売却で終わらないM&A──2段階EXITと上場企業の子会社としてのIPOへの挑戦

- 売却した会社
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株式会社GROWTH(グロース) 様
- 買収した会社
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株式会社エアトリ 様
株式会社エアトリ(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CFO:柴田 裕亮氏、証券コード:6191)は、総合旅行プラットフォーム「エアトリ」の運営を中心に20の事業を手掛け、ITの力で「エアトリ経済圏」を構築しております。
こうした中、マーケティング領域に特化したマッチングプラットフォームを展開する株式会社GROWTH(本社:東京都新宿区、代表取締役:橋本 拓也氏)は、株式会社エアトリに株式譲渡を行い、グループインをしました。
このM&Aを通じて、GROWTH社は、マッチングプラットフォーム領域でのIPOを視野に入れた成長戦略を推進していく方針です。
今回は譲渡企業のGROWTH社の代表取締役・橋本 拓也氏にお話を聞きました。
GROWTH社の事業内容
ーーまず、GROWTH社の事業内容について教えてください。
橋本氏:GROWTHでは、主にWebマーケティング支援と、マーケターと企業をつなぐマッチング事業を展開しています。
たとえば「JOBDESIGN」というサービスでは、成長企業とフリーランス・副業マーケターをつなげて、柔軟な人材活用を支援しています。最近はマーケ人材の確保が難しくなってきている中で、経験値の高い人をプロジェクト単位でアサインできる仕組みが、すごく評価いただいています。
あとは、Web広告の運用支援もやっています。単に運用代行というより、戦略から一緒に組み立てて、クライアントの事業成長に踏み込んでいくスタイルですね。
他にも、ブランド戦略やコンテンツ制作の領域まで、マーケティング全体を俯瞰しながら支援しています。
一言でいうと、“人材とノウハウと実行力”をセットで提供する会社です。大きな代理店にはない柔軟さで、企業の成長を一緒に作っていくのが自分たちのスタンスです。
売却を決めた背景──資金調達より“シナジーあるM&A”を選んだ理由
——今回、M&Aという選択をされた背景について教えてください。
橋本氏:もともとは資金調達を考えていたんです。僕一人がオーナーだったので、経営力や営業力といった“会社を伸ばす力”を客観的に見つめ直したときに、「ただお金を出すだけの“物言わない株主”よりも、事業にしっかり口を出してくれる“物言う株主”に入ってもらった方がいいのでは」と思っていました。
実際に何社か投資家の方と話を進める中で「そもそもそんなに資金って必要か?」と感じるようになったんです。たとえば4億円調達して、優秀な人材を採用して、成長ドライブをかけていく。これは一見魅力的なプランでした。でも同時に、自分にそれを束ねる力があるのか?という不安がありました。
お金よりも、リソースや信用、経営基盤が今のフェーズでは大事なんじゃないかと。そこから“どこかと組む”という方向に考えがシフトしていき、グループインという選択肢が現実味を帯びてきました。
そんな時に複数のM&A仲介会社さんに相談して、最初に面談したのがウィルゲートM&Aさんにご紹介いただいたエアトリさんだったんです。
わずか3ヶ月のスピードM&A──限られた時間での意思決定
——M&Aプロセスはどのように進んだのでしょうか?
橋本氏:動き出したのが2023年12月、そして2024年3月末にはデューデリジェンスも終えていました。正味3ヶ月のスピード感でした。
エアトリさんの決算期とタイミングが重なったこともあって、財務DDは1ヶ月以内で終わらせる必要がありました。
機密性の高いデューデリジェンス──緊張と不安——当時の社内体制と、どんな困難がありましたか?
橋本氏:DDが始まると、組織内に独特の緊張感が走るんですよね。
当時の社内体制は正社員が10名程度、業務委託メンバーはもっと多くいました。DDを進めていく中で、質問の回答準備など、社内メンバーに協力してもらうこともありました。そんな中で、「何かあるの?」と聞かれても、M&Aの話ってやっぱりセンシティブなので、メンバーには全てを伝えられない。その点については、心苦しい気持ちはありましたね。
M&Aの効果──信用力・資金繰り・営業力の劇的な改善
——グループインによってどのような効果がありましたか?
橋本氏:まず、取引先からの信用度が上がりました。以前は提案内容が良くても“会社規模”を理由に断られていたのが、今では“上場企業の一員”として見られるようになったので受注における障壁が減りましたね。
あとは、広告の業界って“立て替え”の金額が大きいんです。支払いサイトを延ばしてくれっていう要求があっても、今なら対応できる。キャッシュフローの体力がついたことで、受注機会も確実に増えました。
グループインで得た仲間とリソース──エアトリグループの中で育つ強み
——人的・経営的なメリットについても教えてください。
橋本氏:エアトリグループには複数の子会社があるので、同じようなステージにいる経営者仲間がいる。これが精神的にもすごく支えになっています。
僕らのような規模の会社って、孤独に経営している人が多いと思うんですが、困った時に相談できる人がいる環境って本当にありがたい。
あとは、単純に名刺に“エアトリグループ”と入ることで、営業が進めやすくなったり、プロジェクトでの信用力が格段に上がったりといった副次的な効果も大きいです。
2段階EXITとIPO──“キャリアとしての最適解”を求めて
——M&Aの次のステップとして、IPOも視野に入れていると伺いました。
橋本氏:そうですね、M&AもIPOも、どちらも経験してみたいという思いがあるんです。キャリアとして、両方を一社でやり切れたら、かなり濃い経験になるだろうなと。それで、2段階EXITという形を選びました。
単独でIPOを目指す場合、自分たちでガバナンスの仕組みから社内体制まで、すべてを整備しないといけない。でも、グループに入っていれば、もともとある経営基盤や承認フロー、財務の体制が活用できるんです。そういう部分に労力を割かずに、事業の成長に集中できるのは大きいですね。
もちろん、グループ内でやることにも大変な面はありますが、サポートを得ながら進められる分、経験値も得られてコストパフォーマンスも高い。今は「効率よく質の高い経験を積む」という意味でも、いい選択だったと思っています。
ウィルゲート吉岡:そうですね。エアトリグループの柴田社長は、もともと監査法人トーマツで公認会計士をされていて、これまでにエアトリ本体のIPOに加え、まぐまぐ社・ハイブリッドテクノロジーズ社・インバウンドプラットフォーム社という3社のグループ会社IPOも実現されています。
そういった方がすぐ近くにいて、リアルなIPOの話や実践的なアドバイスがもらえる環境というのは、やはり単独でIPOを目指すよりもずっと進めやすい面があると思います。
橋本さんのように「M&A+IPO」を一つのキャリアストーリーとして描いている経営者にとっては、まさに理想的な環境なんじゃないかと感じています。
ウィルゲートM&Aの支援──スピード・事業理解・親身なサポート

——ウィルゲートに相談してみて、実際どうでしたか?
橋本氏:まず他社と比べて圧倒的に“進むスピード”が早かった。
あとは、僕らみたいなWeb広告やマーケティング支援会社の事業モデルをちゃんと理解してくれていたのがありがたかったです。
他の仲介会社だと『Web広告代理店ってどういうビジネスモデルなんですか?』みたいな質問が初回面談で飛んできて、『これは違うな…』って感じることも多かった。その点ウィルゲートさんは最初から話が通じるし、実行支援まで含めてすごく手厚かったです。
最後に。M&Aを考えるすべての経営者へ──“目的を明確にする”ことが何より大切
——M&Aを検討している経営者の方へ、最後にメッセージをお願いします。
橋本氏:そうですね。やっぱり一番大切なのは、“目的を明確にすること”だと思います。
たとえば、ある程度会社の仕組みが整っていて、「売り抜けて次の挑戦に移る」という選択もありますし、逆に「この会社をもっと伸ばしたい」と思えば、シナジーのあるグループに入って一緒に成長を目指すというのもひとつの形です。
あとは、「5年後、このビジネスは本当に成り立っているのか?」という視点も大事だと思っていて。そのうえで、“今、手じまいしておくべきか”、あるいは“今こそ伸ばすべきなのか”をしっかり考える必要がある。
結局のところ、M&Aは手段にすぎません。その手段をどう活かすかは、自分がどこを目的にするか次第。そこを明確にできるかどうかが、納得のいく意思決定につながると思っています。
ウィルゲートM&AにM&Aに関するご相談をご希望の場合は、以下から無料相談にお気軽にお申し込みください。
https://willgate.co.jp/ma/contact/
M&A仲介サービス「ウィルゲートM&A」について
ウィルゲートでは、IT/Web領域を中心とした「ウィルゲートM&A(https://willgate.co.jp/ma/)」というM&A支援サービスを展開しています。各専門家と連携しながら最終契約に至るまでワンストップでサービスを提供し、成約実績は5年で71件以上を記録しています。
サービスの特徴
■完全成功報酬制(着手金無料)
弊社は「契約が成立して初めてサービスの価値を提供できる」と考えています。そのため、着手金や中間手数料は一切いただかず、完全成功報酬制でM&Aのご支援をしています。
■17,400社以上の経営者ネットワークを活かしたベストマッチング
弊社はこれまで数多くのベンチャー企業の経営者と深い関係性を築いてきました。このネットワークを活用し、他社では見つからないような様々なM&Aニーズの収集が可能。デューデリジェンス(企業の収益性やリスクなどを総合的に評価すること)も実施の上で、最短2ヶ月でM&Aが成立した実績を出すこともできました。
■Web・IT業界に関するノウハウ
2006年の設立以来、提供をしているWebマーケティング支援サービスに加え、自社でメディア運営の事業も展開しており、これらの事業運営の経験を通して得たノウハウがあります。そのため他社が得意としないベンチャー・IT 領域において、業界や事業の背景を理解した適切なアドバイスが強みです。