
M&Aは、後継者問題の解決や事業の成長戦略を実現するための有力な選択肢です。しかし、そのプロセスは複雑で、成功には専門的な知識や経験が欠かせません。この記事では、M&Aの基本的な流れから具体的な手法、成功のポイントまで、初心者にも分かりやすく解説します。
M&Aを検討する上で必要な情報を網羅しているため、全体像の把握に役立ちます。
\成約例や支援の特徴・流れを紹介/

M&Aとは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称で、複数の会社が一つになったり、ある会社が他の会社を買い取ったりすることの総称とされています。日本では特に、後継者不足に悩む中小企業の事業承継や、大手企業による事業拡大、新規事業への参入、スタートアップ企業が創業者利益を確定させる手段として活発に用いられています。
M&Aのプロセスは、検討を開始してから最終的な統合が完了するまで、大きく7つのステップに分けられます。各段階で実施すべき事項や注意点が異なり、一連の流れを正しく理解しておくことがM&Aを成功させるための第一歩です。
ここでは、専門家への相談から始まり、PMIに至るまでの標準的な手順を時系列で解説します。
M&Aを行うことを決めたら、始めにM&A仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザー)などの専門家へ相談します。専門家は豊富な経験とネットワークを持ち、客観的な視点からアドバイスを提供してくれます。この段階で、なぜM&Aをするのかという目的を明確にし、希望する条件やスケジュール、売却・買収の基本戦略を固めていきます。
自社の現状を正確に伝え、専門家と協力して実現可能な計画を策定することが重要です。
相談先の専門家が決まったら、アドバイザリー契約や仲介契約を締結します。その後、専門家は売り手企業の情報を特定できないようにまとめた「ノンネームシート」を作成し、買い手候補となる企業へ打診を開始します。
このノンネームシートを基に買い手候補が関心を示し、詳細な検討に進む段階で、情報漏洩を防ぐため秘密保持契約(NDA)を締結するのが一般的です。
このノンネームシートを基に、関心を示した候補先を絞り込んでいきます。
ノンネームシートで関心を示した候補企業とは、秘密保持契約を結んだ上で、企業名や詳細な事業内容が記載された「企業概要書(IM)」を開示します。その後、双方の経営者同士が直接顔を合わせる「トップ面談」が設定されます。この面談は、お互いの経営理念やビジョン、企業文化への理解を深める重要な機会です。
また、譲渡価格や従業員の処遇といった、M&Aの基本的な条件に関する交渉もここから本格化します。
トップ面談やその後の交渉を経て、主要な条件について双方が大筋で合意に至った段階で「基本合意書(LOI)」を締結します。
この書類には、現時点での譲渡価格の目安、M&Aのスケジュール、今後の進め方などが記載されます。
一般的に、基本合意書では譲渡価格などの主要条件は法的拘束力を持たせないことが多い一方で、秘密保持義務、独占交渉権、費用負担などの一部条項には法的拘束力を持たせるのが一般的です。そのため、締結前には各条項の拘束力の有無を慎重に確認する必要があります。
基本合意書を締結した後、買い手側は売り手企業の実態を詳細に把握するため、「デューデリジェンス(DD)」と呼ばれる買収監査を実施します。これは、公認会計士や弁護士などの専門家が、財務・税務・法務・ビジネスといった多角的な観点から売り手企業を調査するプロセスです。
帳簿には表れない簿外債務や訴訟リスクなど、将来的な問題点がないかを入念に洗い出し、最終的な買収価格や契約条件の妥当性を判断します。デューデリジェンスの具体的な種類(財務・法務・税務DD等)や手順、費用の相場については、『デューデリジェンスの目的・種類・手順・費用をわかりやすく解説』で詳しく紹介しています。
デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な譲渡条件について双方で交渉を行います。調査で新たなリスクが発見された場合、譲渡価格の減額や契約内容の見直しが行われることもあります。全ての条件に双方が合意すると、法的拘束力を持つ「最終契約書(株式譲渡契約書など)」を締結します。
契約締結後、契約内容に沿って株式の引渡しと譲渡対価の決済(クロージング)が行われ、会社の経営権が買い手に正式に移転します。
M&Aは契約を締結して終わりではありません。むしろ、クロージング後のPMI(Post Merger Integration:統合プロセス)こそが、M&Aの成否を分ける最も重要な段階です。
PMIでは、経営方針や業務システム、人事制度、組織文化など、両社の仕組みや文化を円滑に統合し、M&Aで期待されたシナジー効果を最大化することを目指します。PMIの計画は、デューデリジェンスの段階から早期に着手することが成功の鍵です。
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M&Aのやり方には、目的や状況に応じて様々なM&Aの手法が存在します。どの手法を選択するかによって、手続きの複雑さ、税務上の取り扱い、従業員や取引先への影響などが大きく異なります。
株式譲渡は、売り手企業の株主が保有する株式を買い手企業に売却することで、経営権を移転させる手法です。手続きが比較的シンプルで、会社を法人格ごと包括的に承継できるため、特に中小企業のM&Aにおいて最も多く利用されています。
買い手は許認可などをそのまま引き継げるメリットがある一方、売り手企業が持つ負債や不要な資産もすべて引き継ぐことになるため、事前のデューデリジェンスが極めて重要になります。株式譲渡の具体的な手続きの流れや税務上の取り扱いについては、『株式譲渡のメリット・デメリットやM&Aでの手続き・税金を解説』で詳しく解説しています。
事業譲渡は、会社全体ではなく、特定の事業に関する資産や負債、人材、ノウハウなどを選別して売買する手法です。買い手は必要な資産だけを取得でき、簿外債務などの意図しないリスクを引き継ぐ可能性を低減できる点が大きなメリットです。
売り手にとっては、不採算事業を切り離したり、主力事業に経営資源を集中させたりする目的で活用されます。ただし、資産や契約を個別に移転させる必要があるため、手続きが煩雑になる傾向があります。
会社分割は、会社が営む事業の一部または全部を切り離し、新しく設立した会社や既存の他社に承継させる組織再編の手法です。
事業譲渡と似ていますが、事業に関する権利義務を包括的に承継できるため、個別の移転手続きが不要で、従業員や取引先との契約を再締結する手間が省ける場合があります。グループ企業内での組織再編や、特定の事業を独立させて他社と統合する際などに用いられます。
合併は、2つ以上の会社が契約によって法的に1つの会社になる手法です。1つの会社が他の会社を吸収して存続する「吸収合併」と、全ての会社が解散して新たに会社を設立する「新設合併」の2種類があります。組織が完全に一体化するため、シナジー効果を早期に発揮しやすいメリットがあります。
その一方で、株主総会の特別決議が必要であり、人事制度やシステムなどの統合プロセスが複雑になるため、時間とコストがかかる側面も持ち合わせています。
株式交換や株式移転は、ある会社が他の会社の発行済株式のすべてを取得し、100%の親子会社関係を構築する際に用いられる手法です。既存の会社が親会社になる場合を「株式交換」、新しく設立した会社が親会社になる場合を「株式移転」と呼びます。
この手法の大きな特徴は、買収の対価として自社の株式を割り当てることができる点で、多額の買収資金を用意する必要がありません。
主にグループ企業の再編や経営統合で活用されます。
\成約例や支援の特徴・流れを紹介/

会社を売却する側の立場では、少しでも良い条件で、かつ円滑にM&Aを進めたいと考えるのが自然です。
そのためには、買い手候補が見つかる前の準備段階から、自社の価値を最大化し、交渉を有利に進めるためのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、売り手側がM&Aを成功に導くために特に重要となる3つのポイントを解説します。
M&Aの交渉を始める前に、まずは自社の企業価値を客観的に把握することが不可欠です。企業価値評価(バリュエーション)には様々な算定方法があり、専門的な知識を要するため、M&Aの専門家に依頼して評価してもらうのが一般的です。
この客観的な評価額を基準に、自社が希望する売却額や、交渉において譲れない最低ラインを明確にしておくことで、根拠に基づいた価格交渉が可能となり、安売りしてしまう事態を防ぎます。
企業価値の代表的な算出方法やM&Aで用いられる評価手法の違いについては、『企業価値評価(バリュエーション)の算出方法と評価手法を解説』も参考にしてください。
多くの経営者にとって、会社の将来とともに従業員の未来も重要な関心事です。M&Aによって従業員が不利益を被ることがないよう、雇用契約の継続や役職、給与水準などの処遇について、買い手側に求める条件を事前に整理しておく必要があります。
これらの条件を明確にして交渉に臨むことは、従業員の不安を和らげ、M&A成立後の離職を防ぎ、事業のスムーズな引継ぎを実現するために非常に重要です。
買い手は、財務データだけでなく、将来の成長性やシナジー効果を期待してM&Aを検討します。そのため、決算書には表れない自社の強みや魅力を効果的にアピールすることが、より良い条件での売却につながります。
例えば、独自の技術力、安定した顧客基盤、優秀な人材、特許やブランド価値といった無形資産について、客観的なデータや具体的なエピソードを交えた資料として準備しておくことで、買い手の評価を高めることができます。

会社を買収する側の立場では、投資した資金に見合うリターンを得ることが最終的な目標となります。
M&Aは大きな投資であるため、失敗は許されません。買収後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、交渉段階から買収後の統合作業までを見据え、慎重にプロセスを進める必要があります。
ここでは、買い手側がM&Aを成功させるための3つのポイントを解説します。
M&Aを検討する際は、なぜその会社を買収する必要があるのか、その目的を明確にすることが最も重要です。買収によって、自社の既存事業とどのような相乗効果(シナジー)が期待できるのかを具体的に描く必要があります。
例えば、販路の拡大、新技術の獲得、コスト削減といったシナジー効果を事前に分析・試算し、それが買収価格に見合うものかを冷静に判断することで、M&Aの成功確率を高めることができます。
M&Aの成否は、買収後のPMI(統合プロセス)が円滑に進むかどうかに大きく左右されます。異なる文化を持つ組織同士が一つになるため、経営方針、業務プロセス、人事評価制度、情報システムなど、統合すべき項目は多岐にわたります。
デューデリジェンスの段階からPMIの専門チームを立ち上げ、買収後の具体的な統合計画を事前に策定しておくことが不可欠です。この準備が、買収後の混乱を最小限に抑え、シナジー効果を早期に実現させます。
M&Aにおける最大のリスクの一つが、財務諸表に記載されていない「簿外債務」や「偶発債務」の存在です。例えば、未払いの残業代、将来発生する可能性のある損害賠償請求、訴訟リスクなどがこれにあたります。これらの隠れたリスクを見抜けずに買収してしまうと、後から想定外の損失を被ることになりかねません。
デューデリジェンスの際には、弁護士や会計士といった専門家を活用し、徹底的な調査を行うことが極めて重要です。

M&Aは法務、税務、会計など幅広い専門知識が求められるため、自社だけで全てのプロセスを完遂することは非常に困難です。M&Aを成功させるためには、信頼できる専門家のサポートが不可欠です。
相談先によって特徴や役割が異なるため、自社の状況や目的に合わせて適切なパートナーを選ぶ必要があります。
ここでは、M&Aの代表的な相談先について解説します。
M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に立ち、中立的な立場で交渉の調整や手続きのサポートを行う専門家です。幅広い業種・地域の企業情報ネットワークを持ち、最適な相手企業を探し出すマッチング機能に強みがあります。特に、M&A仲介は後継者不在に悩む中小企業の事業承継で広く活用されており、M&Aのプロセス全体をワンストップで支援してくれる頼れる存在です。
M&A仲介会社を選ぶ際の比較ポイントや料金体系の違いについて詳しくは、『失敗しないM&A仲介会社の選び方|比較ポイントや費用を解説』をご覧ください。
FA(ファイナンシャルアドバイザー)は、売り手か買い手のどちらか一方とアドバイザリー契約を結び、依頼者の利益を最大化するために活動する専門家です。M&A戦略の立案から交渉、契約書の作成まで、依頼者の代理人としてM&Aプロセスを主導します。
相手方との交渉を有利に進めるための戦略的なアドバイスが期待できるため、比較的大規模なM&Aや、交渉が複雑化しそうな案件で起用されることが多いです。
事業承継・引継ぎ支援センターは、国が各都道府県に設置している公的な相談機関です。主に後継者不足に悩む中小企業や小規模事業者の事業承継を支援することを目的としており、無料で相談に応じてもらえます。
地域の金融機関や商工団体と連携し、事業承継に関する情報提供や専門家の紹介を行っています。
親族内承継から第三者へのM&Aまで幅広く対応しており、最初の相談窓口として安心して利用できます。
M&Aを初めて検討する方からは、手続きの期間や費用、注意点などに関して多くの質問が寄せられます。ここでは、特に多く寄せられる代表的な質問とその回答をまとめました。
M&Aの準備から最終契約の完了までにかかる期間は、一般的に6ヶ月から1年半程度が目安です。
ただし、これはあくまで標準的なケースであり、企業の規模や業種、交渉の進捗状況によって大きく変動します。
特に候補先企業の探索やデューデリジェンスの段階で時間を要することがあります。
M&Aでは、専門家へ支払う手数料が主な費用となります。
M&A仲介会社やFAには、着手金や中間金、そしてM&A成立時に支払う成功報酬が発生します。
その他、デューデリジェンスを依頼する公認会計士や弁護士への報酬や、契約書作成に関する費用などが別途必要になる場合があります。
中小企業の場合、オーナー経営者への依存度が高いことが多いため、経営者の引継ぎ期間を十分に設けることが重要です。
また、長年勤めている従業員の感情に配慮し、丁寧な説明を行う必要があります。
主要な取引先との関係を維持できるよう、M&A後の体制についても事前に説明しておくことが望ましいです。
M&Aを成功させるためには、まず相談からPMIまでの全体像と各ステップを正しく理解することが不可欠です。
その上で、自社の目的に合った手法を選択し、売り手・買い手それぞれの立場で成功のポイントを押さえた準備を進める必要があります。
M&Aは専門性が高く、プロセスも複雑なため、信頼できるM&A仲介会社やFAといった専門家の支援を受けながら、計画的に進めていくことが成功への道筋となります。
ウィルゲートが目指すのは、売り手様、買い手様、双方に納得感のあるM&Aです。M&Aがお客様の目的やご希望に合致しない場合、無理にM&Aをすすめることは絶対にありません。
M&Aで思わぬ失敗をしないためにも、まずは一度、ウィルゲートM&Aにご相談いただければ幸いです。
M&Aが解決策として見込める場合、15,100社以上の経営者とのネットワークから、最適なマッチングを迅速にご提示させていただきます。
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