる回答を迅速に表示するものとして、アメリカのみでレビュー版を公開していました。
公開された当時、GoogleはBard(現在のGemini)を提供していました。BardはChatGPTに対抗するサービスで、AIとの対話でユーザーの課題を解決し、コンテンツを作成することを重視していました。一方、SGEはGoogle検索の進化という位置づけでした。その方向性は変わることなく、AIОへと至っています。
AI Optimization(AI最適化)・LLMO・GEOの違い
AI Optimization(AI最適化)はAI検索エンジンやAIアシスタントに、自社のコンテンツが引用されるよう最適化することを指します。SEОは検索エンジンに最適化して上位表示を狙う技術でした。AI Optimization(AI最適化)は、AIO(AI Overviews)やChatGPTなどのAI検索システムが適切に情報を取得できるようにする技術です。
※本記事では「AIO」はAI Overviewsを指すため、AI Optimizationは略さずに表記しています
具体的には、AIが認識しやすい文章の構成、情報を整理する構造化データの活用、信頼性の高い情報の発信などが挙げられます。
LLMO(Large Language Model Optimization)は、生成AIにコンテンツを最適化するもので、LLM(大規模言語モデル)に特化した技術です。つまり、ChatGPTやGeminiなどの生成AIが対象となります。AIO(AI Optimization)はAIアシスタントやチャットボットなど、AIシステム全般を対象とした包括的な取り組みです。
LLMOは、生成AIが回答した中で情報源として引用されることを目指します。ただし、LLMOとAI Optimization(AI最適化)の対策内容はよく似ており、この2つを区別せずに使う人も少なくありません。
GEO(Generative Engine Optimization)はAI Optimization(AI最適化)とほぼ同じ概念として捉えられていますが、ニュアンスとしてはAIO(AI Overviews)への最適化に特化したものだと言えるでしょう。
項目 | 対象 | 目的 |
---|---|---|
AI Optimization(AI最適化) | 大規模言語モデル(LLM) | LLMに自社コンテンツの内容を正確に理解させ、参照しやすくする |
LLMO(Large Language Model Optimization) | ・LLM ・AI搭載の生成型検索エンジン ・AIチャットボットなど |
幅広いAIに自社のコンテンツが扱われやすいようにする |
GEO(Generative Engine Optimization) | AI搭載の生成型検索エンジン | 検索エンジンのAIが要約する情報に自社のコンテンツが引用されやすいようにする |
AIOの生成・表示方法
AIによる概要は、すべての検索結果に表示されるわけではありません。価値ある情報が高品質で提供できる場合に限って表示されます。例えば、「サバ アニサキス」では概要が表示されますが、「サバ おろし方」では表示されませんでした(2025年8月6日現在 ※状況は日々変化するため、最新の情報は自身で確認してください)。
サバのアニサキス問題は厚生労働省などから信頼できる情報が発信されており、その危険性や対策は明確。一方、さばき方は様々なサイトが情報を提供し、「3枚おろし」や「2枚おろし」、「腹開き」など手法も多岐にわたっているため、ユーザーが求める水準に達する要約ができないためでしょう。
「サバ アニサキス」と「サバ おろし方」のAIO表示の違い
YMYL(Your Money or Your Life)と言われるお金や健康など、人生を左右する内容も相対的に表示されにくいことがわかっています。「つみたてNISA おすすめ投資信託」「高配当 投資信託」「住宅ローン 金利」などは表示されない傾向にあり、特にお金に関する情報の要約は今のところ多くありません。
そのほか、時事性の高いものや人権侵害に関わる可能性が高いものも表示がされません。
AIOには検索用にカスタマイズされたGeminiモデルが使用されており、検索エンジンのランキングシステムやGoogleナレッジグラフと連携して生成しています。ソースとなるページへのリンクを含む回答がなされ、ユーザーに信頼性の高い情報を提供しています。
さらに品質と安全性を担保するため、YMYL領域においては引用する情報に対して高い基準を設けるなど、対話型AIで起こるハルシネーションの防止にも努めています。
AIOの機能と特徴
AIОはユーザーの傾向や期待値に合わせて情報を表示する機能を持ち、提供する情報を最適化しているという特徴があります。詳しく見ていきましょう。
プランの作成
検索だけでなく、献立などのプランを作ってくれます。「家族3人の食事で3日間の献立プラン」などと入力すると、手軽なものから手の込んだものまで、3日分の献立を提案します。
「ポイント」などとしてそれを提案した理由も挙げてくれます。
複雑なクエリへの対応
「憂鬱な夜にふさわしい映画は?」で検索した結果
AIが概要を表示するクエリは増えており、複雑なキーワードにも対応できるようになっています。
「憂鬱な夜にふさわしい映画は?」で検索すると、気分を明るくする、温かい気持ちになれる、感動して涙を流すものがよいとし、「ショーシャンクの空に」や「ニュー・シネマ・パラダイス」などの映画を紹介します。
そのほか、「夕立 にわか雨 驟雨 違い」といった、日本語の微妙なニュアンスの違いも区別をつけ、わかりやすく回答します。今後もAIОの進化は続くでしょう。
動画(Google Lens)への対応
Google Lensで動画を撮影し、その内容の質問にも回答することができます。例えば、外国語で書かれているメニュー表をGoogle Lensで取り込み、どんな料理なのかを尋ねて回答を得ることができます。
テキスト情報では伝えられない内容や、微妙なニュアンスをAIに伝える際に便利な機能です。
検索レポート(Google Search Console)への対応
AIOはトラフィックの解析などを行うGoogle Search Consoleのレポート対象です。Google AnalyticsでもAI経由のトラフィックを捕捉することができ、コンバージョンや滞在時間などのトラッキングをすることができます。
AIからのパフォーマンスが優れていれば、社内でAIO(AI Optimization)を行う動機付けにもなるでしょう。
AIOのSEOへの影響と課題
AIОはユーザーの検索体験を大きく変化させるものであり、特にWebサイトのトラフィックへの影響は多大です。オウンドメディアを立ち上げて特定のキーワードで上位表示を狙うSEO偏重型のコンテンツマーケティングの戦略は見直しを迫られるかもしれません。
ただし、Googleがコンテンツの質を重視する姿勢は変わっておらず、良質な記事や動画、画像をユーザーに届けるというコンテンツマーケティングの基本姿勢が変わることはありません。
AIОのSEOへの影響や課題を見ていきます。
AI OverviewsのSEOとその周辺への影響
2025年3月のコアアップデートにより、AIОの表示頻度が上がりました。Search Engine Landによると、「トラベル」「エンターテインメント」「レストラン」の分野で表示回数が上がっていることが明らかになっています。
3万のキーワードを対象としたahrefsの調査では、AIОによってクリック数が34.5%減少したことが明らかになりました。この調査では、ウィキペディアのような知識集約型のサイトのシェアがAIОによって奪われていることがわかりました。
一方、AIОは必ずしも上位に表示されている情報ばかりを取得するわけではないと言われています。つまり、検索順位上位ページ以外にもトラフィックの機会が増えたとも言えるわけです。
結局のところ、AIОが発達しても良質なコンテンツを作り続けることが最適な手段となります。Webサイトの記事を作成する際は以下の4点を抑えてください。
①信頼性の高い情報源を選んで記事内で提示する
②専門的かつ一次情報を扱うことに注力する
③網羅性の高い記事作成に努める
④独自性や時事性の高い情報を盛り込む
検索エンジンやAIをベンチマークするのではなく、あくまで記事のターゲットとなるヒトにとって価値の高い情報を提供することが重要です。
上位表示サイトのCTR大幅減少の可能性
AIОはCTR低下の要因でもあります。
ahrefsによると、情報収集型キーワード検索1位のページのCTRは、2024年3月のAIОが登場する前は5.6%だったものの、2025年3月の登場後は3.1%に下がったといいます。
Googleの最高経営責任者であるスンダー・ピチャイ氏は、「AI Overviewsにコンテンツやリンクが入ると、そうでない場合より、CTRが上がる」と発言していました。しかし、データでは下がることが明らかになっています。
CTRの低下でトラフィックやコンバージョンが失われている場合、検索エンジン以外でユーザーとの接点を確立するアプローチも必要になるかもしれません。
ただし、上位のCTRは低下する一方で、6位から10位のCTRはわずかに上昇する現象も確認されています。これはユーザーがより深く、独自性の高い情報を求めているためと考えられており、洞察力のあるコンテンツの優位性が上がったとも言えます。
業界別・クエリ別の影響の濃淡
AIОが得意とする検索キーワードは、「~とは」「なぜ」「いつ」などの情報収集型のクエリです。ただし、コンテンツマーケティングの視点においては、こういったクエリはCVから遠く、トラフィックが減少してもCVには影響しない可能性もあります。
業界では、「科学」や「キャリア」関連のサイトでCTRが低下した一方、「ビジネス」「ファッション」ではCTRが上昇するケースも見られました。
2025年3月のコアアップデートでは「トラベル」「エンターテインメント」「レストラン」の3ジャンルでAIОの表示回数が増加しています。Googleはブラッシュアップを重ねているため、AIОの影響力は拡大すると見られています。
運営するWebサイトのトラフィックが急減した場合、AIОが主要因になっているかもしれません。
トラフィック評価の「量」から「質」へ変化
AIОの概要を読んだ上でWebサイトへと遷移するユーザーは、深い知識を求め、製品やサービスの比較検討を行うなど、明確な意図を持って訪問する可能性が高いと言えます。AIОはユーザーをフィルタリングする役割を担っており、それを加味した上でページの制作や更新を行う姿勢も重要でしょう。
また、AIОに引用された記事はGoogleからのお墨付きを得たとも言え、権威性の証明にもなります。AIОと上手く付き合う方法を考えましょう。
AI Overviewsの今後の展望と予測
Googleは、コアアップデートによってAIОで表示するクエリの種類を拡大すると見られており、最新情報は注視する必要があります。
現在は情報収集型キーワードに強みを持っていますが、献立で例を挙げたような提案型にも対応できるようになっています。着回しなどを提案するファッション、マンガ・映画などをおすすめするエンタメ関連、最適な運動メニューを組み立てるフィットネスなど、幅広いWebサイトに影響を与える可能性があります。
一方、時事性の高いニュースサイトや指名検索で流入する公式サイト、ユニークな体験や独自の考え方を発信するブログへの影響は小さいでしょう。
AIO引用率を上げるための手法
AIOの引用率を上げる取り組みは、SEOの基本的な考え方であるE-E-A-Tがベースになります。E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の4つの要素から構成されるもので、Googleがサイトやコンテンツを評価する基準になるものです。
要素 | 日本語訳 | 意味・概要 | 役割 | 検索エンジンの判断軸 |
---|---|---|---|---|
Experience | 経験 | 実際にそのテーマに関して体験・実践した経験があること | コンテンツの信憑性や説得力を高める | 体験談や実例の記載、一次情報の提供、写真・動画・証拠資料の有無 |
Expertise | 専門性 | 専門的な知識やスキルを持っていること | 正確で深い情報提供を可能にする | 専門資格や経歴の明示、詳細で正確な解説、専門用語の正しい使用 |
Authoritativeness | 権威性 | 第三者からの評価や実績、業界での地位などによる信頼性 | 情報源としての価値を向上させる | 他サイトからの被リンク(特に権威あるサイト)、著者やサイトの評判、メディア掲載実績 |
Trustworthiness | 信頼性 | 情報の正確さ、透明性、誠実さが確保されていること | ユーザーや検索エンジンからの信頼を得る | 運営者情報や連絡先の明記、更新日時の明示、引用元の信頼性、サイトのセキュリティ(HTTPS) |
E-E-A-Tの意味・役割・判断軸
これをベースとし、「テクニカル」「コンテンツ」「サイト構造」の3つを強化することでAIОの引用率を引き上げることができます。
AIとの対話を円滑にする「構造化データ」
構造化データ(スキーママークアップ)とは、WebページのHTMLに特定の「ラベル」を付け加えることで、そのコンテンツが何であるかを検索エンジンに明確に伝えるための記述です。
■例
カテゴリー | スキーマタイプ | 記述すべき情報 |
---|---|---|
ブログ記事 | Article | headline(タイトル)・author(著者名)・datePublished(公開日) |
店舗情報 | LocalBusiness | name(店名)・address(住所)・telephone(電話番号)・openingHours(営業時間) |
よくある質問 | FAQPage | mainEntity内に Question(質問)と Answer(回答)のペアを記述 |
タイプを適切に選択し、必要な情報を記述してください。構造化データを正しく実装すると、AIが情報を取得しやすくなります。
AIが抜粋しやすい「モジュール型」ライティング
AIは長い文章を丸ごと引用するのではなく、必要な部分を抜き出して再構成します。従って、コンテンツ自体をAIが扱いやすい「モジュール(部品)」の集合体として設計することが重要です。
以下のようなライティングを心がけてください。
- 結論ファースト:簡潔かつ直接的な答えを提示します。
- FAQの活用:ページの一部または全部を明確なQ&A形式で構成します。
- スキャン可能なフォーマット:箇条書き・番号付きリスト・比較表を使って説明します。
- 会話型クエリの最適化:自然な会話口調を意識した文章を作成します。
Webサイト全体の文脈を強化する内部戦略
個々のページだけでなく、Webサイト全体も最適化する必要があります。内部リンクを張り巡らせて各ページの関連性を伝えることや、大テーマに対するクラスターページを複数作成し、Webサイトをピラミッド型にするのも有効です。
店舗などを運営している場合、WebサイトだけでなくGoogleビジネスプロフィールも充実させることで、AIに適切な情報を伝えることができます。
KPIの設定方法
AIOの登場により、成果指標(KPI)もSEOの「検索順位中心」から、より多面的で実態に即したものへと再設計する必要があります。ここでは、今後重要度が増してきそうな4つのKPIを紹介します。
AIO引用率
特定のキーワード群に対して、自社のドメインやコンテンツがAIO内でどれくらいの頻度で引用・表示されているかを示す指標です。AIOはユーザーの検索体験の入り口となるため、引用率の高さはそのままブランドの露出度や信頼性の高さを意味します。
検索結果占有率
検索結果ページ全体における自社ブランドの“表示シェア”を測定します。AIOでの引用に加え、従来のオーガニック検索結果、「他の人はこちらも質問」、動画・画像カルーセルなど、ユーザーが目にするあらゆる要素を対象にし、競合と比較します。これにより、単なる順位では見えない「検索画面上の存在感」や「情報発信力」を可視化できます。
指名検索ボリューム
AIO経由で自社ブランドに接触したユーザーが、ブランド名で検索する回数の推移を測定します。クリック数だけでなく、ブランド名での検索回数が増えていれば、AIO露出が認知向上に寄与している可能性が高いと言えます。
エンゲージメント品質
AIOを経由して流入したユーザーが、サイト内でどのような行動を取ったかを評価します。特にコンバージョン率(CVR)や滞在時間、閲覧ページ数などを分析し、AIO経由の訪問が事業成果につながっているかを確認します。
AIOによる事業のリスク
Webサイトのトラフィックが減少することが懸念されていますが、それ以外にどのようなものがあるのでしょうか?
「ハルシネーション」によるブランド毀損
事実に基づかない、あるいは文脈から外れた誤った情報をハルシネーションと呼びます。AIはもっともらしく嘘の回答をすることがあるため、ユーザーが気づきにくいという特徴があります。
AIOを巡ってはこのような事例が実際に起こっています。
ミネソタ州の太陽光発電会社Wolf River Electricは、AIOで虚偽の情報を表示しているとして、Googleを名誉棄損で提訴しました。「Wolf River Electric 訴訟」と検索した際、AI Overviewsが「同社は欺瞞的な販売行為で訴訟に直面している」と回答しており、これがハルシネーションだったのです。
参照:Wolf River Electric Sues Google Over AI Defamation
ハルシネーション対策として、常に新しい情報を発信し続けることや、Googleビジネスプロフィールの管理を徹底することが重要です。
要約されたくないコンテンツへの対処
概要だけでは伝えきれない情報や、著作権の問題などにより、AIОの利用を制御したいケースもあるでしょう。
nosnippet というメタタグをページのHTMLに追加することで、そのページの内容がAIOを含むすべてのスニペット(検索結果に表示される要約文)で利用が制限されます。
よくある質問
Q. AIO対策の効果が出るまでの期間は?
A.一般的に、目に見える効果が現れ始めるまでに3ヶ月から6ヶ月程度かかると考えられています。これはGoogleがサイトを再クロールし、評価を更新するまでに時間がかかるためです。
Q. AIO対策にかかる費用・相場はどれくらいですか?
A.サイト分析や戦略設計を含む初期費用として30万円〜80万円、コンテンツ更新や構造化データの実装、効果測定レポートなどを含む月額運用費用として15万円〜30万円程度が目安とされています。ただし、実装する内容や会社によって大きく異なります。
Q. 自社で対策するのは難しいでしょうか?
A.専門的な知識を持つ人が在籍していれば、対応できないことはありません。ただし、この領域は日進月歩で進化しているため、片手間でできることではなく、専任の担当者が常に最新情報をキャッチアップし、戦略を更新し続ける必要があります。
まとめ
AIОの登場はユーザーの検索体験を大きく変化させました。それに伴い、SEO偏重のマーケターの考え方もアップデートする必要があります。実際、トラフィックやCTRの低下は海外では顕著に起こっており、迅速な対応が必要です。
一方、AIОがフィルターとなって良質なユーザーが自社サイトを訪れ、CVRは高まる可能性もあります。権威性を高めてブランド認知を広げるチャンスもできました。
コンテンツの質を高め続けるという基本スタンスは崩さず、テクニックでカバーできることは早めの対策が必要でしょう。
過度に悲観することなく、AI時代に通じる視野を広げることが重要です。
当社ではこれまで培ってきたSEOコンサルティング、コンテンツマーケティング支援の知見を元に、AIO(AI Overviews)、LLMO(Large Language Model Optimization)の支援も行っています。ぜひ一度お気軽にご相談ください。
