
会社の設立後、事業を一時的に停止する方法として「休眠」という選択肢があります。この記事では、会社の休眠とは何を意味するのか、具体的な手続きの流れや税金、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
また、法人を完全に消滅させる廃業との違いも比較し、事業を休止する際に知っておくべき情報を網羅的に紹介します。
事業の将来を見据え、最適な方法を選択するための一助としてご活用ください。
\成約例や支援の特徴・流れを紹介/

会社の休眠とは、法人格を維持したまま、事業活動を一時的に停止している状態を指します。
法的な手続きを踏んで会社を解散・清算する「廃業」とは異なり、あくまで一時的な「休業」という位置づけです。
経営者の高齢化や後継者不足、事業環境の悪化など、さまざまな理由から将来の事業再開に備えて会社を存続させたい場合に選択される方法です。
一般的に「休眠会社」とは、事業活動を停止し、税務署などに休眠の届出を出した会社を指します。しかし、会社法第472条では「株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したもの」が休眠会社として定義されます。
この法律上の定義と、実務上の「事業を停止している状態」は意味合いが異なります。事業を停止するだけであれば特別な要件はなく、税務署等への届出によって休眠状態に入ることが可能です。
参考:休眠会社・休眠一般法人の整理作業について|法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00082.html
会社の「休眠」と「廃業」の最も大きな違いは、法人格が存続するか消滅するかにあります。
休眠は、あくまで事業活動を一時的に停止するだけであり、会社そのものは存在し続けます。
一方、廃業は、法務局で解散登記と清算結了登記を行うことで法人格を完全に消滅させる手続きです。
そのため、休眠は将来の事業再開が可能ですが、一度廃業すると同じ会社で事業を再開することはできません。
廃業については、「廃業とは?メリット・デメリット、倒産・閉店・休業との違い、手続きを解説」でも詳しく解説しています。
「みなし解散」とは、最後の登記から12年が経過した株式会社を対象に、法務局が職権で解散の登記を行う制度です。これは、長期間活動実態のない会社を整理する目的で行われます。
毎年、法務大臣による官報公告が行われ、対象となる会社には法務局から通知が送付されます。
通知から2ヶ月以内に「事業を廃止していない」旨の届出をしない場合、または登記申請をしない場合には、解散したものとみなされ登記されてしまいます。
この「みなし解散」の状態をさらに放置すると、清算人が選任され、最終的に清算結了となる可能性があります。ただし、これだけで自動的に清算結了となるわけではありません。事業を継続したい場合は、速やかに会社継続の手続きや必要な登記を検討する必要があります。

会社を休眠させることには、単に事業を停止するだけでなく、将来を見据えた多くのメリットが存在します。
廃業を選択する前に、休眠がもたらす利点を理解し、自社の状況に合った最適な選択をすることが重要です。
ここでは、会社を休眠させることで得られる5つの主要なメリットを解説します。
会社を休眠させることのメリットとして、事業活動に伴う一部の維持コストを抑えられる点が挙げられます。事業活動を停止することで、操業時に発生していた一部の経費、例えば事業運営のための通信費などが削減できる可能性があります。
これにより、事業の資金繰りが悪化している状況でも、支出を抑えつつ会社の存続を図る選択肢となりえます。将来的に事業を再開する可能性を考慮した場合、会社の維持に係る負担を軽減する一つの方法として有効と考えられます。
会社の廃業には、解散登記や清算人選任登記、官報公告、税務申告など、複雑で時間のかかる手続きが伴います。
これらの手続きを司法書士や税理士に依頼すると、数十万円の費用が発生することも少なくありません。
一方、休眠は税務署や自治体に所定の届出書を提出するだけで完了するため、費用をほとんどかけずに手続きを行えます。この手軽さとコストの低さは、廃業と比較した場合の大きなメリットです。
会社の廃業手続きについては、「会社の廃業手続きの流れとタイミングは?費用・期間・注意点も解説」で詳しく解説しています。
建設業許可や運送業許可、古物商許可など、事業に必要な許認可は一度廃業すると失効してしまいます。将来、同じ事業を再開する際には、これらの許認可を再度取得する必要があり、多大な時間と費用、手間がかかります。
休眠であれば、法人格と共に許認可も維持されるため、事業再開の際にスムーズにスタートを切ることも可能です。
特に取得が困難な許認可を持つ会社にとっては、計り知れないメリットとなります。
休眠会社は法人格が残っているため、新設法人を作るよりも再開しやすい場合があります。廃業と異なり、新たに会社を設立する必要はありません。税務署や自治体に事業再開の届出を提出するだけで、すぐに以前の法人格で事業を始めることが可能です。
景気の回復や新たなビジネスチャンスの到来など、外部環境の変化に応じて柔軟に経営判断を下せる点は、休眠ならではの強みです。
法人は事業活動による利益がなくても、存在しているだけで法人住民税の均等割(最低でも年間約7万円)を納税する義務があります。
しかし、多くの地方自治体では、休眠の届出を行うことで、この均等割を免除または減免する措置を講じています。
これにより、休眠中の税負担を大幅に軽減することが可能です。
ただし、自治体によって対応が異なるため、事前に管轄の都道府県税事務所や市区町村役場への確認が必要です。
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会社を休眠させることはメリットが多い一方で、いくつかのデメリットや注意すべきリスクも存在します。
手続きを進める前にこれらの点を十分に理解しておかないと、後で思わぬペナルティを受けたり、トラブルに発展したりする可能性があります。休眠会社が悪用され犯罪につながるケースもゼロではないため、適切な管理が求められます。
株式会社の役員(取締役や監査役)には任期があり、休眠中であっても任期が満了すれば役員の改選と、それに伴う役員変更登記が必要です。
たとえ同じ人物が再任(重任)する場合でも、登記手続きは省略できません。
この登記を怠ると、会社の代表者個人に対して100万円以下の過料が科される可能性があるため、注意が必要です。
休眠中も登記情報は定期的に確認し、必要な手続きを怠らないようにしましょう。
休眠中で事業活動がなく、利益がゼロの場合でも、原則として毎年の法人税の確定申告は義務付けられています。
申告内容としては、貸借対照表の提出のみで済む場合が多いですが、この手続きを怠ってはいけません。無申告の状態が続くと、2期連続で期限内に申告しなかった場合に青色申告の承認が取り消されるといったペナルティがあります。
青色申告の繰越欠損金を引き継ぎたい場合は、特に決算と申告を継続することが重要です。
役員変更登記などをせずに最後の登記から12年が経過すると、会社法に基づき「みなし解散」として扱われるリスクがあります。
これは、法務局が職権で会社を解散させてしまう手続きで、事業再開の意思があったとしても、定められた期限内に必要な届出をしない限り、法人格が消滅する可能性があります。
休眠を選択する場合は、この12年という期限を念頭に置き、定期的な登記を忘れないように管理しなければなりません。
休眠中は多くの経費を削減できますが、会社が所有する資産にかかる税金はゼロにはなりません。
例えば、会社名義で土地や建物といった不動産を所有している場合は、毎年固定資産税が課税されます。
同様に、社用車を保有していれば自動車税の納税義務が継続します。
これらの税金は休眠していても支払い続ける必要があるため、休眠前に資産の所有状況を確認し、年間の維持コストを把握しておくことが重要です。

会社を休眠状態にするには、いくつかの公的な手続きが必要です。
手続き自体は廃業に比べてシンプルですが、正しい手順を踏まないと、税金の免除が受けられないなどの不利益が生じる可能性があります。ここでは、会社の休眠に必要な手続きの仕方について、具体的な流れを4つのステップに分けて解説します。
この流れに沿って進めることで、スムーズに休眠の届出を完了させることができます。
休眠の手続きを進める前に、まずは法人としての事業活動を完全に停止させる必要があります。具体的には、商品の仕入れや販売、サービスの提供といった売上に直結する取引をすべてストップします。
あわせて、事務所の賃貸借契約を解除して家賃の支払いをなくしたり、公共料金やリース契約を解約したりする対応も不可欠です。従業員を雇用している場合は、あらかじめ解雇や転職支援などの適切な退職手続きを済ませておかなければなりません。
最終的には、事業用の銀行口座において取引先からの入金や経費の引き落としが一切発生しない状態を作り、実態としての運営を終了させることが、このステップにおける重要なポイントです。
事業活動の停止後、管轄の税務署へ「異動届出書」を提出します。
この届出書に、休業する旨、休業開始日などを記載します。これが休眠手続きの中心となります。
届出書の様式は国税庁のホームページからダウンロード可能です。また、状況に応じて「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」や、消費税の課税事業者であった場合は「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」も併せて提出します。
これらの届出により、税務署側に休業状態を知らせることができます。ただし、届出後も申告案内や確認書類が届く場合があり、必要な申告・届出義務がなくなるわけではありません。
税務署への届出と並行して、法人の本店所在地を管轄する都道府県税事務所と市区町村役場にも休眠の届出を行います。これは法人住民税や法人事業税に関する手続きです。提出する書類は「異動届出書」ですが、自治体によって様式が異なる場合があります。
多くの場合、税務署に提出した異動届出書のコピーと定款のコピーを添付することで手続きが可能です。
この届出により、法人住民税の均等割が減免される可能性があります。
自治体によって様式や添付書類は異なります。税務署に提出した異動届の控え、登記事項証明書、決算書、休業理由書などを求められる場合があるため、事前に管轄自治体へ確認しましょう。
従業員が全員退職し、役員への報酬支払いもなくなった場合は、社会保険や労働保険の手続きが必要です。
まず、管轄の年金事務所に「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」を提出します。
これにより、社会保険の適用事業所ではなくなります。
また、労働基準監督署とハローワークには、労働保険の「労働保険関係成立届」の廃止手続き(労働保険確定保険料申告書の提出など)を行います。これらの手続きにより、保険料の支払いが停止されます。

会社を休眠させても、すべての費用がゼロになるわけではありません。
休眠中に発生する税金や維持費用を事前に把握しておくことは、将来の事業再開や会社の存続計画を立てる上で非常に重要です。ここでは、休眠中の会社にどのようなコストがかかるのか、その内訳を具体的に解説します。
法人住民税の均等割は、会社の所得に関わらず課される税金で、資本金の額や従業員数に応じて最低でも年間約7万円がかかります。原則として、会社が存在する限り納税義務があります。
休眠中の法人にかかる均等割の取り扱いについては、自治体によって制度が異なる場合があります。そのため、事前に管轄の自治体に確認し、課税免除や減額に関する最新の制度や手続きについて問い合わせることが重要です。
法人税は、会社の所得(利益)に対して課税される税金です。
したがって、休眠中で事業収入が一切なく、所得がゼロまたは赤字であれば法人税は課税されません。同様に、消費税も課税対象となる取引がなければ納税義務は発生しません。
ただし、過去の事業年度に発生した欠損金(赤字)を将来の利益と相殺できる「繰越欠損金」の制度を利用するためには、所得がゼロでも毎年確定申告を継続する必要があります。
休眠中も役員変更登記の義務があり、これを怠ると過料の対象となります。
登記手続きは自分で行うことも可能ですが、書類作成が煩雑なため司法書士に依頼するのが一般的です。
その場合の費用は、登記申請に必要な登録免許税(資本金1億円以下の会社は1万円)と、司法書士への報酬(3万円〜5万円程度が相場)で構成されます。
合計で4万円から6万円程度の費用を見込んでおくとよいでしょう。
休眠中の税務申告は、事業活動がないため比較的簡素な内容で済みますが、申告義務は継続します。
申告漏れのリスクを避けるために税理士に依頼する場合、その費用が発生します。
顧問契約ではなく、決算・申告のみを単発で依頼する形が一般的です。
この場合の費用は、税理士事務所によって異なりますが、おおよそ5万円から10万円程度が目安となります。
毎年発生するコストとして予算に組み込んでおく必要があります。
会社の休眠を検討している経営者にとって、事業売却は有力な選択肢の一つです。
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会社の休眠を検討するにあたり、多くの経営者が抱く共通の疑問があります。
ここでは、借金の取り扱いや事業再開の方法など、休眠に関するよくある質問とその回答をまとめました。
最終的な意思決定の前に、これらの点をしっかり確認し、不明点を解消しておくことが重要です。
専門家による調査やアドバイスが必要な場合もあります。
借金や負債があっても会社を休眠させることは可能です。
ただし、休眠によって債務の返済義務がなくなるわけではありません。
金融機関からの借入金や買掛金などの負債は、休眠中も契約に従って利息を含めて返済し続ける必要があります。
もし返済が困難な状況であれば、休眠ではなく、弁護士に相談の上で自己破産などの法的な債務整理手続きを検討すべきです。
休眠状態から事業を復活させる際は、管轄の税務署、都道府県税事務所、市区町村役場へ「異動届出書」を提出し、事業を再開する旨を届け出る必要があります。また、休眠会社が事業を継続する場合には、「まだ事業を廃止していない」旨の届出とともに、必要な登記(役員変更等)の申請を行う必要があります。
休眠前に社会保険の適用事業所を廃止していた場合は、事業再開に伴い、年金事務所で再度、健康保険・厚生年金保険の新規適用手続きを行う必要があります。
個人事業主には、法人における「休眠」という制度はありません。
個人事業主が事業を一時的に停止したい場合は、税務署に「個人事業の廃業届出書」を提出して一度「廃業」する形になります。
そして、事業を再開する際には、改めて「開業届」を提出します。
法人格がないため、事業をしていなければ所得税や消費税は発生せず、法人住民税の均等割のような税金もありません。
会社の休眠は、廃業とは異なり、法人格を維持したまま低コストで事業活動を一時停止できる有効な選択肢です。
事業再開の可能性を残しつつ、維持コストを大幅に削減できるメリットがあります。
しかし、休眠中も役員変更登記や税務申告の義務が残り、これらを怠ると過料などのペナルティが科されるため注意が必要です。
また、休眠中でも株式の譲渡は可能であり、事業承継やM&Aによる会社売却という道も開かれています。
自社の状況を総合的に判断し、最適な選択をすることが求められます。
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