
デザイナーやエンジニアなどの専門性の高い職種のユーザーの転職に役立つ情報を、15年以上にわたり発信し続けているサイトがあります。それが株式会社みらいワークス運営のクリエイター転職サイト「MOREWORKS」の「転職お役立ちガイド」です。
同サイトでは長らくオリジナルのコンテンツを発信し続けてきたことで、一定のSEOとしての成果が上がっていましたが、社の体制が変わったことを契機にマーケティングリソースを最適化したところ、流入数の減少やキーワードのランクダウンが起こっていたと言います。
しかしウィルゲート社のTACT SEOを導入後は、セッション数が施策前の3倍超に増加。主要な検索キーワードもスピーディーに軒並み上位化を果たしつつ、記事作成にかかる工数を圧倒的に削減できたそうです。
導入の背景や施策内容について、サイトの運営に関わっている小田さんとWさんにお聞きしました。
株式会社みらいワークス MOREWORKSチーム マネージャー 小田 晋太郎氏(以下、小田)、プロフェッショナルマーケティング部 コンテンツディレクター W.Y.氏 (以下、W )
株式会社ウィルゲート 飯田 美帆(以下、飯田)/中台 晴菜(以下、中台)
聞き手:ライター 外山ゆひら
目次
リソースを割けない状況で、流入増と検索上位化を図る必要があった
「転職お役立ちガイド」はデジタル・クリエイティブ業界のマッチングサイト「MOREWORKS」内に展開されている情報サイトです。まずはサービスの詳細について、小田さんに詳しくお聞きしました。
──貴社の事業概要について教えてください。
小田: まず、みらいワークスは人材サービス会社の中でも、“プロフェッショナル人材”のご支援をさせていただいていることが特徴です。当社では、専門性が高く経験豊富で即戦力となる“プロフェッショナル人材”の方々が、正社員、副業、業務委託など多様な雇用形態・契約形態で挑戦できる機会や活躍の場を作ることで、日本の未来を良くしていけると考えています。このほか、コンサルティングや実践型リスキリング、オープンイノベーション、地方創生、サステナビリティ経営支援の事業も展開しています。
──人材マッチングサイト「MOREWORKS」の設立や変遷はどのようなものだったのでしょうか。
小田:「MOREWORKS」は、もともと2009年にデジタル分野で活躍するクリエイターの方々を対象とした求人サイトとして立ち上がった経緯があり、2022年以降はM&Aによってみらいワークス傘下となりました。サービスの立ち上げ直後から、クリエイター向けのハウツー記事の作成に着手しており、コツコツと貯め続けてきたコンテンツやサイトデザインは、M&A後もそのまま引き継いでいます。
すでに一定のボリュームの記事があり、社内体制的に工数を割けない状況があったことから、M&A後はしばらく記事作成を行っていなかったのですが、その影響で流入数が徐々に減少していきました。「MOREWORKS」を立ち上げた会社はもともとが制作会社だったので、一定のリソースがあったのだと思いますが、我々はあくまで人材サービス事業者で、今後も大きなリソースは割けない状況のため、「工数を抑えつつも、主要キーワードで上位化させ、流入を増やしていくにはどうしたらいいか」という課題感を持っていました。
──2024年5月にウィルゲート社のTACT SEOを導入いただいたきっかけは。
小田 : 上記のような課題があったことから、上司に相談したところ、ウィルゲート社のTACT SEOを紹介いただきました。他のサービスも検討はしましたが、割とすんなりと導入をお願いしようということになりましたね。
決め手は、少ないリソースで記事を量産できることに加え、ウィルゲート社が生成AIに精通している印象を受けたことです。当時、個人的に「AIを使って記事作成をすると、Googleから評価されないのではないか」といった懸念を感じていたのですが、AIを使う利点と現時点での限界について詳しくご説明いただき、「来月からこうやって記事作成を進めていけばいいのだな」とビジョンが見えたのです。具体的なイメージが湧く提案をいただけたことで、導入の意志を固めることができました。
月10本以上を目安に、ライター1名体制で効率的な記事作成に注力
──どのような施策からスタートしたのでしょうか。
小田 :TACT SEOは機能がたくさんあるので、最初にどこから手を付けるべきかや使いながら困ったことなどを、ウィルゲート社の飯田さんと逐一相談しながら進めました。導入時の対策キーワードの設定も、飯田さんと一緒に行いました。
飯田:記事作成を担当されているライターの椙村さんは記事を書くノウハウをすでにマスターされている方で、SEO観点での基礎的なライティングは理解いただいていたので、応用部分を重点的にお伝えいたしました。習得スピードも非常に早く、施策開始から3ヶ月ほどで全体的な運用は軌道に乗ってきた印象です。
──記事作成のペースはどのくらいに設定されていたのでしょうか。
小田:月10〜15本作成を目安としていました。施策開始から1年弱のタイミングでWさんが入社してからは、彼女にディレクター的なポジションを担ってもらっています。
W:私は今、TACT SEOの使い方を絶賛、覚えている最中です。これまでの記事作成で培ってきたノウハウはあったので、特に使い方で詰まることはなく、比較的スムーズに習得できているかと思います。
施策開始2ヶ月で成果が現れ始め、約8ヶ月で流入数は3倍以上に
──成果が出たときのエピソードを教えてください。
小田 :最初に、飯田さんから「流入数が増えてくるのは施策開始から5ヶ月目くらいが一般的」と聞いていたので、そのくらいのスパンでシミュレーションしていました。しかし施策開始から2ヶ月目から一気に流入数が伸びてきて、早い時期に成果が現れたことは嬉しい驚きでしたね。「Webデザイナー」「Webデザイナー 資格」「インハウスデザイナー」といった主要なキーワードで首位も獲得でき、「Webデザイナー 未経験」でも3位を獲得するなど、上位化を果たせています。
半年ほど経って少し数字の伸びが落ち着いてきた時期には、飯田さんの後任の中台さんから提案をいただき、再度キーワードの見直しも行いました。施策から8ヶ月後には、施策前の3倍のセッション数になりました。
──成果につながって本当によかったです。他に得られた成果はありますか?
W: 圧倒的な作業効率化を図れたことです。以前は記事1本あたり10時間以上かかっていたと聞いていますが、TACT SEOを使うことで、早ければ2時間弱、長くても3〜4時間で仕上げることができています。これはライター陣がSEO観点をより意識して記事を書けるようになったことも一因ですが、AI機能によるところも大きいと思います。
TACT SEOのAIの精度は日を追うごとに上がっているので、最近は情報が古い部分に手を加える程度で済んでいます。私が入社した2025年4月のタイミングで「AI使い放題オプション」「ユーザー追加オプション」も導入し始めたのでガンガンAIを使い倒しています。
小田 :AI使い放題オプションは、個人的にかなりセンセーショナルでした。AIは従量課金制のところが多い印象なので、ウィルゲート社は太っ腹だなと(笑)。AIの性能も、この1年でかなり進化している印象です。最初は日本語の使い方に違和感を覚える箇所がちらほらありましたが、最近はそれも無くなってきています。最近は1〜2割のリライトで済んでおり、品質の高い記事を量産するためにAIは不可欠だなと。
また個人的には、AIを使うことに対する罪悪感がなくなったことも、施策前後の変化です。しっかり数字として成果が出ているので、Googleの評価の面でも杞憂だったかなと思えています。
──AI機能への評価、社内のエンジニアチームが喜びます!さらなるご要望があれば、ぜひお聞かせください。
W :現状で不満はないのですが、今以上に効率化を図るという観点で言うならば、完全にリライト不要でAIが全部書き上げてくれて、我々は最後の確認だけでOKという状況になると理想かなと思います(笑)。
──運用の体制が整うまでに、当社の担当者・飯田と中台はどのような点で貢献できたでしょうか。
小田:立ち上がりの時点では、対策キーワードを丁寧に抽出いただくなど、飯田さんには大変お世話になりました。途中から担当が代わり、ここ最近は中台さんとのお付き合いが長くなっていますが、お二人とも「聞いたら答えてくれる」という受動的なフォローではなく、「こうしたらどうか」といった提案を積極的にいただいています。当社のやりたいことや課題感に対して個別の提案をしてくださいますし、競合を調べて提案を持ってきてくださることも有難い限りですね。
過去いろいろなSEOツールを使ってきましたが、ウィルゲートさんは「自社の担当者が付いてくれている、伴走してくれている」という感覚があり、非常に頼りにしています。
途中からライター2名の新体制になったときも快くフォローしていただき、大変有難かったです。「何となく記事を書く」からSEOの体制構築まで成功させられたことを大きな価値に感じています。
飯田・中台:身に余るお言葉、ありがとうございます。
──今回の施策で成果が出た要因はどこにあると思いますか?
飯田:早々に成果が出た大きな要因は、記事の作成と公開をコンスタントに行っていただけたことだと思います。椙村さんはかなり早い時点からSEOの要点をおさえながら記事作成をしてくださり、ハイペースに、毎月一定の本数をアップされていました。
中台:「一定量の記事作成を継続的に進める」ということに加え、1本1本のクオリティを高めることにも注力してくださっているので、成果につながりやすかったのだと思います。
小田:今回の成果を受けて、フリーランスのマッチングサービス「フリーコンサルタント.jp」の記事作成でもTACT SEOを使っていこうということになり、横展開も始まっています。我々からすると、ウィルゲート社はSEOの会社という認識なので、今後は記事作成はもちろん、それ以外のところでもご支援をいただけると嬉しいです。
飯田・中台:ぜひ、どんなことでもご相談ください!
社を挙げてコンテンツマーケティングに注力し、ユーザーの自己実現に寄与していきたい
──ウィルゲート社のTACT SEOとSEO内製化支援プランを推薦いただくとしたら、どのような企業や担当者様になるでしょうか?
小田 :施策前の当社のように「記事作成に時間がかかり、思うように本数をアップできない」という部分に課題感を持っている会社や担当者さんに推薦したいです。ほぼ確実に、かなりの効率化が図れると思います。
「流入数を求めるのか」「そのサイトや自社サービスへのエンゲージメントを狙うか」によって記事作成の方向性は異なると思いますが、AIを活用するコンテンツと人の力で作るコンテンツを混ぜるなど、記事にバリエーションを持たせることで、質と量の両方を追求することは可能だと思います。
──貴社も両方の記事のバリエーションを持たせていく方向なのでしょうか。
小田 :はい。当社としては「AIを活用した記事」と「オリジナル記事」の両方のバリエーションがあるほうがサイトに厚みが出ると思うので、それぞれに役割を持たせて棲み分けていこうと考えています。
AIを活用した汎用的な記事はたくさん掲載しつつ、インタビューコラムなど、独自性のあるユニークな記事作成にも力を入れていきたいですね。具体的には「MOREWORKS」内の「企業インタビュー」や、若手人材に特化した転職支援サービス「コンサルネクスト.jp」のサイト内の「転職事例」「コンサルタントの1日に密着」等がそれにあたります。
AIを用いた記事をきっかけに流入してきてくれた読者に、じっくりと読んでもらえるようなコンテンツを作りたいという思いから、これらはしっかり取材して時間をかけて作っています。ただその分、月1~2本を作るのが精一杯です(笑)。
──「転職お役立ちサイト」の現在の目標はありますか?
小田 :「転職お役立ちサイト」については、引き続き流入数を伸ばせるよう記事作成に注力しつつ、CV(コンバージョン)を伸ばしていきたいです。流入数の増加に伴い、ユーザー登録数は順調に増えていますが、3倍にまでは至っていない状況です。少しずつ記事の色が出始めているので、個別の対策も増やしていきたいですね。
CVとしては「ユーザー登録」の先にある「求人への応募」につなげることが一番の目標ではありますが、「MOREWORKS」の主要ユーザーである職種の方々は、一般的な職種よりも、動き出すまでの時間は長い傾向があるので、タイム感は少しずれてくるのかなとも思っています。
その理由の一つとしては、応募時に必ずポートフォリオの提出が必要になることが挙げられます。この準備に結構な手間がかかります。ポートフォリオは基本的にフリーフォーマットなので「どう作ればいいのかを知りたい」という情報ニーズも高いです。
もう一つは、今すぐ転職の心づもりがなくても登録しておいて、「どのような人材が市場で求められているか」の情報収集として役立ててくれているユーザーもいるためです。求人に触れることで「マーケットに求められるスキルセットを身に付けておこう」という意識が高い人は一定数いて、そのように市場にアジャストしていける人ほど、いざ動き出したときの転職も成功しやすい印象があります。
──最後に、これからの貴社の目標を教えてください。
小田 :新しいユーザーや新しい企業とのお付き合いが広がったことを評価いただき、会社としても本格的にコンテンツマーケティングをやっていこうという方針となりました。社長も重要性を理解してくれているので、今後もその方向性が変わることはないと思います。
サービスの方針としては、扱う職種の領域をさらに広げていきたいと考えています。プロフェッショナル人材の方々は、収入のための仕事(=ライスワーク)で満足するのではなく、自己実現や社会貢献のやりがいを持って働ける「ライフワーク」を求めている方が少なくありません。当社のサービスを通じて自己実現を果たすことができるクリエイターを一人でも増やすことで、社会貢献につなげていきたいと考えています。
──みらいワークス様、および「MOREWORKS」のさらなる発展を祈念しております。ありがとうございました!
