選択と集中で次のステージへ。M&Aで描く未来戦略──コミクス鈴木章裕氏の軌跡

- 売却した会社
-
株式会社コミクス 様
- 買収した会社
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株式会社デジタルプラス 様
※本記事は2025年3月公開のYouTube動画を元に作成しました。
当社がM&Aのご支援をした株式会社コミクスと株式会社デジタルプラスのM&A成約事例について、YouTube「社長のM&Aチャンネル」にて、株式会社コミクスの代表 鈴木 章裕様へのインタビューという形で紹介されました。
当社の支援やM&Aに関する点をメインに抜き出してご紹介します。
全体の内容はYouTubeの動画をご覧ください。
第一話:https://www.youtube.com/watch?v=YWPM9fsLwQ8
第二話:https://www.youtube.com/watch?v=xtOKXC-t2ao&t=3s
創業からM&Aへの道のり
まずは鈴木さん、簡単に自己紹介をお願いできますか?

鈴木氏:はい、私は2000年から2007年にかけて、アイブリッジ株式会社、アドデジタル株式会社、アカラ株式会社、株式会社ブランド総合研究所など4社を創業しました。その後、一旦事業を売却し、半年ほどフリーで過ごしていましたが、2007年9月に株式会社コミクスを立ち上げました。
その後も事業を展開し、2013年9月に株式会社GeeeNというウェブ接客ツールの会社を立ち上げ、2015年9月にはシンギュラリティというデマンドサイドプラットフォームの会社も設立しました。しかし、このシンギュラリティは8ヶ月で2億4000万円の損失を出してしまい、やむなく閉鎖することになりました。
そんな中である日、かつて一緒に働いていた部下でふるさと納税関連の会社を創業した田中という人物に、ある日こう言われたんです。
「鈴木さん、このままちまちまとやって60歳を迎えるんですか?どこかの大企業のグループに入って辣腕を振るうか、上場するか、どちらかを考えた方がいいのではないですか」
この言葉がきっかけで「上場しよう」と考えて、2つの事業を売却して今の事業に集中しています。
ちなみに現在の事業についてもう少しお伺いできますか?
現在特に力を入れている事業として、生成AIの活用の分野で2つあります。
1つは営業とマーケティングの人材を育成する「トップ営業なれるくん」というAIサービスです。ChatGPTに強い人の教師データをたくさん読み込ませて、LINEやChatworkなどで質問するだけで、回答が返ってくるというものです。昨年の5月にローンチして、80社、1,500名くらいの人達が毎月課金して使ってくれています。
もう1つは、生成AIやDXなどの研修の事業です。一般的な研修は実務に直結しないのですが、僕らが提供しているのは最終的なゴールはOJTして業務の棚卸しをして、生産性を上げるところまで一緒にやるという内容です。
事業と会社含め、いくつくらい売却されているのですか?
鈴木氏:直近4年でいうと2つです。これは両方ともコミクスという会社の中の事業を売却した形になりまして、1つは株式会社エフ・コードに売却、1つは株式会社デジタルプラスに売却しました。
当時は主な事業を4つ運営していて、そのうちの2つの事業を減らしたような感じです。結局現在ではまた4つくらいの事業に増えてしまっていますが、株主から1つの事業に集中するようにと怒られてしまっています(笑)。
M&Aを検討した経緯──集中と選択の重要性
どのような経緯でM&Aを決断されたかお伺いできますか?
鈴木氏:当時「レバレッジの効く事業は何か?」という点でSaaSの比較サイトに一点集中しようと考えて、その再投資の費用を得るためにM&Aを検討したのが大まかな経緯になります。
最近のスモールIPOは少し問題があると感じていて、東証なども言っているように、IPOするのであれば営業利益10〜20億円か時価総額200〜300億円を作って、流動性も含めて、100億円以上を担保しないといけないと思っています。
それを上場する前にM&Aなどを用いて作ろうと思って、成長性の高いところに絞ったということですね。
今も少し事業は多すぎるのですが、一番伸びているところに一点集中した方が良いと思っています。伸びが鈍化しているところをずるずると持ってしまうのは良くないし、かといって伸びが鈍化しているからといっても営業利益が出ていれば、中の人たちは「俺達は営業利益が出ている」という感じになって他の事業に対しても悪影響が出るので結果的には売却して良かったと思います。
選択と集中などで売却を検討している方は無料で相談に乗ってもらえますか?
吉岡:鈴木さんがスモールIPO問題のようなことをおっしゃられていましたが、まさに今スタートアップの起業家たちがこの問題に向き合う時代が来たと考えています。東証が公式に「日本はスモールIPOが多いこと」を明示してグロース市場も変わっていかなければならないという資料を示しました。
最近は上場しても時価総額100億円付くということが難しくなってきていて、昔は営業利益で3億円くらい出ていれば到達することもあったのですが、最近では営業利益が4〜5億円でもなかなか時価総額100億円までいかないという状況です。
時価総額が100億円を上回らないと機関投資家からなかなか相手にされないので、株価も形成しづらく、上場すると上場維持コストが年間1億円程度かかってしまうのでなかなか大胆な投資ができずに成長が鈍化していってしまう状況で皆さん苦しんでいらっしゃいます。
ですので、自分達の事業は売上・利益をどこまで目指せるかを見据えた上で、IPO路線かM&A路線かを決めていくのが重要な時代といえます。自分はIPOなのかM&Aなのか悩んでいる人もぜひお気軽にご相談いただければと思います。
ウィルゲートM&Aに依頼した経緯
具体的にはどのように事業を売却されたのでしょうか?
吉岡:EFOの事業に関しては上場会社のエフ・コード社へ売却されて、こちらはコミクス鈴木さんとエフ・コード工藤さんが旧知の仲ということでダイレクトに進められたと伺っております。ウィルゲートがお手伝いさせていただいたのが、コミクス社のデジタルマーケティング支援事業を上場会社のデジタルプラス社に売却するというM&Aになります。
あえてウィルゲートに依頼した理由は何ですか?
鈴木氏:フットワークが軽くてスピードが早いというのを何人もの友人から聞いていたのが理由です。
EFO事業は国内シェア2位で、国内シェア1位と3位をよく知っていたので、両社にお声がけして国内シェア3位の会社(エフ・コード社)に売却したということでわかりやすかったのですが、デジタルマーケティング支援事業になると対象が広く、自分たちで探すことも出来なくはないものの早くスッキリしたいなと考えていた時に、最初に想起で出てきたのが吉岡さんだったということですね。
実際にウィルゲートの対応はいかがでしたか?
鈴木氏:早かったし、対応も良かったです。1社別にお声がけしていたところがあったのですが全く対応が違って、ウィルゲートの方が圧倒的に具体的で早かったので、その1社は途中でやめました。
わずか5ヶ月でのスピードM&A──迅速な意思決定
ちなみに、売却の意思決定から売却までの期間はどのくらいですか?
鈴木氏:事業売却の意思決定から実際の売却完了までの期間は約5ヶ月ほどでした。
吉岡さん、これはどんな流れで進んだのですか?

吉岡:背景としては、「事業の選択と集中をしていく」というところで、成長率が高いものを残して成長が伸び悩んでいる事業を手放すことを目的としていました。
デジタルマーケティング支援事業は、今の上場会社の中でも非常に人気のある領域で、多数の会社が候補となりうる状況でした。実際には70社くらいのリストを作って、お声がけをしていったという形になります。
買い手となる当時のデジタルプラスさんの状況としては、事業をいくつか売却してスリム化している中で、マーケティング支援という武器がほしいというところでコミクス社と思惑が一致してM&Aが成立したということになります。
鈴木さんの中では、売却の流れや金額のイメージはついていたのですか?
鈴木氏:はい。イメージとしてはありました。実際にイメージしていたのは今回売却した金額よりももう少し高い金額だったのですが、早く売却してスッキリしたいということで売却したという形です。
売上が約1.2億円、営業利益が約6,000万円で、実際の売却額は1.2億円にアーンアウトでプラスオンという形です。EBITDAで4〜5倍くらい欲しかったところですが、実際はそこより低かったのでしょうがないなという感じですね。
元々知り合いだったというのとデジタルプラス側が買う意思があったのでDD等は結構すんなりと進みました。ただ、金額が全然折り合いがつかなくて、1ヶ月くらい交渉しましたが最終的に折れたという形です。
売却後の流れと給与──社員にとっての幸せな選択を求めて

今回の事業売却は社員(人)もついて売却されたということですか?
鈴木氏:はい。人がいないと運営できない事業だったので人付きでの売却になりました。7〜8人の社員含めての事業売却です。
事業の利益も出ている中で売却の決断をできた理由はなんですか?
鈴木氏:それまでも買ったり売ったりはしているので慣れていました。
あとは、結局社員にとっても幸せな選択肢をとることが大事だと思っていて、僕自身に事業を伸ばす情熱がなければ情熱があるところに引き継いでもらった方が働いている社員達も幸せですよね。
社員に伝える時は、個々に真摯に向き合ってなぜこういった意思決定したのかを丁寧に説明していました。社員に泣かれたりということはあったのですが、僕らは未上場で売った先は上場企業なので福利厚生や社会的なステータスも上がるのでそちらの方が良いと思っています。結局今はみんな楽しくやっていますし。
引き継がれる際は給与の交渉までされるのですか?

鈴木氏:上場企業に転職することになるので、給与は多分僕らの会社よりも皆上がってます。4年間で2回行ったM&Aではどちらも給料の交渉はしまして、どちらもうちの水準ならこれくらいですねということで、皆少し上がったという感じです。
吉岡:「事業は人なり」ですので、働く人がいなくなると事業価値が大きく毀損します。ですので一般的には給与は必ず維持もしくは上がるの2択しかありません。ただ、ケースバイケースですが、グループインするにあたって一定期間は維持ですが、一定期間経過後は新しい会社の人事ルールに移行するというケースはあります。
M&A後の見解と今後
今回のM&A振り返ってこうしておけばよかったみたいな点はありますか?
鈴木氏:M&Aというよりも、事業を売らなければ1億2千万円の営業利益があったはずで、これは上場基準を満たしていた可能性もある水準です。資金調達のバリュエーションが増えるので、4年前に上場しておいた方が良かったかもしれないと少し考えています。
ただ、今回の選択が正解なのか不正解なのかは今後の自分たちの頑張り次第なので、結果を出して正解するしかないかなと思っています。
ウィルゲートM&AにM&Aに関するご相談をご希望の場合は、以下から無料相談にお気軽にお申し込みください。
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M&A仲介サービス「ウィルゲートM&A」について
ウィルゲートでは、IT/Web領域を中心とした「ウィルゲートM&A(https://willgate.co.jp/ma/)」というM&A支援サービスを展開しています。各専門家と連携しながら最終契約に至るまでワンストップでサービスを提供し、成約実績は5年で71件以上を記録しています。
サービスの特徴
■完全成功報酬制(着手金無料)
弊社は「契約が成立して初めてサービスの価値を提供できる」と考えています。そのため、着手金や中間手数料は一切いただかず、完全成功報酬制でM&Aのご支援をしています。
■17,400社以上の経営者ネットワークを活かしたベストマッチング
弊社はこれまで数多くのベンチャー企業の経営者と深い関係性を築いてきました。このネットワークを活用し、他社では見つからないような様々なM&Aニーズの収集が可能。デューデリジェンス(企業の収益性やリスクなどを総合的に評価すること)も実施の上で、最短2ヶ月でM&Aが成立した実績を出すこともできました。
■Web・IT業界に関するノウハウ
2006年の設立以来、提供をしているWebマーケティング支援サービスに加え、自社でメディア運営の事業も展開しており、これらの事業運営の経験を通して得たノウハウがあります。そのため他社が得意としないベンチャー・IT 領域において、業界や事業の背景を理解した適切なアドバイスが強みです。