変化の激しい広告業界では、どのようなM&Aがおこなわれているでしょうか。
本記事では、広告業界の市場動向やM&Aの特徴・事例・費用相場などを詳しく解説しています。広告業界でM&Aを成功させるポイントもお伝えしていますので、ぜひご活用ください。
広告業界は、新聞や雑誌、テレビなどのメディアに広告をのせたり、CMを作ったりと企業の宣伝活動をサポートする業界です。
企業から宣伝を請け負った広告企業が、依頼主の持つ商品やサービスを代わりに宣伝します。
そして、昨今では急速なインターネット普及により、広告業界も適応しようと進化している状態です。従来のテレビや新聞広告から、Webメディアや動画広告などデジタル媒体への出稿に移行しています。
広告企業には、「広告代理店」「広告制作会社」の2つがあります。
広告代理店は、宣伝を希望する企業と宣伝してくれる媒体の間に入って、企画から制作までをサポートする企業です。場合によっては広告主にヒアリングをおこない、希望に合う広告を作ってくれる別の制作会社へ発注することもあるでしょう。
広告枠の買取や依頼主との共同イベント運営や手数料などが、広告代理店の主な収入源です。
また、同じ広告代理店でも複数の種類があります。たとえば、以下3つの代理店が代表的な例です。
1.どんな広告媒体でも幅広く請け負う「総合代理店」
2.テレビ限定など特定の媒体のみを扱う「専門代理店」
3.Webメディアなどインターネット広告を対象に制作する「インターネット広告代理店」
ほかにも、特定の企業限定で活動する代理店もあります。
一方、広告制作会社は、その名の通り「広告」そのものを作る会社です。テレビならCM、雑誌なら広告ページ、Webならバナー広告の制作が考えられます。
こちらも代理店と同様に、総合的に受注制作する会社、CM専門の制作会社、Web広告専門の専門会社など、さまざまなタイプに分かれているのが特徴です。
つまり、広告企業とは広告の企画や制作、販売など「広告」に関するプロデュースをおこなっている企業、とイメージするとわかりやすいでしょう。
日本における広告企業の市場規模の目安として、2020年の総広告費は約6兆円でした。
そのうち、新聞や雑誌・ラジオ・テレビ広告などマスコミ広告費は2兆2,536億円で前年と比べると縮小傾向です。反対に、インターネット広告費は、2兆2,290億円と前年を上回っています。
数値で見ると、従来のマスコミ4媒体に並ぶ勢いでインターネット広告市場が拡大しているとわかるでしょう。
その背景にはスマートフォンの普及があります。具体的には、Web広告のほうがひと目に触れる機会が増え、テレビより動画を見る人が増えてきたことが考えられるでしょう。
そのため、テレビなどのマスコミ業界もインターネット広告に対応し始めている状態です。具体的には、広告企業でも、依頼主に合わせてインターネットを重要視する広告スタイルに変化させています。
ゆえに、それまでマスコミ広告を中心に受けていた企業でも、Web広告や動画広告も展開できるよう事業を変更・拡大することが求められていくでしょう。
参考:業界動向「広告業界」
広告業界では、インターネットを中心に事業を展開するビジネスモデルが今後も拡大していくでしょう。
反対に、インターネット業界で活躍している企業が広告業界へ参入していくことも考えられます。実際に海外では、コンサルティング企業が広告代理事業を始めたといった事例もあるほどです。
また、5Gの普及や動画配信サービスの利用拡大に伴い、動画広告や運用広告を始め、これまでの広告業界にはなかった媒体での広告出稿も見込まれます。そのため、マスコミ媒体が中心の広告企業も、ビジネスモデルを大幅に転換していくでしょう。
広告業界の代表格として、大手広告代理店とIT系の広告代理店、特定企業専門の代理店を紹介します。
まずは、業界最大手の「電通グループ」です。国内シェアの高さはもちろん、世界でも売上高が5位にランクインしている大企業で、東京オリンピック・パラリンピックやFIFAワールドカップなど世界規模のイベント広告も手掛けています。
電通に次いで知られるのが「博報堂DYメディアパートナーズ」です。電通が圧倒的な量で業界1位を突き進むのに対し、博報堂はクライアント第一主義で、質の高い1点にこだわりぬいて広告を提供しています。業界では第2位のポジションについています。
そして、業界第3位は「ADKホールディングス」です。ドラえもんやワンピースなど日本を代表するアニメ作品の制作やイベントも手掛けており、アジア圏など海外にも事業展開しています。
IT系広告代理店として有名なのが「サイバーエージェント」です。インターネット広告・ゲーム・メディア領域で売上を伸ばし、現在も成長し続けている企業のひとつといえるでしょう。「アメーバブログ」や「AbemaTV」、アプリゲームの「グランブルーファンタジー」などが代表的な運営サービスとして知られています。
最後に、JR東日本専属の代理店である「JR東日本メディア」です。JR駅構内のポスターや車内広告、駅のサインボードなどJR東日本にかかわるあらゆる広告を制作しています。
広告業界では、市場がインターネット業界に広がってきたこともあり、M&Aが活発におこなわれている状態です。なぜなら、IT系の広告代理店も増えてきており、既存の代理店もインターネット事業に手を広げざるを得ないからです。そのため、既存の代理店がITに強い企業とM&Aをおこない、事業を拡大しています。
具体的には、最先端のIT技術を持つ制作会社やデジタルツールの開発企業、中小のWeb広告企業などが挙げられるでしょう。
また、広告事業だけを売却する「事業譲渡」でM&Aを実施する企業もあります。そして、大手広告代理店によるM&Aは、売却額が数百億〜数千億円と高額になることも珍しくありません。
さらに、インターネット業界とのM&Aに加えて、海外の企業を買収する動きも盛んです。
国内では人口減少や不景気により、市場も今後は縮小していくと予想されています。そのため、早いうちから海外に拠点を持ち、世界でも市場を広げておきたいと考える企業が増えてきているのです。たとえば、業界最大手の電通は、145カ国以上の国や地域で事業展開を進めており、毎年10社以上とM&Aをおこなっています。
つまり、広告業界では大手企業を中心に「IT」「グローバル」に着目したM&Aが積極的に実施されており、今後もその流れが継続していくといえるでしょう。
ここからは、広告企業を買収・売却するときのメリットをそれぞれの視点にわけて解説します。
広告企業を買収するメリットとして「最先端のノウハウが手に入る」「インターネット業界への参入がしやすい」「取引先や顧客をそのまま引き継げる」点が挙げられるでしょう。
売り手企業が、今後拡大するであろうインターネットや動画業界にて、すぐに使える技術を保有していたらスムーズに買い手企業も応用できます。
特殊なスキルがいるITツールを使いこなす技術者がいるのはもちろん、特定の分野で実績を出している企業が持つノウハウがあることも、買い手には魅力的です。
また、市場が拡大しているインターネット業界へ参入する敷居も低くできますし、結果を出すまでにかかる時間も大幅に短縮できます。さらに、売り手企業が保有している顧客や取引先が多数あるなら、収益の確保もすぐに見込めるでしょう。
一方で、広告企業を売却するメリットは「売却で利益が増える」「後継者が見つかる」「経営の建て直しが可能となる」です。
会社や事業に高い金額がつけば、その分収益が増えます。現時点で負債があったり、赤字状態だったりしても、買い手企業が魅力的に感じる要素があるなら、売却価格も大幅に増えるかもしれません。売却益が増えた場合は、負債が解消できる可能性も高まりますし、引退後の生活にも余裕が生まれます。
特に、会社全体を売却する「会社売却」であれば、負債ごと相手に引き継がれるため、負担も軽減できるでしょう。
また、会社を継いでくれる人がおらず悩んでいる場合は、売却することで後継者を見つけられます。そもそも事業をたたもうとすると、従業員の雇用も失われるため、彼らの今後も考えなくてはなりません。しかし、売却することで大切な従業員もそのまま残せます。
そして、M&Aによって大手企業の子会社になれば、倒産のリスクを回避できるうえに経営の建て直しも可能です。
広告企業に限らず、M&Aでの相場ははっきりとは示せません。ただし、公開されている事例の価格を見ると、平均数億円〜十数億円が相場といえるでしょう。
しかし、企業の持つ規模や実績、今後の将来性によって金額はその都度大きく変わるため、この相場も数カ月〜1年後には大きく変わっている可能性もあります。
それでも、広告業界は市場規模が約6兆円と非常に大きな業界です。また、インターネット業界への参入が加速していることもあり、相場もまだ高まっていくことが見込まれます。
実際に、大手企業のM&Aでは取引額が数百億〜数千億円にのぼることもありました。
ゆえに、一般的な中小企業のM&Aと比べると広告業界のM&A相場は高めで、今後も高くなる可能性があるといえるでしょう。
では、広告企業における「買収」をうまく成立させるポイントを見てみましょう。
広告業界は、テレビや新聞、雑誌、ラジオなど従来のマスコミ4媒体から、Web広告業界への参入に切り替わっています。そのため、今後ますますデジタル化が進んだときにも高い利益を生んでくれる技術や知識、ノウハウを企業を持っている企業が重宝されるのです。
買い手企業と新しい技術を持つ企業が一緒になれば、将来性も見込めて、企業評価も高まるかもしれません。つまり、現在の資産価値はもちろん、売り手企業の持つスキルやノウハウに着目して将来市場への対応力があるかを確認することがポイントです。
M&Aでは、買い手企業も自社の分析をしておくことが重要です。買収によって高いシナジー効果を生むには、自社の特徴や強み・弱みを把握しましょう。
そして、事業拡大に必要な要素を持つ企業を厳選し、本当にマッチングできる企業と出会うことが先決です。たとえば、売り手企業の調査が足りないまま買収したことで、新規事業が失敗してしまうケースも十分にあり得ます。
そのため、売り手企業情報と同じくらい自社のリサーチ作業も、時間をかけて丁寧におこないましょう。
IT系の広告企業は、現状特に需要が高まっています。ゆえに、ライバル企業同士で価格がつり上がっていくことも考えられるでしょう。
そうなると、本来の価値よりも高い金額で買収が成立するケースもあり、結果として費用対効果が見込めず失敗する可能性もあるのです。
買収金額の回収期間が想定よりも長期化しないよう、よく見極めて買収価格の設定をしましょう。
反対に、広告企業の「売却」ではどんな点に注意すればよいでしょうか。
売却成功のために必要なポイントを解説します。
売り手企業は、自社の強みをきちんと相手企業に伝えなくてはなりません。
広告業界で今後必要とされる事業やスキル・ノウハウを持っているのであれば、十分にアピールできます。仮に、自社では「普通」「強みとは呼べない」と思っていることでも、他社から見たら魅力的に感じられることもあるかもしれません。
自社の強みや弱み・アピールポイントはしっかりと分析し、資産価値以上の売却額をつけてもらう工夫をしましょう。
M&Aのタイミングは、業績が波に乗っているときのほうが売れやすいでしょう。
売り手企業の視点では、会社が一番よいときに手放すのはもったいないと思うかもしれません。しかし、会社に若い従業員や経営陣が多く、事業が軌道に乗っている企業のほうが、買い手も安心でき、需要も高まります。
実際に、売り手のオーナーが60代よりも40代のほうが「まだまだ成長する」と思われ、高い価格をつけてもらえるケースもありました。そのため「経営者が売りたい」と考えるタイミングよりも、もう少し手前で売却を検討するのがおすすめです。
会社売却では、自社が保有する人材も譲渡されます。
たとえば、広告業界で即戦力となるスキルを持った人材や、業界歴の長いベテラン、育成能力の高いリーダー人材など、買収後も活躍してくれる人材がいるはずです。優秀な人材が多ければ多いほど、会社の価値も高まります。
ゆえに、売却を検討するのであれば、自社の従業員に転職を促すのではなく、なるべく現状の立場を守って買収先でも働いてもらえるように意識しましょう。
広告企業では、M&Aが盛んにおこなわれています。それゆえに注意しておきたい点もあるのです。
ここでは、広告業界でM&Aをおこなうにあたって知っておきたい注意点をお伝えします。
M&Aはあくまでも事業拡大や戦略のひとつです。
買収や売却を目的にしてしまうと、その先にある目標や未来予測と現実にギャップが生じてきたときに対処が難しくなります。たとえば、交渉や買収監査で問題が発生して取引条件が大きく変わってしまったり、買収後の引き継ぎがうまくいかず多額の損失を招いたりすることもあるかもしれません。
そのため、M&Aのメリットだけでなく、リスク面もきちんと考慮して、交渉や準備をおこなうことを忘れないようにしましょう。
近年の広告企業におけるM&Aでは、Web関連企業との取引が増えています。
しかし、相手企業が本当にWeb業界に精通しているかは定かではありません。買収後に「仕事ができる人材が少なかった」「求めていたノウハウを持っていなかった」となってはM&Aも失敗に終わります。
そこで、インターネット業界で今後事業を拡大していきたいのであれば、以下のスキルを持っているかどうかも事前にチェックしておく必要があるでしょう。
また、新聞や雑誌と違い、インターネット広告の場合は無形資産です。無形資産の引き継ぎについても、スムーズにおこなえる対応力があるかを見極めることも重要でしょう。
インターネット業界に加えて、グローバル化もしている広告業界では、海外企業とのやり取りを見据える必要もあるでしょう。実際に、海外企業を買収する事例も増えており、大手企業は世界にも拠点を置いています。
そこで、海外の企業との交渉や事業拡大時の対応なども、M&Aの段階でよくすり合わせておくことが大切です。
そもそも、日本と海外ではビジネスの考え方や文化も異なります。買収後の統合や引き継ぎをスムーズに進行していけるよう、事前に入念に準備を整えておきましょう。
ここからは、広告業界のM&A事例を参考として紹介します。大手企業から注目の成長企業まで幅広い業種の企業が広告企業とM&Aをおこなっていることがわかるでしょう。
大手広告代理店の電通は、2018年2月にデータアーティスト株式会社を買収しました。
データアーティストは、AI(人工知能)を駆使したマーケティングやコンサルティングをおこなう企業です。数学オリンピックのメダリストなども採用しており、優秀な人材を豊富に保有している点も特徴として挙げられます。
一方で電通は国内最大・最大手の広告代理店で、日本M&Aセンターとも提携し、M&Aの仲介もおこなう大企業です。
電通がデータアーティストを子会社化したことで、AIを中心とした事業戦略を可能としました。また、数学に強い人材が豊富とされるモンゴルに拠点を置いて、さらなる成長を実現させています。
参考
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/0209-009460.html
業界第2位の博報堂も海外企業のM&Aを実施しています。2020年3月には、インドのAdGlobal360 India Pvt. Ltd.(AGL社)を買収しました。
AGL社は、約460人のスタッフを抱え、デジタルメディアの企画や販売、コンテンツ制作、SNS運用など幅広い事業をおこなうグローバル企業です。
実は、M&A以前より、博報堂とは共同でプロジェクトを何度も遂行しています。しかし、今回のM&Aでさらにインド国内での事業拡大や対応力の向上が期待されているのです。
参考
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/79278/
「アメーバブログ」やゲーム「グランブルーファンタジー」などを提供するサイバーエージェントは、「R25」などWebメディアを運営する「Media Shakers(メディア・シェイカーズ)」を2017年5月に買収しました。
メディアのコンテンツ制作に強いメディア・シェイカーズと、メディア運営ノウハウを保有するサイバーエージェントが一緒になったことで、サイバーエージェントはさらなる事業拡大を実現できました。
2017年からは新たに「株式会社新R25」をスタートし、仕事や生き方など読者の背中を押す情報発信をおこなっています。
ちなみに現在は、サイバーエージェントの子会社「株式会社CA Young Lab」と株式会社新R25が統合され「株式会社Cyber Now」に変わり、新R25が運営されている状態です。
参考
https://www.fashionsnap.com/article/2017-03-31/r25-cyberagent/
インターネット広告代理店グループのGMOアドパートナーズ株式会社が、株式会社シフトワンを2017年8月に買収しました。
GMOアドパートナーズは、4社のアドテク、エージェンシー事業から編成されたインターネット広告企業です。シフトワンは、マンガに音声や動きがついたデジタルコンテンツ(モーションコミック)を提供しています。
このM&Aによって、GMOアドパートナーズは動画広告の制作事業を拡大できました。
参考
https://macloud.jp/media/consideration/1652
2020年3月には、サイジニア株式会社が、京セラコミュニケーションシステム株式会社によって新規設立された「デクワス株式会社」を買収しました。
サイジニアは、AI(人工知能)やビックデータの解析技術があり、マーケティング支援活動事業をおこなっています。業界内では、データ解析エンジンを提供する企業として有名です。
京セラコミュニケーションシステムは、京セラの子会社であり、経営コンサルティングやICT事業などに取り組んでいます。デクワスは、このM&Aのために設立された京セラコミュニケーションシステムの子会社です。
サイジニアは、検索エンジンに連動した広告や新たなデータ解析技術の取得などが可能となりました。
参考
https://www.kccs.co.jp/news/info/2020/0131/index.html
株式会社プリンシプルは、アメリカの広告エージェンシーである「Eboost Consulting」を2021年8月に買収しました。買収は、プリンシプルの子会社である「Principle America Corp.」を通しておこなっています。
プリンシプルは、DX支援やデジタルマーケティング支援を一括でおこない、SEOやデジタル広告、データ解析などをサポートしている企業です。北米やアジア圏への事業進出を支援する事業も実施しています。
一方、Eboost Consultingは、2020年に米国で最も急成長しているマーケティング企業の100社にも選出された、Amazon広告に強いマーケティング企業です。
この買収によりプリンシプルは、最先端の技術を発信するアメリカでの事業拡大が叶い、日米間で一緒にプロジェクトを進められる体制も整いました。人材の多様化や専門性の強化にもつながっています。
参考
https://www.principle-c.com/news/press-eboost-consulting-20210804/
2021年1月には、クリエイターニンジャ株式会社と株式会社フォースリーが資本・業務提携を開始しました。
クリエイターニンジャは、広告主や代理店、YouTuber事務所向けに提供している、YouTube分析ツール「TUBERS」を開発・運営している企業です。
フォースリーは、アフィリエイト広告などを展開する広告代理店に加え、サイト制作事業や自社サービスの展開もおこなっています。
両者が提携したことで、サービス開発力に広告販売力が加わり「TUBERS」の普及・販路拡大が期待されています。
参考
https://43s.co.jp/release-20210105/
2021年11月に、ニューラルポケット株式会社が、株式会社フォーカスチャネルの全株式を取得しました。
ニューラルポケットは、AI(人工知能)の実装技術や解析技術などを使った事業を展開しており、フォーカスチャネルは、マンションのエントランス広告事業などをおこなう企業です。
つまり、AI領域に強い企業が広告企業を買収した事例となるでしょう。
このM&Aで、フォーカスチャネルの持つ営業力やノウハウを活かし、AI技術を駆使した広告展開やマンション管理事業の発展が期待されています。
参考
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20211022_4056/
2022年3月に、テモナ株式会社がAIS株式会社の全株式を取得します。
テモナは、BtoCの事業者に対して、サブスクリプション型のクラウドシステムを提供する企業です。
AISは、通販領域に特化してWeb広告事業やコンテンツ制作などをおこなっています。
AISを買収することにより、テモナは既存顧客へさらなるサービスを提供することが可能となる見込みです。
参考
https://ma-times.jp/63082.html
2021年12月に、株式会社グッドパッチが、株式会社スタジオディテイルズの買収を決定しました。
グッドパッチは、UIやUXデザイン事業をはじめ、ビジネスモデルやブランドデザイン、ソフト開発もする企業です。
一方、スタジオディテイルズは、広告事業や商品開発、アプリ開発など幅広い事業を手掛けています。
スタジオディテイルズの持つ顧客へのリーチ力を使い、グッドパッチはデザイン領域でさらに事業規模を拡大していくことが可能となるでしょう。
参考
https://goodpatch.com/news/god-is-in-the-details
今後の市場拡大などを考えると、広告業界でのM&Aに興味がわいた方もいるでしょう。
そこで、実際に広告企業をM&Aしたいときの手段を最後に解説します。
会社売却や事業譲渡を検討したら、自分で判断するのは危険です。M&Aは、複雑な交渉や取引条件の決定、事務手続きを経て成立します。また、最適な相手を自力で見つけ出すのも困難といえるでしょう。
そこで、M&Aに特化した支援をおこなう仲介会社にサポートしてもらうのが一般的です。
仲介会社は、自社に合う企業のリサーチやマッチング、交渉の手配、買収時の書類作成などをすべて支援してくれます。会社によっては、広告業界に強いところもあり、業界内の知識も豊富に持っているでしょう。
ただし、M&A仲介会社はどこを選ぶかで手数料も変わってくるため、相談料無料やサポート内容が充実しているところを選ぶのがおすすめです。
M&A専門のマッチングサイトもあります。マッチングサイトには多数の企業が掲載されており、候補先を自社で自由に選べるのが特徴です。
また、小規模なインターネット広告企業やベンチャー企業の案件も増えているため、需要に見合った企業を探せるかもしれません。
ただし、仲介会社に比べるとサポートが少なく、交渉や手続きも自力で進めていく必要があるでしょう。自社で売買を決定するため、買収後にミスマッチが出てくる可能性もあります。
地元地域の企業を買収・売却したいのであれば、地元の機関に頼るのもひとつの手です。
たとえば、銀行や自治体に相談する方法があります。地方の金融機関や行政機関には事業承継や引き継ぎ支援センターがあり、事業売買に関して詳しい情報を持っているのです。
ただし、あくまでも地元に根付いた企業のみに対して強いため、ほかの都道府県や海外でのM&Aを検討するなら、物足りなく感じるかもしれません。
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広告業界では、従来のテレビや新聞・雑誌などの媒体からWeb広告や動画広告などに事業を広げるデジタル化が急速に進んでいます。また、国内市場だけでなく海外市場にも積極的に活動拠点を広げて、大規模なM&Aがおこなわれることも増えてきました。
インターネット業界への参入が進んだことで、大手広告代理店だけなく、中小の広告企業やIT系企業にもビジネスのチャンスが広がっています。そのため、将来を見据えて早い段階からM&Aを検討する企業も出てきているのです。
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