
関西圏を中心に、宅配買取・および出張片付けサービスを手掛けている会社があります。それがGEEKS株式会社です。
同社が運営する出張片付けサービスサイト「おうち整理士」では、独自でSEO対策を進めていたものの、CV(コンバージョン)が上がらない、キーワードの上位化を図れないなどの課題を持っていました。
ウィルゲート社のTACT SEOとSEO内製化支援プランを導入後、2ヶ月目には問い合わせ件数が施策前の約4倍に増加。一時的なコアアップデートの影響も乗り越えるなど、成果が現れています。
導入の背景や施策内容について、サイトの運営を担当している種継氏にお聞きしました。
GEEKS株式会社 種継 圭佑氏(以下、種継)
株式会社ウィルゲート 丸山 琢己(以下、丸山)
聞き手:ライター 外山ゆひら
目次
問い合わせゼロの月もあり、サイト全般へのテコ入れが必要だった
まずはサービスの詳細について、種継さんに詳しくお聞きしました。
──貴社のサービスの詳細や強みについて教えてください。
種継:当社は2006年にリユース事業を手掛ける宅配買取専門会社として設立し、買取・販売サービス「エコマケ」の展開からスタートしました。事業を展開する中で、昨今の高齢化に伴い、遺品整理、生前整理、ゴミ屋敷片付けなど、亡くなった方の自宅整理や、生前に自宅の不要物を回収したり清掃したりするサービスの需要があることがわかり、2017年から関西圏での出張買取や片付けの事業も手掛けるようになりました。2018年以降は100%子会社としてアノマリーズ株式会社を設立し、そちらで出張片付けの事業を統括しています。
出張買取を始めた2017年頃は現在のように法整備が進んでおらず、不当に買い叩く業者がまだまだ多い状況でした。お客様に安心して利用していただくため、当社はわかりやすい説明や真摯な対応を徹底して愚直に取り組んできたことで、地域のお客様の信頼をいただくことができたと自負しています。片付けの際に不要になった商品を一括で買取・査定できるという点もお客様に喜ばれています。
主業である宅配買取事業に比べると社内では小規模な部署ですが、業界内では中規模事業者に位置付けられるかと思います。2〜3名体制による完全地域密着で出張片付けを手掛けている会社もありますが、当社はいくつかの市にまたがってサービスを提供しています。
──出張片付けはどのような形で依頼が来るのでしょうか。
種継:「今すぐ来てほしい」といった緊急の依頼もあれば、何社か比較検討されるお客様もいます。生活保護受給者などで自治体が絡む場合は、3社以上の相見積もりが義務付けられています。
ご依頼は高齢世代やそのご家族からが中心なので、電話のやりとりが中心です。Web検索で見つけた番号宛に直接連絡をくださる方もいますし、問い合わせフォームからご連絡いただいた方には、こちらから折り返しのお電話をします。ご依頼はさまざまで、「部屋のこの部分だけを片付けてほしい」という依頼もあれば、「家中をすべて片付けてほしい」という大型の依頼もあります。
──「おうち整理士」のサイトはいつ頃、どのように立ち上げたのでしょうか。
種継:サイトは2019年頃に外部の制作会社に作っていただいたものです。私は2022年に入社し、以降は宅配買取の「エコマケ」と出張片付けの「おうち整理士」の両方のサイトの改修を手掛けつつ、独学でSEOを学んでいました。リスティング広告も導入していますが、こちらは別の者が担当しています。
──2024年9月にウィルゲート社の「TACT SEO」活用+SEO内製化支援プランを導入いただいたきっかけは。
種継:当時はリスティング広告からの流入が大半で、SEO経由の問い合わせは月0〜3件という状況が続いていたためです。宅配買取のコラム記事を書いているチームに30記事ほどを作ってもらっていたのですが、いずれの記事もCVがほとんど付いていませんでした。記事制作およびキーワードの上位化に関するテコ入れが必要だという話が社内でまとまり、5〜6社に資料請求してお話を聞きました。
その中でウィルゲート社にお願いしようと決めたのは、一番当社の立場に寄り添ってくれていると感じたことが理由です。「うちのサービスはこんなにすごいんですよ」といったアピールの提案ではなく、当社の課題を聞いた上で、今後のCVの変化予測の推移を出してくれました。この先どうしていくかが理解でき、安心感があったので、TACT SEOとSEO内製化支援プランをお願いすることにしました。
エリアサイトの改善と記事制作を同時並行で進めた
──どのような施策からスタートしたのでしょうか。
種継:エリアサイトと記事制作の2軸で進めました。出張片付けは「大阪 遺品整理」「岸和田市 遺品整理」「和泉市 遺品整理」などと自分の住む街で検索する方が多く、「エリア名×サービス名」のキーワードに対して集客を強化したいと考えていたためです。サイトの見た目はほぼ同じなのですが、「和泉市の遺品整理なら」「岸和田市の遺品整理なら」という風に地域ごとにサイトを分けています。
順位が上がらない原因として、コンテンツが少ないことではないかというご指摘をいただき、各地域ページにコンテンツを充実させていくという、サービスページの構成案の提案をいただき、その作業を進めていきました。
丸山:サイトを大きくリニューアルするとなると時間がかかるので、できるだけ手間を省ける形での提案をしました。完全に新しいコンテンツについては新規ページの制作をお願いしましたが、既存のコンテンツで応用が効きそうなものは部分的にリライトを行い、最小限の工数で効果を出せるような提案をさせていただきました。それぞれのページ公開後には効果測定を実施し、順位モニタリングを通じて次の改善策を提案しては実装いただく、ということを繰り返しています。
──もう1軸である記事作成・修正はどのように進められたのでしょうか。
種継:記事作成は社内のライターが担当しているので、TACT SEOを使って記事を作成する方法を習得してもらいました。ツールの使い方だけでなく、添削チェックや記事対策キーワードの調査方法についても学んでもらい、月4本くらいのペースで記事アップを進めました。
施策開始2ヶ月目にCVが急増。一時的な下落も短期でリカバリできた
──成果が出たときのエピソードを教えてください。
種継:施策開始から2ヶ月目にいきなり問い合わせ件数が月11件に伸び、嬉しい驚きでした。その後、アルゴリズムのアップデートの影響でヒヤリとした時期もありましたが、以降は月7〜8件のペースで安定してCVを取れています。
トラフィックについては月平均で約1.3万セッションくらいだったところから2万セッション近くまで伸びましたし、検索順位も複数のエリアキーワードで10位以内にランクアップ。非常にニッチな市場ではあるのですが、特定のキーワードに関してしっかりと検索上位を獲得できるようになりましたね。
──コアアルゴリズムのアップデートの影響が出た時期のことを詳しくお伺いできますでしょうか。
種継:施策開始から4か月後の2025年1月にGoogleのコアアルゴリズムアップデートがあり、一度ガクンと順位が落ちてしまったのです。キーワードの中には10位以内から20~40位まで落ち込んだものもありました。
出張片付けのサービスは年末年始と3〜5月頃の引越シーズンが繁忙期です。少しでも早く復活させたい思いがあったので、この時期は丸山さんに何度も相談しましたね。いくつかの方法を提案いただき、その対策を施した結果、3月中に無事に10位以内に戻すことができました。
最初に提案いただいたときは「下がることはなさそうだけど、そのやり方で本当に改善するのか、頑張って作成したエリアページなのに……」と気持ち的には少々抵抗がありました。成果が出たので結果オーライなのですが、あの施策の提案には丸山さんも勇気が必要だったのではないでしょうか。
丸山:おっしゃる通りです(笑)。一つひとつのキーワードの状況を調査し、共通の傾向を見出していきました。「論理的には、このやり方で効果が出るのではないか」という方法にたどり着いたのですが、コアアップデートの影響もあったので、泥臭く調査を重ねながらの提案でした。無事に成果につながり、繁忙期のニーズを逃さない結果となって本当に良かったです。私自身にとっても大きな経験になりました。
種継:丸山さんの提案がなければ絶対に思い付かない方法ばかりでした。コアアップデートの影響を乗り越えられたことに対しては、改めて感謝の言葉を伝えたいです。コンサルティングは2月末までの契約だったのですが、この件もあって3ヶ月間の延長をお願いしました。
──他にも得られた成果はありますか?
種継:社内のライターからは「記事作成にかかる工数が非常に短くなった」という声をもらっています。「書いたら終わり」ではなく、記事作成後には自発的に順位を確認するなど、検索順位を意識しながら記事を書いてくれるようになりましたね。順位が落ちていると気づいたら「競合との差分を埋めるために、この文章を直したらいいのでは」「この記事をリライトした方が良いのでは」といった提案も能動的に行ってくれるようになり、非常に助かっています。
まだまだ丸山さんに頼りたいなと思う瞬間はありますが、社内にSEOノウハウが蓄積し、かなりの部分で自走できるようになってきました。私自身、エリアページの改善策の見つけ方や改善案の考え方、効果測定の仕方についての理解がかなり深まりました。TACT SEOを使うと、ひと目で競合との差分がわかるので、どのキーワードに対して対策を打てばいいかの優先順位が非常に付けやすかったです。SEOはやった分だけ数字につながるのでモチベーション高く取り組めていますし、大型の依頼につながることもあり、大変嬉しく思っています。
──作業を内製できる体制が整うまで、ウィルゲート社の担当者・丸山はどのような点で貢献できたでしょうか。
種継:その時々で良い提案をいただき、SEOの最新トレンドなどの情報共有も大変有意義でした。これまで知らなかった知識や方法論をたくさんご教示いただいたおかげで、内製化を進められた実感がありますね。
たとえば私は当初、被リンク対策の知識がまったくありませんでした。最初に話を聞いたときには「それって効果があるの?」というくらいだったのですが(笑)、今回の施策を通じて、網羅性を持たせるためには重要な対策だと理解できました。また「サイトのコンテンツの順番が検索順位に影響する」といったことも今回教わった知識の一つです。実は大事なんですよと伺い、半信半疑で並び替えてみたところ、順位アップにつながりました。
丸山:こちらからの提案に対し、種継さんがスピーディーに対応くださったことも、早々に成果につながった理由だと思います。どのくらい早いかというと、午前中のミーティングでお伝えすると、午後には「やりました!」とご連絡が来るくらいのスピードです(笑)。エリアページの改善についても、地域別に複数のサイトがあるにもかかわらず、改善案の提示から1週間程度で反映していただいたので、こちらも改善に対する効果を確認しやすく、「次はこれをやってみましょう」とコンスタントに打ち手を考えて提案することができました。
種継:私が負けず嫌いな性格ということもありますが(笑)、絶対に成果を出すぞという気持ちが強かったので、優先的に取り組んでいました。また、9ヶ月間の施策を通じて感じたのは、SEOで見ている部分は人によって結構違うのだなということです。相手の意見に気づきをもらえることもあれば、逆に自分の意見が相手の気づきにつながることもあり、いろいろな人と柔軟に意見交換をしながら進めることの大切さを実感しました。
ブランディングにも着手し、各地域で知名度向上を図っていきたい
──ウィルゲート社の「TACT SEO」とSEO内製化支援プランを推薦いただくとしたら、どのような企業や担当者様になるでしょうか?
種継:当社のようなニッチな市場に向けたサービスの場合、ビッグキーワードがある業界とは少し異なる方法論が必要ですが、ウィルゲート社は寄り添って対応してくれるので、業界や業種を問わず、お勧めしたいですね。「工数削減がしたい」「リソースが少ない中でも成果を出したい」といった課題感を持っている企業の場合も、将来の内製化に向けてしっかり支援してもらえると思います。
ただし、成果を出したければ、モチベーションの高い担当者が一人は必要です。個人的にはSEOに関する知識の有無より、モチベーションの方が重要だと思いますね。いただいた提案をなるべくスピーディーに実装して、結果を見ては改善して、というサイクルを回せるほど、成果につながっていくからです。知識に関しては支援を通じて身に付いてくるので、心配は要らないと思います。
──これからの貴社の目標を教えてください。
種継:SEOに関する直近の目標としては、コンスタントに月10件の問い合わせ件数を獲得することです。自宅の大掛かりな片付けは人生においてそう何度も行うものではないので、新規のお客様に知っていただくためにも、対策と改善を繰り返しながらサイトの信頼性を高めていきたいですね。中長期的にはYouTubeやSNSの運用なども含めた、ブランディングを行っていく考えです。
差別化が難しいサービスではありますが、質にこだわっているという当社の強みを知ってもらうためにも、各地域での認知度や知名度をしっかりと高めていきたいですね。地域の方々との関わりの場を増やすべく、今冬にはサッカー場で開催するリユースイベントに参加する話なども進んでいます。
──「おうち整理士」およびGEEKS様のさらなる発展を祈念しております。ありがとうございました!
